ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「七月が終わったらどうなると思う?」

    「うーん、もっと暑くなる?」
    「違う」

    「じゃあ、夏休みが始まる」
    「違う」

    「蝉がうるさくなる」
    「違う」

    「食堂のメニューに夏野菜カレーができる」
    「全然違う」

    「別に間違ってはないだろー?」

    「そうだけど、私の求めてる答えじゃないの」

    「じゃあ、正解は?」

    「八月になる」


    放課後の教室私は一人黒板と向き合っていた
    七月一日、黒板の右端に私が書いた「七」の字を君が褒めてくれた
    この字とも今日でお別れ
    ずっと残しておきたいけど、七月に取り残されるわけにはいかない
    君のせいで夏野菜カレー食べたくなったから
    思い切って「七」の字を消した
    上から「八」の字を重ねて書く
    また君に褒めて貰いたいと願いながら

    きゅん

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  3. ミーンミーン
    放課後なのに太陽は容赦なく照りつける

    暑い時は家庭科室に向かうに限る
    お目当ては冷蔵庫、家庭科部の特権
    「あー、涼しい〜」
    冷蔵庫に顔を近づけていると
    「あれ、西野?あ、俺もそれやりたい!」
    偶然廊下を通った武智が家庭科室に入ってくる

    「武智、部活は?」

    「休憩中」
    武智も冷蔵庫に顔を近づける
    「涼しー、天国」
    顔が近い
    「陸上部だっけ?」

    「そっ、もう外暑すぎ
     西野は何か作んの?」

    「今日はね〜フルーツポンチ!」

    「うわ、絶対ウマいじゃん、俺の分は?」

    「一応、多めに作るけど」

    「あ〜、西野の手料理食べたいなー」

    「フルーツポンチ食べたいだけでしょ」
    こういう時だけ調子が良い
    けど
    「じゃあ部活の後に冷蔵庫開けてみてよ」

    「やった!これで部活頑張れるわ」

    その一言で私まで部活頑張るしかないじゃん

    私の分のサクランボもおまけしよう、なんて思った

    きゅん

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  4. 隣の席の彼はいつもと変わらず机に突っ伏して寝ている
    はぁ、やっぱり覚えてないか

    「お誕生日おめでとう」
    裕子が私の席までやってきた
    「ありがとう」
    チラッと隣を見ても相変わらず彼は寝ている

    結局おめでとう、の一言もないまま帰ろうと靴箱を開けると
    中に淡いブルーの飾り付きのヘアゴムがあった
    “誕プレ”と汚い字で書かれた付箋が添えられている
    この字って…


    ヤバイ!遅刻する!
    いつもおろしていた髪を丁寧に結んでいたら
    家を出るのが遅くなった

    キーンコーンカーンコーン
    チャイムと同時に席につく私と同時に顔をあげた彼の目が合う
    「誕プレ、ありがと」
    「作戦成功」
    「作戦?」
    「そ、和白にポニテさせる作戦!」
    「似合うと思ったんだよ、ポニーテール」
    嬉しいけど
    「なんかまんまと罠にはまった気分」
    「ごめんごめん、おめでと」
    そう言って彼は私の頭をポンポンする

    明日からは早起きしなきゃ

    きゅん

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  5. さくらには癖がある
    不機嫌なとき頬杖をつく癖
    そういう日は
    「さく、スマイル」
    そう言ってさくらのおもちみたいなほっぺを引っ張る
    「うん!スマイル」
    さくらが満面の笑みで返してくれる

    さくらのほっぺは癒される
    さくらの笑顔は世界一



    そう、確かにスマイルって言ったのは俺だ
    でもさ、俺以外の男にまでそんな笑顔見せなくてもいいじゃん
    無意識のうちに俺は頬杖をついていた

    帰り道
    突然さくらが
    「陸、スマイル」
    そう言って俺のほっぺを引っ張る
    ちょっと背伸びをして。

    やっぱり俺の前での笑顔が一番可愛いから
    だから今回は許してやる、さくらの笑顔に免じて

    「おう、スマイル!」

    きゅん

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  6. 夏休み前日、終業式も終わりみんな帰ってしまった
    俺も早く帰ろっと

