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  1. 54件ヒットしました

  2. 先輩には、好きな人がいるらしい。

    昨日聞いた言葉が、未だに耳に残っていた。


    「おはよう」

    「あ、おはようございます」


    声をかけてきたのは、小さい頃から知り合っている仲の良い先輩だ。

    そして、わたしは密かに彼のことを想っている。

    噂のことを思い出して胸がぎゅっと痛んだ。


    予鈴が鳴った。

    ・・・もう行かないと。

    ちょっぴり切なくなりながら、先輩の元を離れようと足を踏み出した。


    「待って」


    先輩に腕を引っ張られる。

    なんで止めるの?


    「それ以上優しくしないでください・・・好きな人、いるんですよね?」


    だって、諦められなくなってしまうから。

    期待してしまうから。

    だからどうか、もう離れさせてーー


    「無理、だって好きだし」

    「へ?」

    「俺の好きな人、君だけど?」


    その言葉の意味を理解するまで、あと少し。

    きゅん

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  3. 「ノート写させて」


    授業が終わり、隣の席に座る男子が声をかけてきた。

    全く、また授業聞いてなかったの?

    そう思いつつ、結局はノートを貸してしまうのだけれど。


    「ありがと」


    そう言う彼の笑顔を見て、貸して良かったなんて思った。


    「またノート借りたのかよ! そんなにこいつと話したいんか?」

    「ノートだって本当は写してないんだろ」


    近くに集まっていたクラスの男子たちが、そう騒ぎ立てる。

    そんな事、言わないでよ。


    だって、彼は毎回ノートを返すときに声をかけてくれる。

    それに、いつだって優しい。

    わたしは、そんな彼が・・・


    「ノートを借りてまで話したいのは、間違ってないけど?」


    騒がしい教室の中、彼の声が響く。

    どくん、と心臓が大きな音を立てた。


    ーー彼は、わたしの耳元で静かに呟く。


    「好きだよ」


    わたしの返事は、もちろん・・・

    きゅん

    3

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  4. とある昼休み、わたしは屋上で仲のいい先輩を待っていた。

    今日こそは、告白したかった。

    なんとか呼び出して、先輩がここに来るはずだった。

    何度も言葉を考えて、ずっと胸は高鳴ったまま。


    でも・・・

    先輩は来なかった。



    ーー「昨日はごめん!」


    次の日、先輩は通学路に立っていた。

    いつも会わないはずだから、待っていてくれたんだろう。


    「話、聞かせてよ」


    二人っきりの通学路に、先輩の声が静かに響いた。


    「好きです」


    昨日何回も練習した言葉。

    来てくれなかったということは、断られるだろうと覚悟していた。

    でも・・・


    「俺も」


    先輩が言ったのは、予想もしなかった言葉。


    「何を言われるかと思って、行けなくて・・・それくらい好き」


    先輩の言葉に反応したみたいに、桜がふわりと舞う。


    「大好きです、先輩!」


    わたしは、思わず先輩に抱きついた。

    きゅん

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  5. 「お前、好きな人とかいるの?」


    体育の準備中、声をかけてきたのは幼なじみ。


    「わたしにいるわけないでしょ?・・・でも、なんでそんな事」


    突然の質問に、思わず首を捻った。


    「ちょっと倉庫からボール持ってきてくれる?」

    「あ、うん!」


    クラスメイトに頼まれ、体育倉庫へとボールを取りに行く。

    このボールが入った箱、でいいのかな?


