ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 寒い。
    「雪か,最悪」
    「えっなんで?」
    雪なんて
    「ひどいと電車止まるし,会社行く人は歩いてかなきゃなんねぇし。歩きずれぇし」
    「ふっ。うん,滑るよね」
    「じゃなくて,足跡つけたり黒くなってんの見ると,胸くそ悪くて人が一回通ったとこばっか見つけて通らなきゃなんねぇから」
    「そ……ふふっ,ごめっそうなんだ」
    「さっきからなんなの」
    「いや,あんまり自分以外の事ばっかり気にしてるから」
    しかも,彼女は続ける。
    「雪,ほんとは大好きじゃん」
    ……そんなわけない。
    「でも良いよね」
    俺の話なんて聞いてない彼女は,素手で雪を掬い上げると,俺の前まで持ってきて
    「ほらっ」
    真上にふわっと放った。
    小さな粒が2人の上から降ってくる。
    「綺麗でしょ? それに……」
    寄ってくる彼女になんだと視線を向けると
    「手が冷たくなったと手を繋ぐ理由ができる」
    ふふんと笑う彼女に,俺は理由なんか要らねぇよと笑った。

    きゅん

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  3. 「ゆぅきがこんこん。あーられがこんこん…ねぇ何で2つを一緒にしたのかな。似てるから?」
    「知らねぇよ」
    相変わらずどうでも良いことばかり気になる俺の彼女。
    「あ! 雪で思い出したんだけど,昔私のほっぺに雪つけてからかったでしょ! 仕返しするから目瞑って!」
    いつの話だよ,下手したら小一くらいだろそれ。
    まぁそれくらいで気がすむなら,と従う俺。
    そっと頬に手が触れる。

    -ちゅっ
    「へへっ冷たいかと思ってビックリした?」
    キラキラした顔で言う彼女。
    そして,今度はサクサクと歩く感覚を楽しみだす。
    子供かよ…
    「つーか待て,勝手に話し終わらせんな」
    -ガバッ
    「ふぇえ!?」
    「仕返しの仕返し」
    「バカっ,そもそもほんとは私そんなことされたことないから仕返しじゃない!」
    なにそれ。
    素直じゃない。
    「俺,お前のそうゆうとこ好きだよ」
    彼女はまた子供みたいに頬を膨らませて照れる。
    …ほんとだよ?

    きゅん

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  4. 『丁度良かった。寂しいから一緒にきてよ』
    そう手を引かれてやって来た図書室。
    俺,関係ない。
    そう思いながらも,俺で良かったと素直についてきてしまうのは惚れた弱み。
    彼女は俺じゃなくても声をかけたから。
    「わ! 雪だよ!」
    「…本は?」
    「良いじゃん,ね?」
    彼女は窓の外の雪におおはしゃぎ。
    「私ね,雪とスノードロップが大好きなの」
    可愛いからいいけどなにそれ?
    「そうなんだ」
    それだけ返す。
    「あのね,雪には色がなかったの。だけどそのお花だけが色を分けてくれて,だから今の色なんだよ」
    ここで漸くその正体が花だと知り,へぇと思った。
    「まるで君みたい。だからすき。私をいつも助けてくれてありがとう」
    …誰がこんなオチを想像できた? まるで
    「…告白みたいだ」
    ポロリ。
    「っそんなつもりじゃ……でもその,間違っては,ない,よ?」
    あぁ,君の心はいつだって真っ白で,どんな花よりもずっと綺麗だ。

    きゅん

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  5. 誰もいない公園,去年のこの日を思い出す。
    バカだなとは思うけど,祝日で,ご丁寧に名前のついた日だったから忘れられなかった。
    私はこの日,幼馴染みだった彼に少しの期待をもって『すき』を伝えた。
    玉砕して,今では話すことも叶わない。
    想いを告げた自分の間違いに気付いた私は,小さい頃の想い出の詰まったこの公園にきた。
    記憶の中の彼と作った小さな雪だるまを再現して,出来上がって,隣に彼がいない事実に胸が痛んだ。
    (明日になったらこの子も溶けて,私の涙はきっと隠してくれる)
    それでこの恋を終えようと
    誓った。
    なのに私はまたここにきて雪だるまを作っている。
    あの子が溶けてなったのは,液体ではなかった。
    私の中で,今も記憶と後悔として残っている。
    「ねぇ,何してるの? 俺,あんたの事さがしてて…祝日で良かった。俺,一年のうち一回の日なんて覚えてらんねぇもん」
    いや,まず誰?
    -雪が溶けたら春が来る。

