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  2. 「残念…」
    「俺の前でそんな事言うなよ」

    今夜は七夕。彼と星を観ようしていた彼女は曇空にガッカリしていた。

    「だって。楽しみにしてたのに」
    「あのな。旧暦って知ってるか」

    彼は七夕は8月25日になるとs言った。

    「その時一緒に観よう。絶対晴れてるから」
    「うん!」
    「…夏休みだからな」
    「そうだね。公園とか?学校の校庭で観るの?」
    「あのな」

    彼は恥ずかしそうに鼻を擦った。

    「その時期はうちの学校は海辺のホテルで勉強合宿があるんだ。その時、一緒に観よう」
    「はい。申し込みます!」
    「あのさ」

    彼は彼女の手を握った。

    「その時に恋人がいないとやばいから。これからお前は他の男から告白されると思うんだ」

    彼はそれを断って欲しいと言った。

    「お前、可愛いから」

    ムスとした彼に彼女は手を強く握った。

    「先輩もね?あ、雨だ」

    傘の中の織姫と彦星はそっとキスをし帰って行った。

    きゅん

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  3. 「あれ」

    靴箱を開けた彼はニヤリ顔だった。

    「これ見て」
    「ラブレター?」
    「どうしよかなー」
    「…」

    片思いの彼はまだ幼馴染だった。

    「い、いいんじゃないの。返事をしたら」
    「へえ?いいんだ」
    「私に聞かないで」

    彼女は涙を隠して教室に入った。
    その後、彼女は彼に彼女ができた噂を聞いた。

    「おはよう」
    「うっす。あのさ、今日の帰り、話があるんだ」
    「う、うん」

    放課後。渡り廊下で彼女は待っていた。

    「帰るか」
    「話ならここで。彼女ができたのに一緒に帰れないよ」
    「…いいの!いくぞ」

    彼は強引に手をつかみ歩き出した。

    「お前さ。俺の事どう思ってんの?」
    「え」
    「他の女と付き合ってもいいのかよ」
    「だって」
    「いいのかって聞いてんだよ」
    「…嫌です」

    彼はそっと頭を撫でた。

    「そう言えよ。最初から」
    「はい」
    「ほら、手かせ」

    二人は仲良く帰ったのだった。

    きゅん

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  4. 「マスクは?」
    「無い」
    「ダメよ」

    美友は手作りマスクを彼に出した。
    彼は受け取り歩いた。

    「これ、Bって刺繍してある」
    「私の事よ。そっちが表なの」
    「いや。俺は逆にする」

    彼は裏にしたので彼女は尋ねた。

    「お前にキスしながら着けるんだ」
    「は、恥ずかしいよ」
    「いいじゃん。俺が勝手にしてるんだから……は。ハッション!」

    せっかくのマスクが鼻水だらけになったが、彼女はまだマスクがあると言い出した。

    「はい!今度はこっち」
    「これは名前無しか」

    ここで二人は同級生達に挨拶をされた。

    「あれ。それは手作り?」
    「はは」
    「いいねそれ。上手!」
    「へへ。って、どうした美友」
    「止まって。疾風君」

    美友はペンで疾風のマスクに記名した。

    「Bっと。これは私のだって言いたいの」
    「俺?それともマスク」
    「…あ?時間だ」
    「外す」
    「全部!」
    「やった」

    朝マスクは熱かった。

    きゅん

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  5. 「眠」
    「先輩。マスクは?」
    「ん?あ、忘れた」

    学校再開の朝の駅。美友は手作りマスクを出した。

    「よければどうぞ」
    「ふーん」

    そう言って彼はマスクを装着した。しかし彼の同級生女子が別マスクを差し出した。

    「そんなガーゼよりこれの方が機能性が上だし」

    沈黙の彼に美友は自分のせいで困っていると思った。

    「先輩。無理しないで。それ返して下さい」
    「ほら。こっちの方がいいって」
    「ソーシャルディスタンス。俺に近寄るな」

    そんな彼はバスの中で寝てしまった。

    学校に着いた美友は、どこか寂しく廊下を歩いていた。

    「おい」
    「先輩?さっきは」

    すると彼は背後から彼女の頭を撫でて行った。

    「うわ」
    「ほら。手を洗いに行くぞ。ぼけっとするな。それとな……」
    「?」
    「俺はお前のマスクしか使わない。使って欲しければもっと作ってくれ」
    「は、はい?」

