ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 55件ヒットしました

  2. 「お前、何やってんの?」
    「ええと。卵料理の後片付け」
    「他の女子は帰ったのに?またお前だけかよ」

    やれやれと幼なじみは手伝いをしてくれた。

    「ごめん」
    「別にいいけどさ。で?肝心の料理はどうしたんだよ」
    「そ、それが」

    上手にできた作品。それは他の女子が勝手に持っていって行ったと私は説明した。

    「自分のは失敗したからって無理やり」
    「じゃ、お前のは無いのか」

    どこか残念そうな彼と私は帰っていた。

    「あのさ。お前って作ったの」
    「ええと茶碗蒸しだよ」
    「は?」

    卵料理ならなんでも良い話し。私の話を彼は笑った。

    「涙出る?あのさ。イースターの料理だろう?いいのそれで」
    「だって。これは勉強だから。本当に好きな人には別に用意してあるもん」
    「おっと…」

    彼は振り返った。

    「どこに」
    「家に」
    「マジで」
    「来る?」
    「もちろん!」

    肩をぶつける彼からは夏の香りがした。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  3. 「どうした」
    「イースターの本を探してって友達に頼まれて」
    「…そんな本あるのか」
    「え?島ですよね。友達はそう言って」
    「外を見ろ」

    そこには友達が笑いながら男子と帰っていた。

    「待ってるはずなのに」
    「あの男と帰るためじゃないのか。お前が邪魔だったんだろう」
    「…そんな」

    必死に本を探していた私が馬鹿みたい。ガッカリしていた時、先輩が私の頭をポンとした。

    「お前、あいつが好きだったのか」
    「全然です。付き纏われて困っていたし」
    「ならよかったじゃないか、それよりも」


    先輩はもう帰ろうと言った。

    「だって今日はイースターだぞ」
    「イースターって何ですか?」
    「そうだな…」

    先輩は好きな人と帰る日と言った。

    「でも、良いんですか?私で」
    「嫌いな奴に頼むか?普通」
    「だ、だって」
    「返事は?」
    「お願いします」

    先輩の手。それを掴んだ私は一緒に図書室を後にした。

    きゅん

    3

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  4. 「はい!これ。イースターエッグだよ!」
    「へえ。キレイだね」

    放課後。彼女は聞こえるように彼に渡した。
    あのエッグは美術の時間に私が作った物。名前を書く前にすり替えられた物だった。

    「…器用なんだね、手先が」
    「そうなんだ。ねえ、それよりも一緒に帰ろうよ」

    私は聞いていられず席を立った時、彼が言った。

    「俺が言ってるのは。盗みが上手だねって意味だけど?」
    「え」

    彼女の顔色に教室が一瞬固まった。

    「楽しい?泥棒って?」
    「し、失礼ね。帰るわ!」

    すると彼は私の腕を取り、誰もいない廊下に連れてきた。

    「返す」
    「どうして私のだってわかったの?」
    「…俺さ。お前のエッグ、キレイだなって思ってさ。そのデザインをパクって同じく塗ったんだ」
    「呆れた」

    彼は頬を染めた。

    「いいだろう?俺とお前の仲だから!さあ、帰るぞ」
    「…うん!いつも…ありがとう」

    彼は今日も優しかった。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  5. 「先輩!イースターですね」
    「そうだけど。そのバッグどうしたの?」
    「これ?プレゼントを入れるエコバッグ」
    「プレゼント?」

    この日はプレゼントをもらえる日だと彼は思っていたと話した。

    「なぜそんなことを」
    「だって。卵の飾りが売っていたから。あれを好きな人にあげるかなって」
    「…で。もらえたの?」
    「全然」

    そう寂しそうにする後輩。私は可哀想になってきた。

    「そうか。残念ね」
    「…先輩。じゃあ僕と付き合って下さいよ」
    「帰り道一緒だもんね。いいよ!」

    すると彼はうるうる目になった。

    「ど、どうしたの」
    「だって。付き合ってくれるって。嬉しくて」
    「その付き合うなの?ええと、その」

    しかし、彼は手を繋いできた。

    「ダメですか」
    「…」
    「今日はイースターですよ?」
    「ふふ。わかった。こちらこそよろしく…」

    恋人つなぎの私達。微笑んだ彼と共の廊下は南風に包まれていた。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  6. 「あの、教育実習生の先生」
    「ん?どうしたの?」
    「イースターって何ですか?」
    「イースター…ね」