    「あれ、遠藤?何してんの?」
    すごく重そうなゴミ袋を抱えている
    「いや、ちょっと…ね」
    「運ぶの手伝うよ」
    二人でゴミ置き場に向かう
    「あのさ…私……やっぱいいや、ごめん」
    いつもより遠藤は元気がないように見えた
    ゴミを捨てて教室に戻ろうとすると
    「私…北野のこと好きだった!」
    それだけ言って走っていってしまった
    「おい、待てよ」

    チャラリ〜チャラリン

    追いかけようとする俺を引き止めるみたいに
    足下のゴミ袋から綺麗な音が鳴る

    この音って…
    慌ててゴミ袋を開ける
    授業で作った手作りオルゴールが入っていた
    俺と遠藤は偶然同じ曲を選んだ
    お揃いだね、なんて言って遠藤は笑ってた

    なんで捨ててんだよ

    夏休みが明けて学校に遠藤はいなかった
    転校したらしい

    俺の部屋には2つオルゴールが並んでいる
    2つもいらねーのに

    きゅん

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  7. 「西野ー、いつもの貸して」
    「はい、どーぞ」
    「サンキュ」
    武智は私が赤のボールペンを2本持ってきてるのをいいことに
    毎日赤ペンを忘れてくる

    そして今日もまた
    「西野、赤ペン」
    でも今日は
    「ごめん、高橋君に貸しちゃった」
    「は?俺以外の奴にも赤ペン貸すのかよ」
    「何怒ってんの?私の勝手でしょ」
    「もう俺二度とお前の赤ペン使ってやんねー」
    「こっちこそ二度とアンタには貸してやんないから」

    翌日、武智は新品の赤ペンを使っていた

    武智と話さないまま数ヶ月経った

    ある日引き出しの中に紙切れがあった
    消えかけの赤いインクで
     “ごめん、やっぱ赤ペン貸して”
    あんなに喧嘩したのにその言葉をどこかで待っていた
    もう新品だった赤ペンのインクもなくなる頃か

    「二度と借りないんじゃなかったっけ?」

    「お前こそ二度と貸さないんじゃなかったっけ?」

    赤ペンで描いた線が今日も2人を結びつけている

    きゅん

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  8. あー、なんで夏休みなのに学校なんか来てんだろ
    母親にたまには図書館で勉強してきたら、なんて言われて渋々やってきた
    仕方ない、今日は頑張るか


    「…きて下さい…起きてくださーい」
    ん…あれ寝てた
    目の前には本を持った男子生徒が…って透先輩⁉︎

    「すいません!起こしてもらって」
    まさか透先輩に会えるなんて
    いつも遠くから見てるだけだったのに

    「全然、いいけど」
    「そんな事よりもう閉館時間」

    「えっっ!」
    窓の外はもう真っ暗だ
    何時間寝てたんだ、私

    驚く私を見て先輩は笑っている

    「君、明日も来るの?俺がアラームになってあげるよ
     明日も来るなら、だけど」

    え!

    「来ます、明日も!」

    「そっか、じゃ、また明日」


    明日は図書館行くはずじゃなかったのに
    先輩に会いたくて咄嗟に返事したなんて
    絶対に言えない



    君の寝顔が可愛くて
    わざと起こさずにいたなんて
    絶対に言えない

    きゅん

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  9. いつも降りる駅を通り過ぎて5駅
    昔テレビで見た巨大天体望遠鏡がまさか自分の最寄り駅から5駅のところにあるとは
    改札を抜けてすぐの公園の丘の上に巨大天体望遠鏡はあった
    あった!
    よく見ると先客が一人
    同い年くらいの男子高校生だ

    「あのー、もしかして天の川を見にきたんですか?」
    思い切って声をかける
    「はい、あなたも?」
    そう聞き返す彼の瞳は星空を映したようだった
    「そうです、昔テレビでみてずっと来たいと思ってて」
    「僕は毎年、七夕の日はここに来るんです
     すごく綺麗に天の川見えますよ、のぞいてみて下さい」
    「わぁ!‥‥すごい」
    こんなに天の川って綺麗なんだ
    初めて本物の天の川を見れたような気がした