    朝の手洗いはドキドキだった。

    きゅん

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  6. 「美友先輩。どこか行こう」
    「ダメよ自粛でしょ」
    「ヤダ!どこかに行って何かをしたい〜」
    「困ったわね」

    後輩に美友は困っていた。

    「カラオケ行きたい」
    「ダメよ」
    「映画。ライブ」
    「ダメなのばっかり?」
    「もう!美友先輩は僕と一緒にいたくないの?」

    ぶうと膨れる彼に美友はそんな事ないと言った。

    「でもね。図書館もダメだし」
    「先輩の家は」
    「いいけど。お爺ちゃんがいるわよ」
    「い、いいですよ」

    そんな後輩は素早く美友の部屋に侵入した。

    「美友さんの匂いだ」
    「恥ずかしい」
    「このぬいぐるみ可愛い」
    「それを抱いて毎晩寝るの」
    「…」

    そして居間に移動中、後輩は彼女に抱きついた。

    「僕は美友先輩を抱いてゲームする」
    「こら?」
    「……おい。小僧」
    「あ?爺さん」

    この彼は肩揉みをさせられた。

    「このこのこの!」
    「痛痛痛ー?」
    「フフフ」

    自粛の家は笑顔が溢れていた

    きゅん

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  7. 「どう。調子は」
    「あ?まずい」
    「ここは閉鎖してたでしょ」

    春休み体操着を置いたままの美友は忍び込んだと白状した。

    「でも海棠先輩は」
    「学校のCM撮影だよ」

    ホームページに載る動画を撮影していたと言い、美友は邪魔せぬよう見学していたが、監督に何度もやり直しをしていた。

    「監督。相手がいても良いですか?美友ちゃん。おいで」
    「私?」

    彼は制服姿の美友を右腕に抱いた。監督はさらに頬を合わせようと言った。

    「笑って!女子も」
    「そんな?」
    「美友ちゃん……こちょこちょ」
    「ウフフ!」
    『君もうらら学園で一緒に青春しよう!』

    カット!で撮影は終わり完成したCMは好評だった。

    「校長。またモデル学生の問い合わせが」
    「海棠か」
    「いいえ。女子の方」
    「無視せよ!それはAIだと申せ!」
    「でも」
    「黙れ『お嬢様と呼ばないで』を読めと言え」

    が、校長は微笑んでいたのだった。

    きゅん

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  8. 「?学校は閉鎖中だし」
    「用務員のお兄さん」

    美友は玄関に上履を置き忘れたので取りに来たと話した。

    「春休中に洗いたいんです」
    「じゃ、俺が取ってくるよ」

    彼は持って来たが手紙が入っていた。
    この恋文に困る美友に彼は機嫌悪くした。

    「まあ、好きな男を選べば?」
    「え」
    「俺に遠慮するなよ。別に何人でもいいじゃないか」
    「用務員さんは本気でそう言ってるの……」

    涙目の美友は、顔を背けた。

    「わかりました。誰かと交際します」
    「俺はそこまでは」
    「いいんです。さようなら」

    そんな彼女の後ろ手を彼は掴んだ。

    「待てよ」
    「離して」
    「いいや。離さない。ごめんな。やきもち焼いて」

    彼は彼女を抱きしめていた。

    「泣くなよ」
    「泣いてない。これは花粉症」
    「うるさい」

    彼は彼女の涙にキスをした。

    「許して。な」
    「じゃ、アイス」
    「オッケ!」

    二人は手を繋ぎ歩いて行った。

    きゅん

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  9. 「眠…」
    「青麦先輩」
    「帰るのか?」

    下校の美友はバスを降りた先輩と駅ビル喫茶店に来た。
    彼は生徒会長として店の調査をすると言いパフェを注文し、待った。

    「お前さ。春の課題は?」
    「はい!今、必死に答えを写し中です」
    「大声出すな?」

    急に怒った彼に美友は悲しくなりパフェを残した。


    「ご馳走様でした」
    「……いいのか?」
    「はい」

    美友は評価をスマホにまとめ出した。

    「ええと。インスタ映え◎」
    「他には?」
    「…初デートには△。お粗末な彼女には×。熟年カップルが◯」

    「おい、お前」

    「優しい先輩に⭕️っと」

    自虐な美友に彼は真剣に向かったが、美友はもう泣いていなかった。

    「青麦先輩。今度は本命さんと来てね」
    「お前」
    「…私先に帰ります」

    美友を青麦は背後から抱き頬にキスをした。


    「え。あの」
    「俺が好きなのお前だし」

    今朝も温度は急上昇だった。

    きゅん

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  10. 「何やってんだよ」
    「……学校早く終わったから」