    先生は考えた。

    「それってさ。太平洋の島でさ」
    「島?」
    「そう。モアイがいる」
    「…もういいです」

    先生にからかわれた私。背を向けて帰ろうとした。

    「待って!ダメだよ」
    「離して」
    「ごめんってば!」

    先生は謝ってくれた。

    「俺も知らないんだよ。そうだ!これから校長に聞きに行こう!」
    「知らないと思いますけど」

    いいから!と二人で校長室にやってきた。

    「校長。イースターって何ですか」
    「それはあれだ、コップの下の」
    「「それはコースター!」」
    「飛行機の」
    「「それはジェットスター!」」
    「ええと?遊園地の」
    「「それはジェットコースター!!」」

    足してしまった校長にもういい!と二人は退室した。

    「でも。楽しかったな」
    「私もです」

    放課後の廊下は今日も優しかった。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  7. 「残念…」
    「俺の前でそんな事言うなよ」

    今夜は七夕。彼と星を観ようしていた彼女は曇空にガッカリしていた。

    「だって。楽しみにしてたのに」
    「あのな。旧暦って知ってるか」

    彼は七夕は8月25日になるとs言った。

    「その時一緒に観よう。絶対晴れてるから」
    「うん!」
    「…夏休みだからな」
    「そうだね。公園とか?学校の校庭で観るの?」
    「あのな」

    彼は恥ずかしそうに鼻を擦った。

    「その時期はうちの学校は海辺のホテルで勉強合宿があるんだ。その時、一緒に観よう」
    「はい。申し込みます!」
    「あのさ」

    彼は彼女の手を握った。

    「その時に恋人がいないとやばいから。これからお前は他の男から告白されると思うんだ」

    彼はそれを断って欲しいと言った。

    「お前、可愛いから」

    ムスとした彼に彼女は手を強く握った。

    「先輩もね?あ、雨だ」

    傘の中の織姫と彦星はそっとキスをし帰って行った。

    きゅん

    1

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  8. 「あれ」

    靴箱を開けた彼はニヤリ顔だった。

    「これ見て」
    「ラブレター?」
    「どうしよかなー」
    「…」

    片思いの彼はまだ幼馴染だった。

    「い、いいんじゃないの。返事をしたら」
    「へえ?いいんだ」
    「私に聞かないで」

    彼女は涙を隠して教室に入った。
    その後、彼女は彼に彼女ができた噂を聞いた。

    「おはよう」
    「うっす。あのさ、今日の帰り、話があるんだ」
    「う、うん」

    放課後。渡り廊下で彼女は待っていた。

    「帰るか」
    「話ならここで。彼女ができたのに一緒に帰れないよ」
    「…いいの!いくぞ」

    彼は強引に手をつかみ歩き出した。

    「お前さ。俺の事どう思ってんの?」
    「え」
    「他の女と付き合ってもいいのかよ」
    「だって」
    「いいのかって聞いてんだよ」
    「…嫌です」

    彼はそっと頭を撫でた。

    「そう言えよ。最初から」
    「はい」
    「ほら、手かせ」

    二人は仲良く帰ったのだった。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  9. 「マスクは?」
    「無い」
    「ダメよ」

    美友は手作りマスクを彼に出した。
    彼は受け取り歩いた。

    「これ、Bって刺繍してある」
    「私の事よ。そっちが表なの」
    「いや。俺は逆にする」

    彼は裏にしたので彼女は尋ねた。

    「お前にキスしながら着けるんだ」
    「は、恥ずかしいよ」
    「いいじゃん。俺が勝手にしてるんだから……は。ハッション!」

    せっかくのマスクが鼻水だらけになったが、彼女はまだマスクがあると言い出した。

    「はい!今度はこっち」
    「これは名前無しか」

    ここで二人は同級生達に挨拶をされた。

    「あれ。それは手作り?」
    「はは」
    「いいねそれ。上手!」
    「へへ。って、どうした美友」
    「止まって。疾風君」

    美友はペンで疾風のマスクに記名した。

    「Bっと。これは私のだって言いたいの」
    「俺?それともマスク」
    「…あ?時間だ」
    「外す」
    「全部!」
    「やった」

    朝マスクは熱かった。

    きゅん

    3

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  10. 「眠」
    「先輩。マスクは?」
    「ん?あ、忘れた」