    「絶対来年も来ます!」
    思わずそう言ったのは天の川がまた見たいからなのか
    それとも君に会いたいからなのか

    「じゃあ来年もここで」

    一年後また君に会えるだろうか
    ここが私たちの天の川だ

    きゅん

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  10. 「俺、牛乳買ってくる」

    「まだ身長のこと気にしてんの?別に気にしなくていいって」

    「別に気にしてねーし」

    ひとつ歳下の彼氏の空と学校で唯一、一緒にいれるのは屋上でお弁当を食べるとき
    身長は私の方が2センチくらい高い、空はそれをいつも気にしている


    そんな健気なところがかわいくて好きなんだけど
    なんて言ったら絶対空は怒るなぁ

    「牛乳売り切れてたー」
    「ドンマイ、早くお弁当食べよ」

    「そういえば今日って七夕だよな」
    「本当だ!何かお願いしなきゃ」

    「じゃあ、俺は……遥より身長が高くなりますよーに!!!」

    願い事まで身長だなんて
    もー、しょうがないなぁ
    「空のお願いのお手伝いしてあげる」

    「私の身長が2センチ縮みますよーに‼︎‼︎」
    屋上一杯に広がる空と目の前の大好きな空に向かって思いっきり叫んだ

    きゅん

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  11. ガタンゴトン ガタンゴトン

    また電車が通り過ぎていく

    寂れた田舎の駅には私たち以外誰もいない
    この駅のベンチでゲームをするのが最近の私達の放課後の日課だ
    彼氏の涼に勧められて始めたスマホのサバイバルゲーム
    ゲームなんて全く興味なかったのにやってみると案外楽しい

    「あ、危ない!敵いる」

    「え、どこどこ」

    「俺が守るから後ろにいて」

    「よっしゃ、1キルー」

    「あー!涼ヤバイ、また敵が!」

    「コイツ、俺の彼女撃つんじゃねぇ!」

    ゲーム中の涼の言葉にいちいちドキドキしてしまう
    きっと涼のことだから無意識なんだろうなぁ

    「岬、倒したぞ」

    「すごい!ありがとう」

    「あのさ…

     岬のこと守るのは絶対俺だから」

    えっ

    そう言う涼の顔が心なしか赤く見えるのは
    沈む夕日のせいだろうか

    気付けばもう18時だ

    本数少ない田舎の電車を私たちは何本も見送っていた

    きゅん

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  12. 授業中もさっきの蒼太の話が頭から離れない

    俺、今日の昼休み告白しようと思う

    蒼太とは家が近くて幼なじみ。朝だって一緒に登校している
    明日からは一緒に登校も出来なくなるのかな
    なんてずっと考えていたら昼休みがきてしまった
    「俺行ってくる!」
    気合の入った声で蒼太が言う
    「頑張って」
    ひきつった笑顔で返す
    蒼太が教室を出て行く

    行かないで

    我慢出来ずに蒼太の後を追いかける
    蒼太の背中が見える

    「蒼太!」

    振り返った蒼太の顔を見ると言葉に詰まる
    何で呼び止めたんだろう

    「頑張……私、蒼太のこと好きだよ」
    言ってしまった

    「ごめん、俺もう決めたから」

    放課後
    帰る気になれず誰もいない教室で机に突っ伏す

    「あれ、万里華、、」
    顔をあげると蒼太がいた
    「俺、振られたから。カッコ悪いよな〜」

    幼なじみとは失恋の日も同じらしい
    私たちは泣きながら一緒に帰るのだった

    きゅん

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  13. 「なあ、俺のどこが好きなのか教えてよ」
    帰り道隣を歩く海斗が私に突然聞いてきた。
    「何それ、恥ずかしいって」
    「ちょっとでいいからさー」
    「うーん、そうだなぁ、、、」

    あれはまだ海斗と付き合う前のこと
    その日の体育は私の苦手な高跳びだった
    どうしても怖くてバーの手前で止まってしまう
    思わず私はズボンの裾をギュッと握った
    そのときだった
    私と同じようにズボンの裾をギュッと握った海斗の姿が見えた
    怖いんだ
    私にはその気持ちが分かった
    カッコよくて何でもサラッとこなす海斗の意外な一面だった
    なぜか前よりも海斗がかっこよく見えた

    「はあ?そんなところ見られてたのかよー」
    「でもあの後海斗綺麗にはさみ跳び跳んでたじゃん。私、それを見てから高跳び克服できたんだよ」
    「何か、照れるな」
    「だから恥ずかしいっていったじゃん!」
    「ごめんって」
    私たちはズボンではなくお互いの手を握って歩いた。

    きゅん

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