    きゅん

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  6. 「月,綺麗だな」
    これは,告白ではない。
    2人とも,夜の星や月をなんとなく眺めるのが好きで,回りに虹がかかったり大きくなったりするとすぐ気付く。
    だから,これは日常。
    「うん…綺麗」
    それに,彼は文学に興味などなく,ましてやネットの恋愛記事など読まない。
    だから夏目漱石の逸話など知るはずない。
    それでも私のバカな心臓は跳ねる。
    平静を装って,私は思った。
    (どうせ子供っぽい冗談だと思われる。伝えてみてもいい?)
    練習として。
    伝えるとは呼べないのかもしれないけど。
    「今,なら…手が届くかもしれないよ?」
    彼は笑わずに,私にスッと視線を移すと,真っ直ぐな瞳で言った。
    「伸ばしてみてもいいの?」
    明らかに私に言っていた。
    しってた,の?
    -カァァァ
    本番に,なった…
    それに,その言い方だとまるで…
    …嘘でしょ?
    「ならもらう,ちょーだい」
    彼は私を抱き締めた。
    「は,はぃ」
    月が,綺麗ですね。

    きゅん

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  7. 幼馴染みで彼氏な彼の家。
    彼は自分のベッドで寝ていた。
    (ふ,黒猫みたい)
    癖っ毛な彼の髪をそっと撫でる。
    そうしているうちになんだか暇になって,ベッタリとうつ伏せていた彼の横に私も並んだ。
    そのまま彼の髪に手を伸ばすと,少しテンションが上がってくる。
    (かっかわいいー!)
    寝ていることをいいことに,私は彼にペタペタふさふさ触る。
    するとパッと手を掴まれて,気づけば私の手首はシーツに縫い付けられていた。
    彼は私の上にいる。
    寝起きとは思えない俊敏さ。
    やっぱり猫みたいだ。
    「ねぇ,誘ってる?」
    彼の目は熱く濡れている。
    低く掠れた声に,私は身の危険を察知した。
    「わっいやっちがう! ごめんね!」
    「ちょっと,うるさい」
    「きゃぁっ」
    彼は私の口を塞ぐ。
    彼は猫みたいだけどそうじゃない。
    私が起こしてしまったのは,ネコ科の猛獣だったらしい。
    「んっぁ」
    銀の糸をひく彼は,まさに猛獣だった。

    きゅん

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  8. 3,2,1…
    「明けまして…」
    隣にいる背の高い義兄を見上げて,私の言葉はその人に飲み込まれた。
    …比喩でも何でもなく。
    「なっなに…を…」
    「ははっ顔赤いんですけど」
    誰のせいだと…!
    口をパクパクさせても,そこから音は出ない。
    私が妹だと頑張って思い込もうとしてるのに,この男はすぐ惑わそうとする。
    「あぁ。正月だって? うん,おめでとう。妹ちゃん?」
    「……おめでとうお兄ちゃん」
    妹なわけないだろ。
    そんな視線から逃れて,私は言い返す。
    「へぇ,そうゆう感じ?」
    少しイラッとした顔をして兄は私に近づく。
    私は,動けなかった。
    急だったから,それだけ。
    私達の気持ちはきっと一緒。
    でも私は何一つ捨てることが出来ないから,私達は兄妹。
    「今年は手加減しないから。神頼みもしてきたしね」
    バカじゃないの。
    揺らぎそうだ。
    私が,余裕と意地っ張りがなくなるくらい心乱された時,それが私達の始まり。

    きゅん

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  9. 美味しそう…
    ーじゅるり…
    「全く,散々迷った挙げ句それにしたのは君でしょ?」
    そう呆れて見せるのは近所のお兄ちゃん。
    今は担任でもある。
    確かに限定のそれか,いつものかで迷って無難な道を選んだのは私。
    でも!
    「…それも飲んでみたいの!」
    そうゆうと,彼は私にカップを向ける。
    多分くれるのだろう。
    飲みたいって言ったのは私だけど……!
    間接キスだ……
    気にされてないのが腹立たしい。
    私はこんなに恥ずかしいのに…
    私はカップを受け取らず,彼の手から直接口に含んだ。
    どうだバカ!
    「うぐっ」
    顔をあげようとしたら,次から次へ彼の食べていたケーキが押し込まれる。
    何? 食べさせるのが気に入ったの?
    訳の分からない休日だった……