    学校再開の朝の駅。美友は手作りマスクを出した。

    「よければどうぞ」
    「ふーん」

    そう言って彼はマスクを装着した。しかし彼の同級生女子が別マスクを差し出した。

    「そんなガーゼよりこれの方が機能性が上だし」

    沈黙の彼に美友は自分のせいで困っていると思った。

    「先輩。無理しないで。それ返して下さい」
    「ほら。こっちの方がいいって」
    「ソーシャルディスタンス。俺に近寄るな」

    そんな彼はバスの中で寝てしまった。

    学校に着いた美友は、どこか寂しく廊下を歩いていた。

    「おい」
    「先輩?さっきは」

    すると彼は背後から彼女の頭を撫でて行った。

    「うわ」
    「ほら。手を洗いに行くぞ。ぼけっとするな。それとな……」
    「?」
    「俺はお前のマスクしか使わない。使って欲しければもっと作ってくれ」
    「は、はい?」

    朝の手洗いはドキドキだった。

    きゅん

    1

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  11. 「美友先輩。どこか行こう」
    「ダメよ自粛でしょ」
    「ヤダ!どこかに行って何かをしたい〜」
    「困ったわね」

    後輩に美友は困っていた。

    「カラオケ行きたい」
    「ダメよ」
    「映画。ライブ」
    「ダメなのばっかり?」
    「もう!美友先輩は僕と一緒にいたくないの?」

    ぶうと膨れる彼に美友はそんな事ないと言った。

    「でもね。図書館もダメだし」
    「先輩の家は」
    「いいけど。お爺ちゃんがいるわよ」
    「い、いいですよ」

    そんな後輩は素早く美友の部屋に侵入した。

    「美友さんの匂いだ」
    「恥ずかしい」
    「このぬいぐるみ可愛い」
    「それを抱いて毎晩寝るの」
    「…」

    そして居間に移動中、後輩は彼女に抱きついた。

    「僕は美友先輩を抱いてゲームする」
    「こら?」
    「……おい。小僧」
    「あ?爺さん」

    この彼は肩揉みをさせられた。

    「このこのこの!」
    「痛痛痛ー?」
    「フフフ」

    自粛の家は笑顔が溢れていた

    きゅん

    0

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  12. 「どう。調子は」
    「あ?まずい」
    「ここは閉鎖してたでしょ」

    春休み体操着を置いたままの美友は忍び込んだと白状した。

    「でも海棠先輩は」
    「学校のCM撮影だよ」

    ホームページに載る動画を撮影していたと言い、美友は邪魔せぬよう見学していたが、監督に何度もやり直しをしていた。

    「監督。相手がいても良いですか?美友ちゃん。おいで」
    「私?」

    彼は制服姿の美友を右腕に抱いた。監督はさらに頬を合わせようと言った。

    「笑って!女子も」
    「そんな?」
    「美友ちゃん……こちょこちょ」
    「ウフフ!」
    『君もうらら学園で一緒に青春しよう!』

    カット!で撮影は終わり完成したCMは好評だった。

    「校長。またモデル学生の問い合わせが」
    「海棠か」
    「いいえ。女子の方」
    「無視せよ!それはAIだと申せ!」
    「でも」
    「黙れ『お嬢様と呼ばないで』を読めと言え」

    が、校長は微笑んでいたのだった。

    きゅん

    0

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  13. 「?学校は閉鎖中だし」
    「用務員のお兄さん」

    美友は玄関に上履を置き忘れたので取りに来たと話した。

    「春休中に洗いたいんです」
    「じゃ、俺が取ってくるよ」

    彼は持って来たが手紙が入っていた。
    この恋文に困る美友に彼は機嫌悪くした。

    「まあ、好きな男を選べば?」
    「え」
    「俺に遠慮するなよ。別に何人でもいいじゃないか」
    「用務員さんは本気でそう言ってるの……」

    涙目の美友は、顔を背けた。

    「わかりました。誰かと交際します」
    「俺はそこまでは」
    「いいんです。さようなら」

    そんな彼女の後ろ手を彼は掴んだ。

    「待てよ」
    「離して」
    「いいや。離さない。ごめんな。やきもち焼いて」

    彼は彼女を抱きしめていた。

    「泣くなよ」
    「泣いてない。これは花粉症」
    「うるさい」

    彼は彼女の涙にキスをした。

    「許して。な」
    「じゃ、アイス」
    「オッケ!」

    二人は手を繋ぎ歩いて行った。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  14. 「眠…」
    「青麦先輩」
    「帰るのか?」