    「一人で持てるわけないだろ?」


    振り向くと、いつのまにか幼なじみの彼がいた。


    「な、なんでここに?」


    そう尋ねると、こちらに向かって歩いてくる彼。

    壁の前に立っていたわたしは身動きが取れなかった。

    気がつくと彼の顔が目の前にあって・・・


    「ちょっとくらい気づけよ・・・俺がお前のこと、意識してるって」


    そんな事、考える訳ないじゃん。

    だって・・・


    わたしはとっくに、彼のことを意識してるっていうのにーー。

    きゅん

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  6. 「一緒にお弁当食べよー!」


    昼休み、駆け寄ってくる幼なじみから、今日も目を逸らす。


    「冷たいのも大好き」

    「っ、何言ってんの!」


    そう、彼はわたしのことが好きらしい。

    だから地味なわたしとお弁当を食べてくれる。

    でも、彼はこんなにかっこいいのに、わたしを選ぶなんて本当おかしい。

    お弁当を頬張る彼の横顔を眺めて、ため息をついた。


    「なに?具合でも悪いの?」

    「いや・・・なにも」

    「嘘つき。 顔真っ赤だし、いつもよりも体温あるじゃん。」


    そう言うと、わたしの頬に触れる彼。


    「それに、何かあるときに髪をいじる癖、覚えてるんだから」

    「何もないよ・・・でも、ありがとう」


    嬉しくて、そっと微笑む。


    「ーー可愛すぎるって」


    そう言って、わたしの頭を撫でる君が・・・

    本当は、誰よりも大好きだなんて、

    顔が赤いのは君のせいなんだってことは、絶対に秘密。

    きゅん

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  7. 今は部活中。

    わたしは今日も、人気者の幼なじみを見に体育館に来ていた。

    かっこよくシュートを決める彼。

    近くで見ていた女の子たちが、歓声を上げる。

    ちなみに、わたしもそのうちの一人だけど。


    「あれ? 見に来てたんだ」

    「うん!」


    幼なじみがわたしに声をかけてくれる。

    女の子たちは、羨ましそうに見つめてくる。


    「実は、今日・・・」


    顔が赤くなって、俯きながら呟く。

    そう、今日はバレンタイン。

    この日のために何日も前から、チョコを作っていた。


    「チョコを・・・っ!?」


    そこまで言いかけたとき、彼に抱きしめられる。

    近くから悲鳴に似たような声も聞こえるけど、わたしの頭の中は真っ白だった。


    「ごめん、独り占めしたい」


    ーー『そんなのわたしも』だなんて、飲み込んだ言葉は何より甘くて。

    チョコを渡す訳でもなく、ただ、わたしたちは強く抱きしめ合った。

    きゅん

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  8. 今日はバレンタイン。

    今朝もわたしの隣を歩くのは、幼なじみの桐谷くんだ。

    桐谷くんは、わたしの好きな人。

    実は、桐谷くんは大学生でわたしは中学生。

    一緒に通学するこの時間が、毎日の楽しみだ。

    ・・・一応チョコを作ってきたんだけど、渡せそうにない。

    やっぱり諦めようかな?


    「ねー、真白。 今日は何の日か分かる?」


    桐谷くんに見つめられて、思わず鼓動が跳ねる。


    「え、えっと・・・なんだろう?」


    思わず焦って、語尾が上がってしまう。


    「・・・その持ってる紙袋、チョコでしょ」


    ーー図星、なんて言えるはずない。

    だって、それは桐谷くんへのチョコだから。

    そんなの、いまさら言えない気がする。


    「友チョコ、だよ!」

    「ふーん」


    わたしはうまく誤魔化せたかな?


    「・・・来年は本命欲しいな」


    小さく呟いた桐谷くんの声は、わたしの耳には届かなかった。

    きゅん

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  9. 「先生! 今日は何の日でしょうか?」

    「さあ・・・テストまで二週間、の日かな?」

    わたしの好きな人は、この先生だ。

    実は今日はバレンタインだから、チョコを作ってきたんだけど・・・

    「違います、バレンタインですよ!」

    「あれー、そうだっけ」

    先生はいつも、こんな調子でわたしを交わしてしまう。

    「あの・・・本命チョコ作ったので、受け取ってください」

    「え?」

    少し驚いた顔をする先生。

    こんな顔をするのは珍しいな、と思いつつ、チョコを渡す。

    「勉強に関係ない物は持ってこないように。 校則違反だぞ?」

    そんな・・・

    せめて受け取って欲しかったのに。

    「じゃあ、担任として俺が責任を持って回収するから」

    「それって・・・」

    受け取ってくれる、って事ですか?

