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  1. 48件ヒットしました

  2. 『ハロー!エアラブ放送局です』
    『今日は家庭科室からお届けです』

    バレンタイの後話を美友と後輩は進めて行った。

    『ええと1年男子からのお悩みです。「僕はチョコをもらえなかったのでホワイトデーで告白したいです」ですって』

    その告白の言葉を二人は考えてみた。


    『来年のチョコを僕に下さい!』
    『うーん』
    『好きです!僕と付き合って下さい』
    『どうかな』
    『じゃあ先輩が考えて』

    今度は美友が男子気分でイケボでささやいた。

    『好きだよ』
    『え?』
    『一緒いたいんだ。すごく好きだから……ねえ、僕を見て』
    『はい』
    『好き。大好き』
    『美友先輩?あの!……今日の放送はこれで終了です!』

    えええー?!と教室からのどよめきが聞こえたが彼は終了させた。

    「あら?もう終わり」
    「そうです。美友先輩。今日も大好きです」
    「ウフ?ありがとう」

    今日も生徒達を悶えさせてた二人は笑顔で戻って行った。

    きゅん

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  3. チョコ女子達に囲まれた疾風を見た美友は、悲しく美術室にやってきた。

    ……でも、描こう!

    彼女は未完成のキャンバスに筆を振った。


    ……首を傾げて、ニヤリ顔……

    そんな彼に胸がキュンとするが彼女は進めた。
    カバンにはチョコがあったが、今年も渡せそうもない美友は、良い事を思いついた。


    ……せめて、この絵の疾風君に……

    絵の胸ポケットに赤い包を描き足した彼女はこの絵にジーンとしていた。


    「……何やってんだよ」
    「え?疾風君」

    彼は美友の背後から彼女の肩にアゴを乗せ甘く囁いた。

    「これ、俺?」
    「え?!あ、あの」
    「……お前さ、現実の俺には?」
    「でも、美女さん達に」
    「いいから寄こせ……」

    こうして美友のチョコをゲットした疾風はなぜか口を尖らせた。

    「俺以外にあげんなよ」
    「え?これ、疾風君の絵よ」
    「ダメ!絵でもダメ!」

    こんな二人の美術室は夕陽よりも真っ赤だった。

    きゅん

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  4. 「眠……」
    「先輩は勉強しすぎですよ」
    「君は眠くないの?」
    「私は授業中、寝てましたから」

    そんな彼に彼女は少し寝たら?と話した。

    「会議まで時間ありますよ」
    「そう?じゃあ、お言葉に甘えて……ZZZ」

    隣椅子に座って寝た彼の肩に彼女は膝掛けを掛けた。

    ……一人でこんなに資料を作って……

    苦労を感じた彼女はそっと立ち上がろうとした。


    「……美友さん」
    「え」

    名を呼ぶ寝言にドキとした彼女は顔を覗き込んだ。

    ……寝てる……よし!今!

    彼女は静かに彼の制服のポケットに赤包みを入れようとした。

    「こら」
    「きゃあ?」
    「……ひっかかった!」
    「え?起きてたんですか?」

    彼女の手首をつかんだ彼は嬉しそうだった。

    「だってこうしないと、くれなさそうだし」
    「でも、これ義理チョコですよ」
    「そんな事言うなよ……」

    そして頬にキスされた彼女は夕焼けよりも真っ赤になっていた。

    きゅん

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  5. 「何やってんだよ。美友」
    「寒くて……疾風君は寒くないの?」
    「俺は平気!」

    朝の二人は学校まで歩いていた。


    「あ。そうだ。ハッピーバレンタイン!」
    「お?くれるの?」
    「いつもお世話になっているから」

    そこには手編みのマフラーがあった。
    彼は幼馴染みの彼女が大好きだが、今は最高のBFの位置で満足していた。

    「すげ?これってさ。俺にしか作ってないんだろう」
    「お爺ちゃんとお揃いだよ」
    「爺と?しゃーねーな……」

    彼はふわと彼女の首にこれを巻いた。

    「いいの?」
    「ああ、今だけお前がしてろ。俺さ、この髪がふわってしてるの好きなんだ」

    彼は髪をそっと触った。

    「でも、美友は疾風君に巻いて欲しいな」
    「帰りは一緒に巻くか」
    「それには短いよ」
    「くっつけばいいじゃん」
    「そうだ!おんぶすればいいかも?」
    「お前、頭がいいな?」

