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  1. 10件ヒットしました

  2. ――クリスマスの夜、ツリーの下、来てよ。
    私の苦手な早乙女君という派手な男子に呼び出された。行きたくない。ため息をつくと白い息が紺色の夜空と町を彩る電灯に溶けていった。

    「先輩?」

    声のする方に目を向けるとマフラーに顔を埋め、大きな瞳に沢山の光を集めている後輩がいた。

    「早乙女先輩ですよね。学校中の噂っすよ」

    「え、嘘」

    「行きたくないですか?」

    「あ、いや寒い中待ってくれてるから行くよ」
     
    嫌なのに誘いを断れなかった私にも非がある、と後輩に背を向けた。
    クイッ
    袖が優しく、それでいて強く引っ張られる。

    「……行かないで」

    か細い声に思わず振り返る。

    「絶対離しません」

    「……先輩は僕だけを見てればいいんですよ」

    真っ赤な顔で袖を掴んだままそう言った彼は目が合うと視線をそらした。

    ……自分だけを見てって言った癖に。

    私は口元をふっ、と緩めて彼の冷えた手を握った。

    きゅん

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  3. 「わぁ〜、クリスマスってやっぱりすごいね!」
    嬉しそうに響かせる声に俺の心臓の鼓動は早まり、言葉は詰まった。
    藍色の夜が彩色に溢れ、目眩がしそうなくらいの人混みの中想い人と聖夜を歩く。
    俗に言う、幼馴染みというやつだ。
    ずっと前から好きでした。
    そんな台詞は、十数年隣にいた奴に言うのに気恥ずかしくて。
    「あ、ねぇ、ここの屋上登れるみたい!行こーよ」
    「あ、あぁ」
    駄目だ、マトモにコイツに目を合わせられねえ。
    「……楽しくない?」
    「え?」
    「さっきからずっと上の空だし」

    潤んだ瞳と震える唇を見て、俺は止まれなくなる。

    「今夜は月が綺麗だな」

    「月なんて……」

    そう、月なんて出ていない。
    彼女は静止し俺を真顔で見つめた後、ふっ、と笑って頬を染める。
    仕方が無い人、とでもいうような表情で言った。

    「今なら手を伸ばせば届くかも」

    もう無理。
    その言葉を合図に、俺は彼女の唇を攫った。

    きゅん

    6

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  4. 光が弾けては闇に溶けていく。りんご飴に唇をつけて花火を見ている彼の瞳に色彩が入って綺麗だった。花火大会。浴衣を悩んで買い、丁寧に髪をセットして、色付きのリップを初めて塗った。
    なのに、君は気づかない。 
    今までの自分が馬鹿みたいで泣けてくる。じわりと滲んだ涙で彼の横顔が歪んだ。
    「ん!?」
    彼が突然振り向き、りんご飴を私の唇に押し付けてきた。つい零れた涙が頬を伝うのを感じる。

    「お前、唇無防備すぎ。ていうか全身で俺煽りにきてるだろ」

    りんご飴の柄を持って私を睨む彼は、花火のせいか頬が赤く染まっている。

    「次、そんな顔したらりんご飴で済まないからな」

    乱暴に言い放って私の手を掴み、りんご飴を持たせた。

    「それ甘すぎて苦手。やる」

    全部見ててくれた。嬉しくて、顔が熱くて、唇が甘くて。これは花火の音?それとも。更に君から目が離せなくなった。
    「すき」
    私の声はりんご飴に溶けていった。

    きゅん

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  5. 「刈谷君の好きな人、クラス1可愛いらしいよ」

    「絶対桜だ!」

    「そんな訳無いよ〜」

    人間とは思えない花の様な笑顔に苦しめられる。

    こんな振られ方、あり?

    こんなだったらバレンタインに告ってさっさと玉砕しとけば良かった。

    最悪――。

    ***

    「音海」

    一番見たくない顔。一番聞きたくない声。

    「何で泣いてんだ」

    「……っ」 

    「何で泣いてんだ!」

    「……クラス1可愛い子が好きなんでしょ」

    「は?」

    「桜ちゃんの所行きなよ」

    震えた声で突き放したのに、何故か箱を差出された。

    「……開けろ」

    言われるまま開け、チョコと共にあった紙を見る。

            『好きだ』

    「え……?」   

    「そのままの意味だよ」

    「でもクラス1可愛い子が好きだって……!んむっ」

    温かみが、唇に触れた。熱が立ち上る。

    「馬鹿。好きな奴が宇宙一可愛いに決まってんだろ」

    きゅん

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  6. 「来栖」
    「先生!」
    「はい。バレンタイン、ありがとね」
    サラサラと揺れた黒髪が先生の長い睫毛をなぞったのが甘かった。
    やたっ!
    心の中でガッツポーズ、浮足立った。
    長い指が包んでいるそれを受け取ろうとして、ずしん、と心に重石が乗る。
    胸が苦しいのに、心臓だけは活発に活動していて。
    「あ、ありがと、せんせっ!」
    取り繕った笑顔と共に、掠れたお礼をぶつけた。
    全然思ってないのに。
    仮面が剥がれる前に、その場を走り去った。
    先生、気付いてましたよね?
    本命だって。
    あの甘い雰囲気に、声に、優しさに、笑顔に、惹かれた。
    ずっと我慢してた、先生だからって。
    それでやっと伝えられて、終わり方がこれだなんて。
    先生、罪な人ですね。
    酷い。
    先生のこと、好きで、嫌いです。
    頬に温かいものが伝った。視界に水が溜まり、陽が射す。
    やめて、思い出す。反射具合が全く一緒。