    「来年、お前が卒業したら、お返しあげるからな」

    一年後、わたしたちが付き合うことになるのは、ここだけの話。

    きゅん

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  10. 今日はバレンタイン。

    俺は女子に囲まれていた。

    「これ、受け取ってください!」

    受け取るというより押しつけられる、すごい量のチョコレート。

    仕方なく、両手に抱えて教室を出た。

    バレンタインなんて正直どうでもよかった。

    ーーただ1人以外は。

    「あ、あの・・・先輩、一緒に帰ってくれませんか?」

    廊下に出た瞬間、声をかけてきた女子。

    俺の後輩であり・・・俺の好きな人だ。

    こいつから本命チョコが欲しい、なんてわがままだろうか。

    「実は、チョコレートを先輩に」

    嘘だろ?

    嬉しすぎて胸が高鳴る。

    「はい、先輩! 義理チョコ、ですよ」

    ・・・義理?

    そうだよな、やっぱり。

    期待してた俺がーー

    「ふふ、そんなわけ無いじゃないですか」

    「え?」

    「・・・本命です。 先輩が可愛くて、つい嘘を」

    ーー可愛すぎるのはお前の方だろ?

    チョコは何より甘くて、幸せな味がした。

    きゅん

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  11. 「おはよう」

    「・・・なんか今日は元気だね」

    「だってバレンタインじゃん、今日は」


    その言葉に急いで日付を確認すると、今日は2月14日。

    つまり、バレンタインデーだ。

    どうしよう・・・忘れてた。

    置いてきたなんて言ったら、怒るかな?


    「チョコレート、あったりする?」

    「えっと、それが。 忘れてて・・・」


    期待してくれてるのは嬉しい。

    あげるつもりだったけど、置いてきてしまった。


    「作ってあって、家にはあるんだけど。 今日の放課後に家に来て?」

    「だめ、待てない」


    今すぐがいい、という彼。

    だから、今はチョコ持ってないよ?


    「とりあえず、キスで許してあげる」


    落とされたのは、チョコよりずっと甘いキス。

    彼にプレゼントするつもりが、わたしが貰ってしまったみたい。


    「来年は、忘れずにあげるからね」


    だから、今年も一年、君の隣にいさせて?

    きゅん

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  12. 昼休み、幼なじみと空き教室で二人。

    これも毎日の事だった。


    「ねえ、キスしていい?」

    「っ、ばか!」


    わたしの唇に触れる手を、思いっきり振り払った。

    空き教室とはいえ、外に聞こえたらどうするの!


    「じゃあ、何のために来てるの?」

    「そ、それは・・・」


    顔が熱くて、たまらない。


    「俺にキスされたいから、でしょ?」


    反論できない。

    その質問の答えは、『その通り』だから・・・

    そのためにわざわざ、理由を作っては二人きりになっている。

    今日も、先生に頼まれた荷物を取るだけなのに二人で来たのに。


    たとえずる賢い考えだとしても。


    「好きな人とは、一緒にいたいから・・・」

    「俺も、そう思ってなかったらついて来ないよ」


    意地悪に笑う彼。

    その顔が愛おしくてたまらなくなった。


    「キスしていい?」


    ずるいよ?

    その言葉は、彼の唇に溶けていった。

    きゅん

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  13. 「おはよ」


    「・・・っ」



    家を出ると、いつもの光景が広がった・・・はずだった。


    そこには、幼なじみが満面の笑みで立っていた。


    ーー手には、ピンクの花束を持って。



    「う、嘘でしょ! 学校に持ってくの?」


    「いや、そこ?」



    そこじゃ無いよ、と笑う幼なじみ。



    「ねえ、今日誕生日でしょ?」


    「へ?」



    たしかにそう、だけど。



    「誕生日おめでとう・・・大好き」


    「っ!」



    花束と同時に、甘い口付け。


    ぶわっと綺麗な花びらが舞う中、更に抱き締められた。


    こんなの、嬉しくないわけがない。


    ・・・だから、わたしも。



    「わ、わたしだって、負けないくらいに大好きだよ・・・!」



    勇気を振り絞って、君に「好き」を伝えるから。


    ・・・最高の誕生日プレゼント、ありがとう。


    今日から彼氏の君に、そうこっそりと伝えた朝。

    きゅん

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  14. 「ほら、来てよ! ここから見ると綺麗なの!」