    どこかに行きたいと美友は疾風を見上げた。

    「でも店はコロナで自粛だぞ」
    「そうか、じゃ。帰る」

    寂しそうな彼女に疾風は腕を引いた。

    「行くか」
    「どこに?」
    「いいから」

    疾風は歩いて近所の公園にやってきた。


    「うわ?桜が綺麗……」


    桜吹雪の中で嬉し顔の美友を見た彼はベンチに腰掛けた。

    「なあ。美友。俺の事好き?」
    「え」

    突然の話で彼女はびっくりして固まってしまった。
    この顔を見た彼は、慌てて誤魔化した。

    「……っていうのは冗談!」
    「そ、そうなんだ」

    がっかりした美友は自動販売機でアイスを買った。

    「見て!桜味だって」
    「どれ、ガブ!」
    「あ?もう……」

    そんな彼を彼女は見つめていた。

    「これ、好き?」
    「え?」
    「私とアイスどっちが好き?あ」

    彼女の頬にキスをした公園では鶯の声がしていた。

    きゅん

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  11. 『エアラブ放送局です!本日は高等部図書室を紹介します。ゲストは美友先輩です』
    『こんにちは』
    『こんにちは!美友さんは最近何を読みましたか?」
    『私は「野いちご小説」ばかりです』

    こうして放送を終えた二人は本の話を続けた。

    「野いちごのどれ」
    「これよ」
    「『お嬢様と呼ばないで』か」

    二人は椅子に座り美友のスマホをくっつきながら覗き込んでいた。

    「面白い話ですね」
    「でしょう?次のページにして」
    「はい!ねえ。美友先輩。僕にもっと甘えて」
    「いいの?」
    「はい。何でもしてあげたい……何でも言って」

    そんな顔の距離が近い二人の間にさっと本が入った。

    「おい!何してんだよ」
    「疾風君?」
    「……出たな。でも、今は僕とラブラブだもんね〜」
    「離れろ!」

    が、彼は美友から離れなかった。

    「おい。美友!あれ?」
    「…」
    「寝てる?」

    春にうたた寝する美友は今日も男子を悩ませていた。

    きゅん

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  12. 「どう。調子は」
    「あ?海棠先輩」

    美友は春休みに教室に忘れた教科書を取りに忍び込んだと話した。

    「閉鎖してたでしょ?どうやって入ったの」
    「窓。あ?」

    ここに警備員が来たので美友は机の下に隠れた。
    試験バイト中の彼は言い訳をしてくれた。

    「助かった」
    「……あのね。明日はここで英検をするからダメだよ」

    海棠は美友にそう言ったが教科書はなかった。
    そこで彼は日永教師の元に美友を連れて行った。

    「本はあります、が」

    美友の教科書は答え付きなので違反と注意された。

    「いけない子だね」
    「ごめんなさい」
    「しかも忍び込むなんて」
    「そんなに怒るなよ」

    こんな美友に日永は返してくれた。

    「あれ?何か入ってる……クッキー?」
    「私の手作りです」
    「可愛い」

    「さあ美友さん、先生と帰ろうか?教科書は全教科だもんね」
    「はい!ごめんなさい!」
    「はあ?」

    春休みはこれからだった。

    きゅん

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  13. 「調子どう?」
    「海棠先輩、何をしているんですか」
    「えぐるね傷を……」

    彼は好きな子にプレゼントをするため待っていると言った。

    「その子はさ。バレンタインにくれなかったんけど、俺からあげようと思って、でも強引かな?」
    「ううん!強引なくらいがちょうど良いって、え?」

    彼は美友を抱きしめた。

    「好きだよ、美友ちゃん……俺を受け取って」
    「重くて無理です」
    「心の話」
    「先輩にはもっとふさわしい美女さんが」
    「俺は美友ちゃんが良いの」

    彼はそういって頬に軽くキスをした。

    「ひや」
    「ふふふ、ねえ、他の男からは受け取らないでよ」

    すると彼女は恥ずかしそうに彼を見上げた。

    「わかりました。あのね先輩。昔の期末テストって残ってますか?それを参考にしたいの」
    「あるよ。俺の先輩の分からあるよ」
    「やった!勉強しなくて済む!」

