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家が隣同士の私たちは、登校中にばったり会う、なんてことは日常茶飯事だ。
「うわ、またお前かよ。もしかして俺の事待ってたの?」
ニヤついた顔で私の顔を覗き込む雅人は、からかうように問いかけてきた。
「は?ありえないんだけど(笑)そっちこそ私の事待ってたんじゃないの?」
いつものように言葉を返すと、くっくっくっと笑いながら私の隣を歩く。
「そうだとしたらどうする?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
ぽかんとした顔で雅人を見あげると、すっと真剣な顔をした雅人が、私を見つめた。
「ずっと、お前のこと待ってたよ。偶然なんかじゃない。」
やっと追いついた脳にさっきの言葉の意味を検索する。
…まさか。
「俺、そろそろお前の幼なじみ辞めたいんだけど。待ち伏せとかじゃなくて、ちゃんと待ち合わせして隣を歩きたいんだけど?」
答えは?と言わんばかりに整った眉をつり上げる。
私の答えはもちろん…。
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放送委員長の翔(かける)先輩の声をスピーカー越しに聞くのが最近のお昼休みの日課になっている。
「こんにちは。お昼の放送の時間です。今日は…」
翔先輩の声が聞こえて、思わずお弁当に向かっていた箸が止まった。
「七海(笑)また箸止まってる(笑)」
友達にも笑われる始末。
自分でもちょっと変かなって思ってるけど…。
けどさ!そんな笑わなくても良くない!?
お腹を抱えて笑う友達を睨みつけてると、不意に先輩の声が聞こえた。「えー、ここからは放送委員じゃなくて、吉田翔として言いたいことがあります。」
緊張してるのかなって思うくらい固い声。
「…2年、橋本七海さん。君のことがずっと好きでした。話したことないし、面と向かって言う勇気もないので、ここで言わせてください。」
みんなが私に注目する。私はぽかんと口を開けて呆然とするしかなかった。
「…言っちゃった…」
これは長い長い物語の第一歩。
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星空満天の空を屋上で見るなんて、贅沢なことだ。
今年で卒業した僕達は、先生に特別に許可をとって、天体観測をすることにした。
最後の思い出作りということでほぼクラスの全員が来ている。
--もちろん、七海も。
1年生の頃から仲良しで初めて好きになった人。初恋というやつだ。
告白しようしようと思いながらも、関係が崩れるのが嫌で黙ったまま卒業した。
でも会えなくなってから、恋しくて、会いたくて。どれだけ好きか思い知らされた。
告白したい。でも怖い。ヘタレな僕はそれでも一生懸命考えて、本好きしか分からなそうな告白をしようと決意した。
さりげなく七海の隣に行って、密かに深呼吸する。
「…月が綺麗ですね。」
急に話しかけられてびっくりしたのか、七海はぱっと僕を見た。
「…そう…だね…」
途切れ途切れに返す七海を見てやっぱり分からなかったかと、安堵と少しの諦めの息をついた。
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「…ごめんなさい。あなたとは付き合えません。」
気持ちをぶつけてくれた人に深々と頭を下げた。
「え!そんなに頭下げないで!顔を上げてよ!
…でも、理由くらい…聞いてもいいかな」
ゆっくりと顔を上げた私は無表情のままその人の瞳をじっと見つめた。
「…ずっとずっと、忘れられない人がいるの。ソイツがいる限り誰とも付き合えない。」
だって、あなたは私がずっと見ていたアイツとは全然違うんだもの。
どんな人を見ても、どんなに好きと言われても、二度と顔を見ることができないアイツと比べて勝手に幻滅する私がいるのをとめられない。
「……そっか。」
私の顔を見て複雑な気持ちを察したあなたは苦笑して頭をかいた。
「ありがとう。聞いてくれて。」
うっすらと涙をうかべて去っていくあなたを見ながら心の中で呟いた。
ねぇ、アンタのせいでまた優しい人をふってしまったじゃない。
ねぇ、なんで私を残していってしまったの…
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ほんとさ、初恋が実らないとか迷信作ったの誰なの?