    そんな二人は今朝も元気よく登校するのだった。

    きゅん

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  6. 「では答案を返します」

    みんな順に先生から受け取って行った。

    「……美友さん」

    「は、はい!」

    そして答案を受け取った私に先生は甘く囁いた。

    「よく出来ましたね」

    「やった!」

    先生は私が学年で1番だったと話してくれた。

    「教え子なので私も嬉しいです」

    「この教科だけ勉強したんです……」


    すると友達も90点の答案を見せてくれたので、私も見せると彼女の動きが止まった。

    「ねえ、それ丸なの?」

    「うん。はな丸だよ」

    「……イヤ違うって。美友のは」

    「そこ、座りなさい」

    「ちょっと、先生ずるい!?美友だけハートの形なんて!」

    ええ〜?!という教室で先生は眼鏡をすっと押し上げた。


    「いかがしましたか?だって彼女は私の1番なんですから」

    「くそ!俺のは雪ダルマなのに」

    「俺なんかドクロだぞ?」


    うららかな教室は男子の怒号と先生の微笑みでいっぱいだった。

    きゅん

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  7. 「調子どう?」
    「あ、先輩」

    私はニセ彼氏の先輩にすがった。


    「好きじゃない男子を振ったらなんか怒っていて」
    「それは困ったね?じゃ。俺と帰ろ」


    たまたま部活に顔を出した先輩と私は学校を出た。


    「助かった……でも、学校に用事があったんですか?」
    「おやおや?今日は何の日が知ってるよね」
    「え?だって。私はニセ彼女で」

    先輩は私の髪をクシャとした。


    「もしかして。俺に用意してないって事?」
    「で、でも。私はニセ彼女で」
    「……まだそんなこと言ってんの?俺、傷ついた……」


    ガッカリしている先輩に私はカバンから取り出した。


    「これ……」
    「チョコじゃないよね」
    「はい。カップルで行くと安くなるスイーツ店のチケットです。良ければ先輩の本命さんと」


    先輩はがばと私を抱いた。

    「行こ!俺の本命ちゃん!」
    「え?」
    「好きだよ」

    今日も帰り道は甘い風が吹いていた。

    きゅん

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  8. 『みんな元気?エアラブ放送局です!今日はバレンテインですね!』

    『そうですね』

    後輩と私はお昼の放送をしてた。

    『そこでお悩み相談です!「先輩女子が好きです。どうすればチョコをもらえますか?」と、1年男子からです』

    『欲しいって言えば彼女も嬉しいと思うけど』

    『そうなの?!あ。興奮しました……』

    そんな私達は告白のセリフを放送してみた。


    『先輩。僕、ずっ〜と前から好きです』

    『ありがとう』

    『それ、冷たくないですか?心を込めてくださいよ』

    ダメ出しされた私は覚悟を決めた。

    『先輩……好きです』

    『私も好きよ』

    『チョコください』

    『でも私、チョコを用意してな』

    彼は不意に私にキスをした。

    『?』

    『……という訳で男子も告白しよう!これで放送は終わりです』

    彼はそう言い私の手を握った。
    この彼を怒れない私は皆への言い訳を今日も必死に考えるのだった。

    きゅん

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  9. 「何してんだよ」

    「みんな用事で帰ったの」

    「だからってお前が一人で机を並べなくてもいいだろう!帰るぞ」


    私達は渡り廊下を歩いた。

    「お前も大事な用があるじゃねえか」

    「そう?」

    「なあ……俺、ずっと待ってるんですけど」

    「何を?」

    もう〜!と彼は怒って私を向いた。


    「チョコ!欲しいの!お前のが」

    「はい。これ」

    私は赤い包を渡した。


    「イヒヒ。これだよ、これ!写真撮ろっと」

    「……ねえ、私のどこが好きなの?」

    「は?」


    顔を真っ赤にした彼は恥ずかしそうに下を向いた。


    「どこって……優しいし」

    「優しい人は他にもいるけど」

    「お、俺の事知ってるし、料理が得意だし、なあ、もういい?」

    「ダメ」

    「あ“ー?!全部好きなの!許して?」

    そう言って彼はキスをくれた。
    春風に私達の心は甘く漂っていた。

    きゅん

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  10. 4
    うららかな朝。別室登校の彼女は校長室に呼ばれた。