    短い昼休み、わたしは幼なじみを連れて校舎裏へ。


    雪がひらひらと舞っていて、綺麗だけどひどく寒い。


    ここ、校舎裏はわたしの秘密の場所。


    みんなは来たがらないけれど、実は綺麗な景色が見られる。


    せめて、この雪が降る日に幼なじみと来たかった。


    「・・・確かに綺麗。他のやつにも教えよっかな」


    「だ、だめ!」


    慌てて言うと、幼なじみは少し驚いたように顔を上げた。


    「・・・好きな人と秘密にする、って決めてたの」


    ずっと、幼なじみに恋していたから。


    恥ずかしくて、声が上手く出せない。


    俯きかけると、頬に触れる彼の手。


    ーチュ


    「・・・へ」


    「じゃあこれも秘密」


    にこ、と笑う彼に、少しだけ悔しくなった。


    雪が舞う中、わたし達はもう一度、唇を重ねた。

    きゅん

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  15. 白い雪が積もっている朝。


    白い息を吐きながら歩いていると、転んでいる人を見つけた。


    氷で滑って転ぶのを見て、つい笑ってしまう。


    「ふふ」


    「・・・は?」


    笑っていると、その男の子に睨まれた。


    「ご、ごめんなさい!」


    「何、お前」


    よく見ると、その男の子は同級生。


    それも、怖いと噂の。


    「雪、慣れてないの?」


    おずおずとそう聞くと、恥ずかしそうに目を逸らされる。


    「関係ないだろ?」


    「か、関係なくない! 怪我したら大変だよ!?」


    思わず叫んでしまって、ハッとする。


    変な人だと思われたかもしれない。


    「やっぱ面白い」


    そう言って笑う姿に目を奪われてしまう。


    「ほら、転んだら大変だよ?」


    そう思って、彼に手を差し出した。


    「・・・うん」


    手を繋いで、二人で歩く。


    それは雪のように真っ白な、恋の始まり。

    きゅん

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  16. 「あ、雪だ」


    授業中、わたしがそう呟くと、みんなが一斉に窓の外を見た。


    窓の外でひらひらと舞う雪は・・・


    「綺麗だね」


    急に後ろからそんな声。


    もしかして。


    そう思って後ろを向くと、先生が後ろに立っていた。


    「ちょっと、先生! 秘密じゃなかったんですか!」


    わたしは慌てて小声で囁く。


    実は、わたしと先生は秘密で付き合っている。


    だから、誰もいないとき以外は、なるべく話さない約束だった。


    「君が綺麗だって言ってるの」


    もう我慢できない、と先生。


    「・・・わたしもです」


    せめて、みんなが雪を見ている間だけ。


    そう思って、わたしは先生と抱きしめ合った。

    きゅん

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  17. 小さい頃から大好きだった幼なじみ。


    今日、わたしは彼に告白する。


    「好き、です」


    自分でも分かるほど鼓動が速くなる。


    でも、彼は無反応。


    「・・・わざわざ呼んどいて、それだけなの?」


    ーーそれだけ?