そりゃ両想いって難しいと思うけどさ、最初で最後の初恋が実らない前提で話進めるなんてひどすぎない?だったらしなきゃいいじゃん、恋なんて。
…ってずっと思ってた。実際今まで好きな人なんて作ってこなかった。なのに…。
黒板の前で教科書を音読してる先生をちらっと盗み見る。
恋なんてしなくていいって思ってた私をいとも簡単に落とさせてしまう先生は理不尽だ。ちょっと年上だからって子供扱いして、私を「そういう対象」としてみてくれていない。
ひょうひょうとした顔になぜかムカついてきて、
何も気づいてない先生に向かって、心の中で宣言する。
「初恋は実らない」なんて、私が変えてやるから。待っててね、先生。
これは宣戦布告。先生に、こんな迷信作った野郎に、そして自分に対しての。
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最近、私が変だ。
隣を歩いてる幼なじみ、大和をちらっと見ながら思う。
どうやらそれは、大和に関して起こるらしい。
このもやもやをどうしていいか分からなくて、大和に直接聞いてみた。
「ねえ、大和」
「ん、何」
スマホから顔を上げずに素っ気なく返す大和。そんな大和をみてまたイライラする私がいる。
「あのね、最近、大和を見ると変なんだ」
「へえ、どんな感じに?」
「なんかね、上手く言葉に出来ないんだけど、大和がほかの女の子といるとモヤモヤするし、こうやって一緒にいると心臓が痛いし…これ、病気なのかなぁ」
本気でわからなくて首を傾げる私を、大和は信じられないと言った目で見つめてきた。
「…それって」
「?なんでか分かるの?」
じっと見つめていると、ふっと顔をほころばせた大和は、私の頭をわしゃわしゃって撫でてから言った。
「…今はわからなくていいよ。俺が長い時間かけて、ゆっくりと教えてやるから。」
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…分かってる。こんな恋、実るはずがないって。
今日もテレビの中で甘い微笑みをくれるケンヤに見とれながらふと思った。
いつからだろう、ケンヤが頭から離れなくなったのは。
いつからだろう、ファンの"好き"じゃ物足りなくなったのは。
いつからだろう、この微笑みが私だけに向けられたらいいのにって強く強く思うようになったのは。
アイドルのあなただから私の顔なんてもちろん知るはずないだろうし、あなたを実際見ることが出来るのだって、LIVEだけ。
たったそれだけなのに、あなたは私の心をたやすく奪い去っていったね。
でも、あなたの心は別の人にあるみたい。
ニュース番組でケンヤの熱愛報道が何度も報じられる。相手の人は一般人らしい。高校からの付き合いだそうだ。「結婚は秒読みか!?」なんてネットじゃ大騒ぎだ。
…分かってた。こんな恋、実るはずがないって。
…分かってたのに…。
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「優斗〜、チョコ欲しい〜?」
さりげなーく私は聞く。
「…え、いまさら?」
呆れたように、優斗は言った。
…そう。バレンタインはとっくに終わってる。もうすぐホワイトデーって時期に私は、照れくさくて渡せなかったチョコを渡そうとしているのだ。
だって幼なじみだし、昔から知ってるし、片想いだし…。
「まあまあ(笑)そんなことより優斗は女の子からチョコあげるって言われなかったの?」
さらっと流したな。優斗はまた笑って答えてくれた。
「んー、あげるとは言われたけど、全部断った。チョコとかいらねーし」
グサッときた。まるで私に言ってるかのようで。
「…そっか〜。そうだよね!要らないよね!」
半ばやけになって振り切るように言ってから口角をあげた。涙がこぼれないように。
「…いや、そうじゃなくて」
優斗は照れくさそうに頭をかいた。
「"お前以外のチョコ"は、いらないって言ってんの。」
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「せーんぱいっ!好きです!付き合っ…」
「お断りします。」
抱きつこうと駆け寄ってきた夏都(なつと)をひらりとかわし、丁重にお断りする。
えーなんでですかーと唇をとがらせる部活の後輩。
本気か冗談かわからない軽い口調に騙されたりなんかするもんか。
「…夏都」ため息をつきながら私は言う。
「あんた結構モテんだから私みたいなの構ってないでほかの子にしたら?」
体育館の扉のそばで、夏都に熱い視線を送る女子達を指さす。
途端に、へらっと笑っていた夏都は表情をなくし、怒ったように眉を寄せた。
「…先輩。それ、本気で言ってる?」
威圧感あふれるオーラを放ちながら一歩一歩と私に近寄ってきた。
…なにこれ、こんな夏都…知らない…。
少し顔を動かしたら唇が触れそうな距離まで近づいた夏都は、私の瞳をじっと見つめ、へらっと笑った。
「好きだよ、先輩」
その瞬間、私の顔に熱が集中したのは言うまでもない。
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「あ!ねえ雪降ってきたよ!」
ちらちらと降ってくる白い結晶に思わず息を飲む。
「おい美優、上ばっかり見てると転ぶぞ」
呆れた顔で言うのは同級生の玲音。1週間前に玲音から告白されて今日が初デート!クリスマスに初デートってちょっとロマンチックじゃない?