    「失礼します……あれ」

    そこには先生と魔子と彼がいた。


    「あの、これは」

    先生は調査で質問すると言った。


    「君はバレンタインのチョコを紛失したね?どんなチョコだった?」

    「見かけはチョコですが、中身はクッキーで間には野苺のジャムを」

    「ほらね!先生」

    「魔子さん。君が犯人か」


    他にも同様の事件発生の学校はチョコを言えなかった魔子を問い詰めると、二人の仲を壊したかったと他の罪も白状した。

    そんな魔子を先生は警察に引き渡し、部屋には彼と彼女だけになった。
    彼は彼女を涙で抱きしめた。

    「何してんだよ!何で自分のだって言わないんだよ」

    「食べればわかると思って」

    「お前以外のは食わないの!」

    この理由で解決が遅れた二人は微笑んだ。

    「ごめん!なあ、好きだよ」

    「私も」

    キスする二人には春が来ていた。

    きゅん

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  11. 3
    「用務員のお兄さん!聞いてくれよ」

    「声がでけ!?どうした」

    彼は彼女が不登校になっている話をした。


    「……もしかして、これ関係ある?」

    「?」

    用務員兄さんは、捨てられていたカードを彼に渡した。


    「バレンタインの日。紙袋とそれ、焼却炉にあったぞ。お前宛だろう?」

    「こ、これは……」



    これを見て彼はすべてを悟った。

    そんな彼は魔子と下校した。
    彼女の話は悪口と自慢ばかりだった。


    学校1の美人でセレブの彼女にチョコをもらって嬉しかったが、こうして一緒にいると幼馴染の彼女が素直で優しい子だと感じていた。


    「ねえ。聞いてるの?」

    「ああ」

    「彼女まだ学校休んでるの?なんか私が悪いみたいじゃないの?性格悪〜」

    「……あのさ、あのチョコって魔子ちゃんが作ったかよ」

    「も、もちろんよ」


    彼は春風の中、彼女を想って歩いていた。4へ続

    きゅん

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  12. 2
    「君、ちょっと来て」

    「何ですか?」

    先生は私が魔子の物を盗んだと言っていると話した。


    「そんな事していません」

    「サイフらしいが」

    「どうぞ開けて見て下さい!… …あ?どうして?」


    先生は私のバッグから見た事のないサイフを取り出した。

    「本当です!信じてください!」

    「……バッグから目を離した時間は?」

    「お掃除の間かな。あ!それって魔子の代理でやったんです」

    「……そうか」


    先生は信じてくれたけど、証拠が出た私は翌日、学校で白い目で見られたので通うのをやめた。


    もうすぐ卒業だし私の事を信じてくれない人は友人じゃないと言い聞かせ私は春から通う学校の勉強をしていた。


    「ねえ、今日も彼、プリント持って来たわよ」

    「お母さん。そこに置いておいて」

    「……お前を心配していたけど」

    そんな母に私は笑顔を作って大丈夫!と言い、2月のドアを閉じた。3へ続

    きゅん

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  13. 1
    「……何してんだよ」 

    「友達に用事を頼ま、それ。どうしたの?」

    彼は見覚えのあるチョコを持っていた。


    「これ?もらったんだ!」

    「ええ?でも……」

    その時、魔子が現れた。


    「そうよ。私があげたの」

    彼女はドヤ顔で彼の肩に手を置いた。


    「なあ。お前も俺にくれるんだろう」

    「……じゃあ、私のは、あ?」


    バックを見ると板チョコにすり替えられていた。
    これを知らぬ彼は怒り出した。


    「なんだよ!魔子ちゃんはこんな手の込んだの作ってくれたのに!」

    「だから、それは」

    「もういい!どうせ俺の事なんかなんとも思ってないんだろう!行こうぜ、魔子ちゃん」



    彼はそう言って彼女と帰ってしまった。


    呆然の私に今度が先生が声を掛けた来た。


    「君が掃除した所、水浸しだよ」

    「嘘?」


    戻るとそこは酷く汚されていた。
    バレンタインの放課後は涙色だった。2へ続く

    きゅん

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  14. 「恋の詩か……」

    課題を考えながら私は廊下を歩いていた。



    恋教科書

    愛の字を黒板に書く白い指
    それだけでドキドキするのはなぜだろう

    寝癖の黒髪に
    胸が躍るのはなぜだろう

    朗読する優しい声に
    私は顔を教科書で隠してる

    隣を過ぎた時香るロコンに目を瞑ると
    靴音がコツコツ響いた

    ここはあなたがいっぱいで
    私は背しか見ることができない
    鞄の中のチョコは
    たぶん今年もお蔵入り

    チャイムが鳴り
    恋縛りが解けた私は
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    「……恋縛り?」