    ー全く,油断も好きもありゃしない。俺が知らんぷりして,手加減してやるのはあと数年だけだからな…
    彼女は知らない。
    この時,意外にうぶな目の前の男の顔が赤かったことを。

    きゅん

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  10. いつも通りまったり過ごす家の中
    「はい,プレゼント」
    そう言って彼氏の蓮が渡してきた物をみて驚いた。
    「何で…」
    「だってクリスマスデートの時,呉羽欲しいなって思ったでしょ?」
    見逃すわけがない。
    そう言う蓮に泣きそうになった。
    クリスマス仕様になったクマのぬいぐるみ。
    確かにすれ違いざま,私はそれを欲しいと思った。
    私は蓮より年上だし,恥ずかしくて言えなかったのだ。
    「でも…」
    悪いよ。
    「んぅっ」
    開いた口は塞がれる。
    「お返しってことで」
    蓮は妖しく笑った。
    だから,すごく恥ずかしかったけど私からもキスを返す。
    ありがとうって。
    蓮の気持ちが嬉しかったから。
    蓮は頬を赤く染めて,片手でそれを隠した。
    可笑しくて笑う。
    そのぬいぐるみを抱えて眠る夜は暖かくて心もポカポカした。
    そんな大事な大事なぬいぐるみは,やっぱり大切な,小さな姉弟にプレゼントされる。
    それはまだ,2人に内緒のお話。

    きゅん

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  11. 私は女の子らしくない。
    オシャレとかも普通に好きだし恋だってしてる。
    だけど,男子ですら寝てない授業中に平気で寝たり,掃除は好きなくせして片付けが苦手で,引き出しが酷いことになってたり…
    今日も私は誰もいなくなった教室で,机にうつ伏せていた。
    ただ眠たかったから。
    「あーマジ疲れた」
    意識が遠のく感覚に身を委ねようとして,一気に覚醒した。
    嘘…何で。
    「ったく雑用ばっかり… ?まだいたんだ」
    人間驚くと動けない。
    顔をあげる度胸もなく,私は狸寝入りをした。
    すると彼が寄ってくる気配がして,更に心拍数が上がる。
    「すきだ」
    ぼそっと呟くような声だった。
    ガタッと顔を上げる。
    「ぅ,え?」
    動揺からで,やってしまったと思った。
    「お,まっ…起きてんなら言えや」
    目を泳がす私を見て更に言う。
    「お前のそうゆうギャップにやられたんだよ…」
    言わせんな。
    そういう彼の頬には,ほんのり朱がさしていた。

    きゅん

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  12. ヒーロー視点
    「好きです。付き合ってください」
    俺には好きと言っても言われてもないけど,小四の時から付き合っている人がいた。
    そんな人に告白した小学生最後の日。
    お茶目で可愛い人。
    俺のことを理解してくれて,よく笑う女の子。
    デートもあんまりしないし,デートにサンダルで行ったと知られた時には女友達に怒られた。
    気負わなくて良くて,お互い素でいられる。
    彼女はモテているとかは知らないけど,周りから見ても,外見も性格も可愛い頭の良い子。
    そういう雰囲気が無いから,俺が彼女だというと大抵驚かれる。
    俺が普段からいろんな人といるせいで余計分かりにくいのかもしれない。
    友達みたいな俺達だけど,その中にお互い特別な感情があって,そういう関係。
    俺も凄く可愛いと思うし,好きだ。
    それもちゃんと伝わってるのが嬉しい。
    そんな周りにはあんまり理解されない在り方は,中学校が終わろうとしても変わっていなかった。

    きゅん

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  13. ヒロイン視点
    私には付き合ってと言われたわけでも好きと言われたわけでもないけど,小四の時から付き合っている人がいる。
    皆には理解して貰えないけど,向こうもそう思ってる。
    ちょっとどうしよもない人。
    デートなんて滅多にしないけど,平気で女友達と2人で出掛けるし,バレンタインも自分から頼んで貰う。
    でもモテているわけじゃない。
    初対面でも友達みたいに接することで,異性にも意識する方が恥ずかしいのだと思わせる力があって。
    一緒にいても誰も誤解しない。
    そうゆう安心感を上手く与える。
    そんな人に呼び止められた小学校最後の日。
    何の特別感も無い路地裏で
    「好きです。付き合ってください」
    ちゃんとロマンチックとかを理解してるようで,特別な日を選んでいて,敬語だった。
    それに,ハッキリしようとしてくれた。
    私は充分だったのに,誠実に向き合ってくれた。
    私は嬉しさにはにかんで,腰の辺りで小さく丸を作った。

    きゅん

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  14. 「てーれんっ今日は何の日でしょう!」

    「クリスマスだけど…?」

    にぶにぶの君は,こんな日に誘われても平気でついてくるような奴だ。

    「ぶっぶー! 恋する女の子の日です」

    ここまで言ってもピンと来ないように首を傾げている君に,ちょっと腹が立つ。

    も~っ可愛んだよちくしょー!

