ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「お人形さんが体調崩してどうするのさ」

     その通り過ぎてぐうの音も出ない。お見舞いを提案した張本人が体調を崩すなんて……。

     でもあの日は、その前の夜に日野川先輩のことで寝不足だったせいで……!

    「もしかして日野川先輩も、私のこと、心配してくれたんですか?」

     無いとわかっているが、これで照れた表情一つ見せてくれれば面白いのに。

     仕返しのつもりで日野川先輩と同じように聞き返すと、日野川先輩は顔色一つ変えずに答える。

    「うん。心配だったよ」

    「……え」

     ……心配、してくれてたんだ。日野川先輩も。

     日野川先輩の言葉が頭に木霊する度、体が熱くなっていき、私は顔をそらして白米を口に運ぶ。

     なんで日野川先輩じゃなくて、私が照れているんだろう。こんなつもりじゃなかったのに。

    きゅん

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  3. 「ねぇ、お人形さん」

    「……私は人形じゃ——」

    「僕がお人形さんにぴったりな、素敵な世界に連れて行ってあげる」

     私の否定の言葉は、黒髪の先輩の奇妙な言葉によって遮られる。

     その言葉に疑問を抱き、顔を上げて黒髪の先輩の顔を見るが、そこには今までと同じ、柔らかい笑みがあるだけだった。

     けれど、その声色だけは今までとは違う真剣なもので、黒髪の先輩が適当な冗談を言っているようには思えなかった。

    「私に、ぴったりな、素敵な世界……?」

     一つ一つその意味を確かめるように、ゆっくりと黒髪の先輩の言葉を繰り返すと、黒髪の先輩は小さく頷く。


    「だからさ、僕の舞台で踊ってみない?」


     そう言って黒髪の先輩は、まるで幼い子供に問いかけるようにコテンと首を横に倒す。

    きゅん

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