    下校の美友はバスを降りた先輩と駅ビル喫茶店に来た。
    彼は生徒会長として店の調査をすると言いパフェを注文し、待った。

    「お前さ。春の課題は?」
    「はい!今、必死に答えを写し中です」
    「大声出すな?」

    急に怒った彼に美友は悲しくなりパフェを残した。


    「ご馳走様でした」
    「……いいのか?」
    「はい」

    美友は評価をスマホにまとめ出した。

    「ええと。インスタ映え◎」
    「他には?」
    「…初デートには△。お粗末な彼女には×。熟年カップルが◯」

    「おい、お前」

    「優しい先輩に⭕️っと」

    自虐な美友に彼は真剣に向かったが、美友はもう泣いていなかった。

    「青麦先輩。今度は本命さんと来てね」
    「お前」
    「…私先に帰ります」

    美友を青麦は背後から抱き頬にキスをした。


    「え。あの」
    「俺が好きなのお前だし」

    今朝も温度は急上昇だった。

    きゅん

    3

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  15. 「何やってんだよ」
    「……学校早く終わったから」

    どこかに行きたいと美友は疾風を見上げた。

    「でも店はコロナで自粛だぞ」
    「そうか、じゃ。帰る」

    寂しそうな彼女に疾風は腕を引いた。

    「行くか」
    「どこに?」
    「いいから」

    疾風は歩いて近所の公園にやってきた。


    「うわ?桜が綺麗……」


    桜吹雪の中で嬉し顔の美友を見た彼はベンチに腰掛けた。

    「なあ。美友。俺の事好き?」
    「え」

    突然の話で彼女はびっくりして固まってしまった。
    この顔を見た彼は、慌てて誤魔化した。

    「……っていうのは冗談!」
    「そ、そうなんだ」

    がっかりした美友は自動販売機でアイスを買った。

    「見て!桜味だって」
    「どれ、ガブ!」
    「あ?もう……」

    そんな彼を彼女は見つめていた。

    「これ、好き?」
    「え?」
    「私とアイスどっちが好き?あ」

    彼女の頬にキスをした公園では鶯の声がしていた。

    きゅん

    3

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  16. 『エアラブ放送局です!本日は高等部図書室を紹介します。ゲストは美友先輩です』
    『こんにちは』
    『こんにちは!美友さんは最近何を読みましたか?」
    『私は「野いちご小説」ばかりです』

    こうして放送を終えた二人は本の話を続けた。

    「野いちごのどれ」
    「これよ」
    「『お嬢様と呼ばないで』か」

    二人は椅子に座り美友のスマホをくっつきながら覗き込んでいた。

    「面白い話ですね」
    「でしょう?次のページにして」
    「はい!ねえ。美友先輩。僕にもっと甘えて」
    「いいの?」
    「はい。何でもしてあげたい……何でも言って」

    そんな顔の距離が近い二人の間にさっと本が入った。

    「おい!何してんだよ」
    「疾風君?」
    「……出たな。でも、今は僕とラブラブだもんね〜」
    「離れろ!」

    が、彼は美友から離れなかった。

    「おい。美友!あれ?」
    「…」
    「寝てる?」

    春にうたた寝する美友は今日も男子を悩ませていた。

    きゅん

    5

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  17. 「どう。調子は」
    「あ?海棠先輩」

    美友は春休みに教室に忘れた教科書を取りに忍び込んだと話した。

    「閉鎖してたでしょ?どうやって入ったの」
    「窓。あ?」

    ここに警備員が来たので美友は机の下に隠れた。
    試験バイト中の彼は言い訳をしてくれた。

    「助かった」
    「……あのね。明日はここで英検をするからダメだよ」

    海棠は美友にそう言ったが教科書はなかった。
    そこで彼は日永教師の元に美友を連れて行った。

    「本はあります、が」

    美友の教科書は答え付きなので違反と注意された。

    「いけない子だね」
    「ごめんなさい」
    「しかも忍び込むなんて」
    「そんなに怒るなよ」

    こんな美友に日永は返してくれた。

    「あれ?何か入ってる……クッキー?」
    「私の手作りです」
    「可愛い」

    「さあ美友さん、先生と帰ろうか?教科書は全教科だもんね」
    「はい!ごめんなさい!」
    「はあ?」

    春休みはこれからだった。

    きゅん

    4

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  18. 「調子どう?」
    「海棠先輩、何をしているんですか」
    「えぐるね傷を……」