    海棠に欲しい物をおねだりした彼女は笑顔で帰っていった。

    きゅん

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  14. 「え?先輩」
    「眠……つうか。お前、ここで何してんの?」
    「お昼寝ですけど、あ、私お邪魔ですね?」

    彼の背後に女子が見えた美友は遠慮し去ろうとしたが、彼は腕をさっと出してこれを制止した。

    「おっと!……待て待て……」
    「でも」
    「何が?ああ、これの事?」

    彼が背負っていたのはギャクドラマ撮影のための人形だった。

    「だから女子の制服なのね」
    「俺と揉み合って屋上から落ちる想定なんだ」

    地上では彼の撮影仲間が手を振っていた。

    「じゃ、私、本当に行きます」
    「……いや。途中までお前で撮らせて?」

    こうして美友は恋人役でフェンスで揉み合うことになった。

    「じゃ、始める。こいつ!」
    「やーめーてー」
    「やめない。アハハ」
    「キャハハ」

    楽しそうな2人は屋上から人形を落とした。

    『カット!っていうか全部カット!』

    呆れ声の監督の言葉を見学の芹那は黙ってうなづいていた。

    きゅん

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  15. 「調子はどう?」
    「海棠先輩。ここで何を?」
    「司書のお姉さんとちょっとね」

    そんな彼に美友は調べ物があると話した。

    「カエル化現象です」
    「何それ?」
    「相思相愛になったら急に冷めて相手が嫌いになる心理です。ええとグリム童話の『カエルの王様』はどこかな……」
    「待って」

    海棠は本棚に手を付いた。

    「調べなくていい」
    「でも」
    「いいかい?俺を見て」

    海棠は美友の両肩を抱いた。

    「好きだよ。美友ちゃん……」
    「でもさっき司書さんと抱き合ってましたね」
    「ただの女友達さ?」
    「……あ、首が赤くなっていますけど?大丈夫ですか」

    海棠は慌てて首のキスマークを隠した。

    「蚊だよ」
    「私、絆創膏あります」
    「いいんだよ?あのね」

    彼はふわと美友を抱いた。

    「俺を嫌いならないで」
    「……ゲロゲロ!」
    「は?」
    「ゲロゲーロ!フッフ」

    この2人を芹那は今日も呆れて見ていた。

    きゅん

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  16. 「……何してんだ、よ!」
    「きゃあーー!?」

    突然、後ろからギュッとされた美友は悲鳴をあげてしまった。

    「そんなに驚くことないだろう!」
    「だって突然なんだもの」
    「ふん!そんなに俺が嫌いなのかよ」
    「そういうわけじゃないけど」

    機嫌が悪くなった疾風に美友は謝った。

    「ごめんね」
    「うるせ!いいから歩け」

    しかしまだ機嫌の悪い疾風に美友は思わず立ち止まった。

    「おい。もう良いって」
    「……」
    「行くぞ。ほら」
    「……えい!」
    「うわ?」

    背後から抱きついて来た美友に疾風はびっくりした。

    「どう?驚くでしょう?」
    「お前?ネクタイ引っ張るな」
    「ウフフ。こちょこちょこちょ〜」
    「うわ?やめろ!フハハ!」
    「止めない……そして苦手な耳に」
    「ひ」

    そういって鼻を彼の耳にくっ付けた美友に疾風はうわああ!と悲鳴を上げた。
    こんな2人は春の道をにっこり笑って歩き出したのだった。

    きゅん

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  17. 『エアラブ放送局です!本日は高等部入学式に突撃訪問です!美友先輩こんにちは!』
    『ええ?』

    中等部の後輩の出現に美友は驚いたがマイクを受け取った。

    『こんにちは。素敵な入学式でしたよ』
    『ありがとうございました。これでインタビューは終わりです』

    そんな後輩はじっと美友を見つめた。

    「なんか綺麗になってる」
    「そんな事ないよ」
    「髪も切ったし、スカートも短くて……」
    「どうしたの?」

    彼は美友の手をつかんで歩き出した。

    「許さない。僕を忘れるなんて」
    「忘れてないよ。ねえ、どうして怒っているの?」
    「……あのね。美友先輩。僕の事好き?」
    「好きだよ」
    「後輩としてじゃなく、男としてだよ!」
    「私は好きとかよくわからないの」

    すると彼は美友にギュと抱きついた。

    「僕はこれくらい好き!だから」
    「わかったわ。じゃ、一緒に帰ろう?」

    この2人を芹那は今日も呆れて見ていたのだった。

    きゅん

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  18. 「どう?調子は?」
    「あ?海堂先輩」