    「…す…好きなんだよ……バカ」

    何度も練習したのに言いよどんでしまった。

    それよりもにぶにぶの君にちゃんと伝わっただろうか?

    不安げに見上げると……彼は嬉しそうに笑っていた。

    「上目遣いとか,ほんとずるいよね。あ~あ長かった。ずっと待ってたんだよ?」

    にぶにぶの君は一体何処に行ったのだろう。

    君は私を軽く抱き締めた。

    ほんの少し空いた空間が逆に恥ずかしい。

    「さっきの問題の答え,間違ってるよ。」

    「え?」

    「今日は僕たちの記念日だ」

    私が意味を理解するより早く,君は私に軽いキスを落とした。

    きゅん

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  15. 2人で,輝く世界をテレビ画面越しに見る。
    「あ~あ。今年も2人寂しくケーキかぁ」
    つまり,そう言うこと。
    「んま,いんじゃね?」
    「よくないよ~。あんたなんかせっかくモテるのに…」
    気に入る子が居ないなんて逆に不憫だ。
    今後に希望が持てない。
    「まぁ。こればっかりは来年にご期待,かなぁ」
    「…今年でも,叶うかもよ」
    …え?
    じっと私を見つめる瞳。
    「…冗談よしてよ。私が誤解されないようにどれだけ苦労してることか」
    本当に,幼なじみって響きが特別に聞こえるから。
    肩をすくめて見せたが,何の反応もない。
    「え? マジでいってんの?」
    だらけた姿勢を少し直す。
    幼なじみなはずのそいつは,頬だけを静かに染めて,答える代わりにキスをした。
    …今日,画面の向こう側にいなくて良かったかもしれない。
    こんな顔,他の誰にも見せられない。
    それに…向こうにいることに成功していたらきっと,こんな日は来なかった。

    きゅん

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  16. 人混みの中,僕を見つけて走ってくる,君の可愛い笑顔にきゅんとしたのは僕だけの秘密。
    「ごめんね。人混み,嫌じゃなかった?」
    「ふっ」
    ほんとに君は。
    君を待つ時間が嫌だなんて,何処であろうがありはしない。
    僕が笑った理由が,君には分からないようだった。
    「メリークリスマス。これ,定番だって思う?」
    今日唯一の不安。
    勿論心を込めて選んだ物で,中身はマフラーだ。
    君は中を確認すると呆気にとられた顔をする。
    そしてキョトンとする僕を見て,君は嬉しそうに,そして楽しそうにクスクスと笑った。
    「じゃあ私からも,定番だって思う?」
    僕は彼女が僕を真似るように言うのを見ながら受け取り…理解した。
    「ふふっ。お揃いだねっ」
    同じマフラー。
    しかも,色ちがい。
    君がそれを喜んでいる事も含めてとても嬉しい。
    「あっ」
    可愛い君が無邪気に声をあげる。
    「ホワイトクリスマスだよっ!」
    僕達は2人ただ笑いあった。

    きゅん

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  17. しんしんと降る雪。
    サクサクとなる足元を見ながら君と歩く。
    「ずっと一緒だったのに……これで最後だね」
    君はなにも言わない。
    「あのね。私…ずっと君が好きだったの。最後だとこんなに簡単に言えるんだね。知らなかった」
    知りたくも,なかった。
    「雪……ついてるぞ」
    「え?」
    彼を見上げると,大きな影に覆われた。
    「んっ……」
    なんで…
    「ははっ」
    それより,君,そんな顔出来たの。
    初めて知った。
    君も,寂しがってくれてるの?
    なら,いいや。
    さっきのも許してあげる。
    だから…ね? そんな苦しそうな顔しないで。
    じわじわと涙が上がってきて,私は笑った。
    目を細めて,雫に気付かれないように。
    「…俺,迎えに行くから……!」
    「っは」
    目の端にたまった涙が,目を見開いた反動ではじける。
    「……ふっ……あはっ……んじゃ,待ってるからね」
    別れ際,まだまだ青かった私たちが交わした,静かで大きなやくそく。