    先生の、薬指にはまっていた、指輪と。

    きゅん

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  7. ――2月14日朝、暗く、冷たい場所に閉じ込めた。

    「早紀」

    「田淵君……?」

    話しかけられただけなのに心が躍る。

    「ん」

    そっぽを向いて頬を赤らめたかと思うと、小さな箱を差し出してきた。

    「ホワイトデー」

    「え……でも私、田淵君に、何も」

    「バレンタイン貰ってなきゃ、渡しちゃいけねぇなんてルール、ねぇだろ?」

    キラリ、と瞳に妖しげな光が走った。

    「しかも」

    「お前、俺に渡す予定だっただろ」

    全てを見透かしたような、大人で意地悪な笑みが色っぽく、私を熱で覆った。

    ……もう、イジワル。

    ――2月14日朝、冷蔵庫に閉じ込めてきた想い。

    今、溶けていきました。

    きゅん

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  8. 「おいお前」

    帰り際、背後から不機嫌そうな声をぶつけられた。

    「桐谷くん!」

    喜びで表情筋が緩んだ。

    「これ」

    「あ、ありがと……!」

    「勘違いすんなよ」

    地獄の底に落とされた気がした。

    ぬか喜びするなってこと……?

    学校の人気者の彼に私も惹かれ、初めて渡した本命。

    あっさり振られちゃった。

    だったらわざわざ返さなくて良いのに。

    家に帰ると、もらった包みを開きもせず、ただクッションを濡らしていた。

    翌日。

    「ねーねー桐谷くんってさ」

    ズキン、と心臓が抉られた。耳を塞ぐ勇気も、なかった。

    「ホワイト、誰にも返してないらしいよ」

    え……?じゃあ昨日のは……?

    その日、すぐ家に帰って、震える手で包みを広げた。

    小さなチョコとメモ。

    途端、メモが濡れ、シャーペンの文字が滲んだ。

    「お返しじゃねぇから。普通に、告白だからな」


             "好きだ"

    きゅん

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  9. 額に当たっている、繊細そうな指先。ぴくっと震わせ目をまん丸にする君。
    「熱……!無理しないで、保健室行こ。」
    寄り添う二つの背中が一つになり、歪な形に変化する。
    お姫様抱っこ、か。
    優しいね。王子様だね。
    私にだって優しい笑顔を見せてくれる君。
    だけどその笑顔が私を苦しめる。
    君の笑顔を見る度期待して、あの子を見るとその期待が砕け散って。その繰り返し。
    私だって前に進みたい。初恋なんて忘れて、吹っ切れたらどんなにいいか。
    だけどそれは君のせい。君が優しいせいだよ。
    あの子を選ぶなら、優しい笑顔なんて見せないで。
    君への好きが溢れて止まらなくなるから。
    ──できることなら、あの子になりたい。
    ずっと君の隣にいたいよ。
    どうしたら君の側に行けるのかな。
    どうしたら君に選んでもらえるのかな。
    きっともう、無理なんだね。
    だって私も、風邪引いてるのに──。
    ぼやけた視界でも君だけは鮮明だったよ。

    きゅん

    5

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  10. 私は会長が好き。何でもできて、真剣な表情がすごくカッコいい。が意地悪な時がある。そんな会長と二人きり。
    「他は来ない予定よな」
    「確かそうです」
    途端、背中に衝撃が走る。頭上には会長の腕。これは所謂壁ドン!?会長は顔を近づけてきた。
    えっ……!
    唇にかかる温かい息にドキドキする。目を瞑った。
    「ばーか」
    え、まさか……。
    「会長!」
    目の前にはニヤニヤしている会長の顔。赤かった顔が更に赤くなる。思わず、
    「会長私の事好きなんですか」
    いやおかしい!
    「嫌い」
    最悪……。会長はなぜかまた顔を近づけ、唇が触れる寸前で止めた。
    「欲しい?」
    「嫌いなんじゃなかったんですか」
    「じゃあやめる」
    くるっと向きを変えた会長。
    「何でこんなにイジメてく」

    「んむっ……!」 

    唇で塞がれた。 

    「好きすぎるんだよ、イジメたくなるくらい」

    ニヤリと笑う会長を真っ赤な顔で睨む。やっぱり会長は意地悪だ。

    きゅん

    2

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  11. 「だり~。明日フケろかっな~。」
    「もう、またそんなこと言って……」
    彼は幼馴染みの悠翔(ゆうと)。
    「んっ……何かヤバイ……」
    「はあ?な」
    私が言い切る前に、ゆらっ。
    大きな影が激しく揺らいだかと思うと、ずしっと肩に重みがかかる。
    「え、ちょっと!大丈夫?」
    無理するから……。
    ***
    頑張って引きずりながら悠翔の家まで連れ帰った。
    この家には何度も来た。
    冷蔵庫から氷を出す。
    部屋に入ると悠翔はすやすや寝ていた。
    氷を額にのせる。
    「俺……」
    虚ろな表情、潤んだ瞳が色っぽくてドキンとする。
    「大丈夫?」
    「……お前看病下手すぎ。熱上がる。」
    はっ!?
    「看病してもらえるだけいいと思いなさいよ。」
    呆れて言う。
    それなら、と悠翔はニヤっと笑い私の頭に腕を回し

    「……っ!」

    私は一気にトマトになった。
    「これ、お礼+バーターだから。ずっと側にいろよ。」

    触れ合った唇は熱で熱かった。

    きゅん

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