    倉庫の戸が開かないと美友と芹那は言った。

    「この戸はね、押してダメなら?」
    「火をつける」
    「美友ちゃん?違うでしょ」

    芹那のツッコミに海棠は微笑んだ。

    「いいね君、俺とも仲良くしよ?」
    「うわ?フェロモンだだ漏れ……」

    セクシー海棠にビビる芹那になぜか美友がムスとした。

    「どうぞ?お二人で仲良く」
    「え」
    「おっと?」

    こんな美友は戸を横に押して中に入った。

    「あれ、出られない?海棠先輩、出して!」
    「俺を好きって言って」
    「言わないわ!好きじゃないもん」

    「いいのかな?芹那ちゃんと俺でラブラブ」
    「美友ちゃん?そんな事ないから!」

    「……すきです」
    「誰が」
    「海堂先輩」

    ここで彼が開けた戸から美友が飛び出してきた。

    「すきありー」
    「え」
    「捕まえた!」
    「いいよ。もっと捕まえて?」

    こんな二人を芹那は今日も呆れていた。

    きゅん

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  19. 「初日はいかがでしたか?」
    「はい!結構うまくいきました!」
     
    ノリノリの彼女に日永が眼鏡を押し上げた。

    「……美友さん。ここに座って下さい」

    彼は座った美友にニコと微笑んだ。

    「水道が出しっぱなしだったようですか」
    「ごめんなさい!自動かと思って」
    「電気も同じ理由?」
    「はい……」

    日永は気にしないでと笑ったが、美友はションボリした。

    「そうか、私、失敗だらけだったんですね」

    この彼女を日永はふわと抱きしめた。

    「そんな事ないよ。君はよくやってる」
    「え」
    「背中に髪の毛が付いているから、取るね」
    「は、はい」
    「うん。いい子だ。じっとして……はい、取れた」

    長髪の美友は不思議顔だったが、日永は微笑んだ。

    「君は上出来だったよ。また明日」
    「……はい、頑張ります!」
    「いいんです、君はそのままで」

    こんな日永に送られて笑顔の美友は職員室を出たのだった。

    きゅん

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  20. 「何やってんだよ……」
    「ごめんね?遅くなって」
    「俺はタンコブができたのに」

    そんな疾風は布団から目だけ出してささいた。

    「な……ちょっと顔貸して」
    「なに?あ?」

    しかし彼は手を伸ばしさーっとカーテンを引いた。

    「お前さ、先輩と何、話をしてた」
    「今朝のお味噌汁の具の話」
    「嘘だ」
    「何を怒っているの?」
    「もう!」

    カーテンの中、彼は起き上がり美友を抱きしめた。

    「俺以外ダメだよ……」
    「何が?」
    「好きになるの」
    「ならないよ?ねえ、苦しいよ」
    「俺はもっと苦しいの!なあ、美友」


    「……そこで何をやってるの?」


    「「きゃああ??」」

    保健室女史にカーテンを開けられた二人は悲鳴を上げた。

    「あら?元気になったのね、彼女のおかげかな?」
    「ふん!」
    「こら?疾風君。先生、彼がお世話になりました」

    こうして二人は保健室を出て、オレンジ色の帰り道を帰って行った。

    きゅん

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  21. 「ええと、バスは」
    「……何してんの」

    迷子の美友は背後の先輩に驚いた。

    「え?退けます、あ!」
    「おっと」

    彼はすっと腕を伸ばし美友の行手を阻止した。

    「そっちは船乗り場だけど」
    「す、すみません」

    彼は腕の中の彼女に溜息をついた。

    「新入生だろ。一緒に来いよ」
    「いいんですか」
    「ああ。船に乗られたら困る」

    そんな二人はバスに乗った。

    「揺れるぞ」
    「きゃ」

    またまた美友を抱きしめた彼は微笑んだ。

    「お前さ。学校に通う気あるの」
    「ありありです」
    「ハハハ」

    そして一緒に空いた席に座った。

    「眠……着いたら起こせよ」
    「はい」

    美友の肩に頭を乗せて彼は寝たが美友も寝たので、他生徒が学園前で起こしてくれた。

    「降りますよ生徒会長って、彼女ですか」

    美友の寝顔に彼は頬寄せた。

    「……どうかな?おい!お前、着いたぞ」

    寝起きの二人は手を繋いで校門へ向かった。

    きゅん

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