    きゅん

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  18. 「ふっ…」
    リアルでこんなことが起きるなんて思ってもいなかった。
    目の前に広がる花束に綺麗なイルミネーション。
    そして困った顔で笑う先輩。
    期待しなかったわけではない,何せこんな日だ。
    でも相手は調子ばかりいい先輩。
    心を鎮めて,何でもない様に振る舞おうとしてたのに。
    サプライズに涙がボロボロ溢れる。
    ロマンチックな演出に周りも目を輝かせた。
    先輩にぎゅっと抱き締められる。
    「もっかいだけいうね。俺と…付き合って…」
    「~っはい!」
    私に出来うる最大の笑顔。
    するとずっと光っていた視界が暗くなって……
    「っもうっ」
    私は先輩に抱き付くことで応える。
    まだ早いとか周りの人とか関係ない。
    幸せからかイルミネーションのせいなのか,目の前はキラキラキラキラしている。
    夢と希望のつまった魔法の日。
    今年は私にも魔法がかかったみたい。
    「ごめんね。可愛くて」
    調子のいい先輩はチロっと舌を出して見せた。

    きゅん

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  19. 「っい!?」
    廊下を走っていた私は、突然腕を引かれ、教師以外立入禁止の部屋に連れ込まれた。
    声を上げそうになったけど、ぽすっと胸板に頭がぶつかる慣れた感覚と大好きな匂いに気づいて、必死に声を殺した。
    私たちの関係が周囲にとってイケナイものだと理解しているから……
    いつもはこんな不用心なことしないのに、と見上げれば、何故か少し微妙な顔をしていた。
    「……ふぅ。また頼みごとでしょう。貴女は休み時間の度に学校を端から端まで走っている」
    「で、でも」
    「分かっています。断れないのでなく、貴女がそうしたくてしているのでしょう? そんなところも好きです」
    仕方ない人だと、ポンっと頭に置かれた手にドキドキが止まらない。
    「だから、せめて少しは体を休めて下さい。」
    先生は私をぎゅっとする。
    そして帰りに糖分をとアメをくれた。
    その後、私はそれを舐めながら、きゅうきゅうとうるさい心臓を鎮めるのに必死だった。

    きゅん

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  20. まったく、人生とは不思議なものだ。

    小学生の頃,よく遊んでやっていた2歳年下のガキンチョと,今ではカレカノである。

    だからかつい和んでしまう瞬間があり,彼はそれがちょっと不満らしい。

    「ホント,可愛い奴め」

    ちゃんと好きなのにね。

    そんなことを思いながらウリウリと彼の頭を撫でていた私は,彼の変化に気づけなかった。

    気づいた時にはもう遅い。

    年下である彼に,押し倒された後だった。

    目は口程にものを言うと昔から聞くが,こんなに恥ずかしい思い知らされ方をしたのは初めてだ。

    欲情に揺れる瞳。

    そんなものに真っ直ぐと捉えられた私は,目をこれでもかと言うくらい開き,正直に赤面した。

    腕は彼におさえられ,軽いキスが落とされる。

    『こんなのっ……昔みたいにただのガキンチョとして見るなんて……無理でしょ』

    少しして解放された手で顔を覆っては見ても,顔の赤面は暫く治らなかった。

    きゅん

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  21. 『ヒーロー目線』

    どんな時も泣いてうずくまるしかなかった僕の手を

    『しょうがないなぁー』

    そう言って,君はいつだって誇らしげにひいた。
    憧れから始まって,それがいつ恋に変わったのかなんて,もう覚えてない。

    「待ってよ~」

    でもそれは確かに恋で,一秒でも君の心に居座りたくて,僕はいつからか君を追いかけるようになった。

    「なんで逃げるの?」

    「全っ然可愛くないっ!!」

    少し置いて,突然脈絡のないことを言う君に,僕は微笑む。
    いつまでも小さな男の子ではないと分かってほしくて。
    あわよくば意識してほしくて。
    そして結局,絶対に逃がす気はなくて。

    「君は可愛いよ。だから,ねぇ,早く僕に堕ちてよ」

    僕はまた微笑んだ。
    君への愛しさを込めて。
    日々変わる君の反応と表情に,期待をもって。
    今この一瞬。
    僕しかうつさないその瞳と,赤く染まった頬に,僕は少しの優越感と幸せに大きく包まれた。

    きゅん

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