    「キャア!先生!?うわー」


    肩越しにノートを覗き込んできた先生に驚いた私は腰が抜けそうになった。

    「おっと?いかがしましたか?」

    「びっくりしただけで……」


    背後から抱きしめられた私はうんとうなづいた。

    「ノート、もらうよ」

    「はい」

    小春日和の廊下は今日も甘く、解けそうだった。

    きゅん

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  15. 「何やってんだよ……」

    「?」

    彼はうるさい!と歩き出した。
    明日は女友達とチョコの買い物に行く話に彼は口を尖らせた。


    「……行くな」

    「え?」




    彼は手を握りある男子の話をした。



    「お前との関係聞かれたし」

    「そう」

    「あのな」



    彼は腰にグイと手を回した。


    「俺達、付き合ってないけどさ。お前には俺だけ見てて欲しいの!」

    「……うん」


    そんな彼は私にもたれかかってきた。

    「行くなよ……なあ」

    「わかった。断るよ」

    「マジで?」

    主が帰ってきた子犬のような彼に私は微笑んだ。

    「うん!断っとくね」


    こんな私に彼は眉間に皺寄せた。


    「……お前さ、俺を試した?」

    「な、何の事?」

    「……もう」


    彼は私の首に顔を埋めた。



    「チョコ待ってるから」

    「うん」

    「誰にもあげんなよ……もう」

    彼と帰る夕焼け空は今日も甘かった。

    きゅん

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  16. 「俺は用務員のお兄さんだよ?」

    「知ってます!早く隠れて!」


    本日のバレンタインの彼にチョコを渡そうとしている人がいると私は通告した。




    「俺はウエルカムだけど?」


    「売店のおばさんですよ」


    「げ!?」



    そんな私達は彼女が見えたので部屋に隠れた。



    「マジかよ?」


    「想いが通じるからチョコに髪の毛を入れたって言ってました」


    「呪いか?……」


    正体を隠して用務員をしている彼は私のチョコはどうしたと聞いた。



    「誰にもあげないです」


    「つまんねえな?青春だろうが」



    「え?もらおうと思っていたんですけど」



    「は?」



    「逆チョコを待っていたんですけど。ゼロでした」



    ショボンとしていた私の肩に彼は優しく手を置いた。





    「手、出せ」


    彼は私の手の平にハートを指でなぞり、私も返した。
    放送室はやけに暖かった。

    きゅん

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  17. 「いかがしました?おっと」


    4時間目の授業終了後。
    先生は美人女子達に囲まれていた。



    「先生好きです!」

    「チョコは持ち込み禁止ですよ」

    「でも!」



    その時、昼の放送で生徒の短歌が紹介された。



    見るだけで
    鼓動がうるさい君の名を
    寝る前に書く
    パジャマの私



    「どーゆー意味?」

    先生は眼鏡を上げて話した。


    「これはね。名を見るだけでドキドキするのに寝る前に書いて夢で会おうとしている恋短歌です」



    先生の声に同級生達は耳をすました。


    頭ポン 
    されると胸がフル充電
    放課後教室 
    あなたと二人


    キャ〜!という黄色に悲鳴に書いた私は赤面していた。



    「おい男子?この告白はどうだ?」



    超嬉しい!と男子は手を挙げた。

     
    「フフフ。でもこれ先生宛の短歌ですから」



    ええー?!と驚きの声のバレンタイン。
    教室は桃色吐息に包まれていた。

    きゅん

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  18. 「眠……」

    「もう?」



    そんな彼には綺麗な女子達が高級チョコを渡していたので私は教室を出た。



    ……そうよね。


    セレブの彼へ告白を断念した私は、涙と共に屋外に出た。
    北風の校庭にはお地蔵さんがいた。


    ……私みたい……