    彼は好きな子にプレゼントをするため待っていると言った。

    「その子はさ。バレンタインにくれなかったんけど、俺からあげようと思って、でも強引かな?」
    「ううん!強引なくらいがちょうど良いって、え?」

    彼は美友を抱きしめた。

    「好きだよ、美友ちゃん……俺を受け取って」
    「重くて無理です」
    「心の話」
    「先輩にはもっとふさわしい美女さんが」
    「俺は美友ちゃんが良いの」

    彼はそういって頬に軽くキスをした。

    「ひや」
    「ふふふ、ねえ、他の男からは受け取らないでよ」

    すると彼女は恥ずかしそうに彼を見上げた。

    「わかりました。あのね先輩。昔の期末テストって残ってますか?それを参考にしたいの」
    「あるよ。俺の先輩の分からあるよ」
    「やった!勉強しなくて済む!」

    海棠に欲しい物をおねだりした彼女は笑顔で帰っていった。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  19. 「え?先輩」
    「眠……つうか。お前、ここで何してんの?」
    「お昼寝ですけど、あ、私お邪魔ですね?」

    彼の背後に女子が見えた美友は遠慮し去ろうとしたが、彼は腕をさっと出してこれを制止した。

    「おっと!……待て待て……」
    「でも」
    「何が?ああ、これの事?」

    彼が背負っていたのはギャクドラマ撮影のための人形だった。

    「だから女子の制服なのね」
    「俺と揉み合って屋上から落ちる想定なんだ」

    地上では彼の撮影仲間が手を振っていた。

    「じゃ、私、本当に行きます」
    「……いや。途中までお前で撮らせて?」

    こうして美友は恋人役でフェンスで揉み合うことになった。

    「じゃ、始める。こいつ!」
    「やーめーてー」
    「やめない。アハハ」
    「キャハハ」

    楽しそうな2人は屋上から人形を落とした。

    『カット!っていうか全部カット!』

    呆れ声の監督の言葉を見学の芹那は黙ってうなづいていた。

    きゅん

    1

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  20. 「調子はどう?」
    「海棠先輩。ここで何を?」
    「司書のお姉さんとちょっとね」

    そんな彼に美友は調べ物があると話した。

    「カエル化現象です」
    「何それ?」
    「相思相愛になったら急に冷めて相手が嫌いになる心理です。ええとグリム童話の『カエルの王様』はどこかな……」
    「待って」

    海棠は本棚に手を付いた。

    「調べなくていい」
    「でも」
    「いいかい?俺を見て」

    海棠は美友の両肩を抱いた。

    「好きだよ。美友ちゃん……」
    「でもさっき司書さんと抱き合ってましたね」
    「ただの女友達さ?」
    「……あ、首が赤くなっていますけど?大丈夫ですか」

    海棠は慌てて首のキスマークを隠した。

    「蚊だよ」
    「私、絆創膏あります」
    「いいんだよ?あのね」

    彼はふわと美友を抱いた。

    「俺を嫌いならないで」
    「……ゲロゲロ!」
    「は?」
    「ゲロゲーロ!フッフ」

    この2人を芹那は今日も呆れて見ていた。

    きゅん

    1

    みちふむさんをフォロー

    通報する

  21. 「……何してんだ、よ!」
    「きゃあーー!?」

    突然、後ろからギュッとされた美友は悲鳴をあげてしまった。

    「そんなに驚くことないだろう!」
    「だって突然なんだもの」
    「ふん!そんなに俺が嫌いなのかよ」
    「そういうわけじゃないけど」

    機嫌が悪くなった疾風に美友は謝った。

    「ごめんね」
    「うるせ!いいから歩け」

    しかしまだ機嫌の悪い疾風に美友は思わず立ち止まった。

    「おい。もう良いって」
    「……」
    「行くぞ。ほら」
    「……えい!」
    「うわ?」

    背後から抱きついて来た美友に疾風はびっくりした。

    「どう?驚くでしょう?」
    「お前?ネクタイ引っ張るな」
    「ウフフ。こちょこちょこちょ〜」
    「うわ?やめろ!フハハ!」
    「止めない……そして苦手な耳に」
    「ひ」

    そういって鼻を彼の耳にくっ付けた美友に疾風はうわああ!と悲鳴を上げた。
    こんな2人は春の道をにっこり笑って歩き出したのだった。

    きゅん

    2

    みちふむさんをフォロー

    通報する

▲