    「それだけなんかじゃない!」


    ずっと、ずっと好きだったのに。


    わたしの反応に、さすがの幼なじみも驚いたように見える。


    「お前とは付き合えない、ごめん」


    くしゃ、とわたしの頭に触れる幼なじみ。


    ・・・そんなの、ずるい。


    「そうだよね、ごめんね」


    わたしは勝手に納得して、体育館を出て行く。


    外はさっきより寒くなった気がする。


    「・・・ばか」


    あんなの・・・余計に好きになるだけだ。


    わたしがしゃがみ込んでいると、いつの間にか雪が降ってきた。


    やっぱり諦められない、とつぶやくと、それは雪の中に溶けていった。

    きゅん

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  18. ある日の放課後。


    わたしはばったり会った同級生と下校中。


    昨日降った雪が、まだ地面に残っている。


    「滑らないでよ、ここ凍ってるから」


    先を歩いていた同級生が、そう声をかけてくれた。


    「うん、ありがと・・・わっ!」


    わたしは注意されたにも関わらず、思いっきり足を滑らせて・・・


    「大丈夫だった?」


    気づいた時には、同級生の腕の中だった。


    顔の近さに、思わず目を逸らす。


    「・・・本当、可愛すぎる」


    同級生が何かを呟く。


    「え? 何か言った?」


    「・・・いや、また雪が降ってきたなーって」


    その言葉につられて、空を見上げた。


    ひらひらと雪が舞っている。


    わたしは彼に抱きしめられたままーー


    しばらくの間、離れられなかった。

    きゅん

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  19. お昼休み、私は幼なじみと屋上にいた。


    いつの間にか、これがいつもの光景になっていた。


    二人で屋上に行き、他愛もないことを話す毎日。


    ・・・こんな毎日が、ずっと続けばいいのに。


    真っ白な雪が降ってきて、私は空を見上げた。


    「あ、雪が降ってきた!」


    「雪だけで騒ぐとか・・・子供なの?」


    「うるさい!」


    雪ではしゃぐくらい、許してほしい。


    「子供」と言っておきながら、彼も嬉しそうに空を見上げる。


    その横顔に、悔しいけどときめいた。


    あんな綺麗な瞳で、私の事ももっと見てほしいのに。


    素直になれないのは自分でも分かってる、けど。


    「雪、綺麗だねーーわたし、雪が好き」


    心の中でこっそり、“君もだよ”と付け足した。


    伝えられるはずのない、淡い恋。


    そんな切ない思いも、君といれば・・・


    雪みたいに、少しずつ溶けてゆく。

    きゅん

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  20. 「莉乃先輩、先に行っちゃいますよ?」


    寒い冬の朝、わたし・月井莉乃に声をかけるのは、隣に住む後輩・天野悠人くん。


    「それとも・・・キスしてほしいんですか?」


    「違う!そんな訳ないし!」


    こんな会話も、今となればいつもの事だった。


    それにしても・・・今日は一段と寒い。


    「莉乃先輩、手袋いりますか?」


    「あ、大丈夫だから」


    それに、それって悠人くんの手袋だよね?


    なんだか申し訳ない。


    「莉乃先輩、寒いんじゃなかったんですか?」


    「悠人くんこそ寒いでしょ?」


    「いえ、僕は・・・」


    少しためらってから、わたしの耳元で囁く悠人くん。


    「莉乃先輩が暖かければいいんです」


    「え・・・」


    わたしが戸惑う隙を見て、にっと意地悪に笑う悠人くん。


    気づいた時には、悠人くんは先を歩いていて・・・


    わたしの手には、さっきの手袋が握られていた。

    きゅん

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  21. 「ねえ、まだ起きないの?」


    「・・・!?」



    少し低い声に顔をあげると、目の前にクラスメイトがいた。


    しかも、よく「怖い」と噂をされている人だ。


    もしかして私、帰りの学活から寝てたの?


    睨みつけられている気がして、声が出せずにいると。



    「こんなとこで寝てたら、風邪ひくぞ?」



    ・・・あれ?


    思っていたよりずっと優しい。


    どうせ睨みつけられるだけだと思ってたのに。



    「っていうか、お前の寝顔可愛いんだな」



    そう言って、頭を撫でられた。



    「ね、寝顔見てたの!?」



    もしかして、起きるまでずっと見てたのかな?


    しかも、可愛いとか・・・


    冗談だって思っても、頭から離れない。


    ・・・もう、好きになったってしょうがないよね?


    そう思って、赤くなった顔を押さえた。

    きゅん

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