    私は地蔵さんに彼へ編んだマフラーを掛け、チョコを捧げようとした。



    「誰だ?」


    「!」



    用務員さんから逃げた私はこの日、寂しく下校した。






    翌朝。


    教室は昨日の話になった。



    「これをもらった」


    「すげ?手編みじゃん」



    この話を耳にした私は男子を向いた。




    「え?それは」


    「あのさ」



    彼は私の席へ来て囁いた。





    「直接くれよ」


    「どうして私って?」


    「カードの字、お前だし?」



    そんな彼は巻いたままのマフラーで私を包んだ。
    この甘さで私は溶けそうになるのだった。

    きゅん

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  19. 「何してんだよ!」


    怒る彼に私はキョトンとした。



    「俺達が柔道の時。女子は家庭科だったんだろう?」

    「うん」

    「どうしてクッキー持ってこないんだよ!」



    他の女子はくれたのにぃ!と彼は怒っていた。



    「あの……」

    「お前さ。俺の事、どー思ってんの?」


    彼はネクタイで私の顔をペチペチと撫でた。
    私はそれを掴んだ。



    「……女子はね。料理と裁縫に別れたの」



    「裁縫、って針か」


    「うん。ところでね。そのネクタイ。ほつれてなかった?」

    「あれ」





    彼は赤いネクタイを寄り目で見ていた。




    「治ってる……なんで?」


    「良かったね。じゃ……」


    そんな私の後を彼は追ってきた。




    「待てよ」


    「他の女子のクッキー食べれば?」


    「俺はお前のチャーハンがいいの!」



    彼はそう言ってハグをした。
    黄昏廊下は甘い香りがした。

    きゅん

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  20. 「いかがしましたか?」

    「これ……」


    私は無残なペンを先生に見せた。



    「返そうとしてお尻で踏んで」

    「粉々だ?……」



    先生は驚き顔で私を見つめた。




    「ごめんなさい。これ、お年玉で返し」


    「要らないよ」



    冷たい声。

    完全に嫌われた私は泣き顔を隠すためにペコンと頭を下げて後ろを向いた。


    「待て!」

    「うう」




    後ろ手を掴んだ先生は、優しく私を正面にした。



    「……今日の上の空の原因はこれか?はい。どうぞ」


    「え」



    先生は私のポケットに違うペンを挿した。



    「あげます」


    「壊したのに?」


    「ええ。だから元気になって下さい。そうだ?」





    先生は眼鏡を押し上げた。



    「課題だ。そのペンでラブレターを書いて。僕宛でいいよ」


    「はい」



    こんな私を先生は今日も甘く微笑んでくれた。

    きゅん

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  21. 「何してんだよ」

    「体育の大乗前転で」

    「どこ回してんだよ」


    彼は呆れて私の湿布の手首を見た。



    「痛い?」

    「うん」

    「つん!」

    「痛?……」



    涙目の私に彼はハッとしていた。




    「マジ?」

    「いい……一人で帰るから」

    「おい」

    「平気だよ?それよりも」



    放課後、声優の握手会に行く予定だったが彼には他の人を誘ってと言った。



    「ね?」

    「でも……」


    私は楽しみにしていた彼に笑顔を作り保健室を出た。


    誰を誘うのかなと思ってバスを待っていた時、背後から誰かが膝カックンをした。



    「あ!」

    「……見捨てるなよ」

    「え?」



    彼は私の鞄を肩に掛けた。



    「今日は行かねー。ほら、手を貸せ」

    「うん」

    「……痛いか?」


    「ううん」





    彼の優しい手。

    黄昏の今、時が止まれば良いのにと私は想っていた。

    きゅん

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