「だーいじょー…きゃっ!」
空に気を取られていた私は小さな石に気づかずにつまづいてしまった。
転ぶ…!とっさにそう思ってぎゅって目をつぶったら…
「ったく!危ねーな」
玲音に抱きとめられていた。転ばずにすんだのはよかったけど近い…!
顔が赤くなっていく私を見て今の状況に気がついたのか、玲音が照れた顔でぱっと離れた。
そして私の手を強引に引っ張っていく。
「…これだったら転ばないだろ?」
ぎゅっと握られた私の手。外は寒いはずなのに玲音の手は暖かくて。
「…うん。」
このまま離したくない…。そう強く思ったんだ。
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「これはこうして…ここにこの公式を…」
せっかくテスト休みの最後の日、大和先輩が教えてくれているのに私は全く集中出来ずにいた。
先輩との距離、わずか5cm。先輩の低い声が耳もとで聞こえてくる。心臓の音が聞こえてないか心配で、正直勉強どころじゃなかった。
「…なみ。…みなみ。美波!」
とろけそうな頭がようやく先輩の声をキャッチした。
「ふぇ?」
「あ、やっぱり聞いてなかったろー!ちゃんと聞けよー?」
意地悪そうな顔をして、先輩の大きな手が私の頭に置かれる。軽くクシャっとなでてから
「明日のテスト、いい点取れたらごほーびやるから」
そう耳もとでささやいた。
ドクンっと心臓が跳ねて、全身に血が巡りだす。
先輩は火照っている私の顔を見て満足そうに笑みを浮かべ、また教科書へと視線を戻した。
先輩の言う“ごほーび”を期待しつつも、さっき以上に頭が働くなった私であった。
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「いいタイムだよ!このままだったら明日の大会決勝まで行けるかも!」
息を切らして倒れ込んでる後輩、翔くんに私は興奮しながら喋っていた。
明日は大事な全国陸上大会の選手権。上位3名までが全国大会への切符を手にするのだ。
そして翔くんは100m走に出場する。私はそのマネージャーだ。
息を整えた翔くんは、
「先輩…」
と何故か言いにくそうに私に声をかけた。
思わず首を傾げると、大きく深呼吸をした翔くんが私をじっと見つめた。
「明日の大会、絶対優勝します。そしたら1つお願い聞いてもらってもいいですか?」
おずおずとした感じで私の方を見つめてくる。
「うん!私に出来ることがあればなんでも言って!」
そう言うと、
「よかった…じゃあ俺が優勝したら…俺の彼女になってください!」
顔を真っ赤にしながらそういう彼につられて私も顔が熱くなる。
「…じゃあ絶対優勝してもらわないと…私も…彼女になりたいから…」
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「せんぱぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」
うわ、また来たよ…
毎日昼休みになるとダッシュでやってくるのは1こ下の後輩の駿。
最初は可愛いくらいにしか思ってなかったのにこいつのアピールにやられてつい先月付き合い始めたばかりだ。
「せーんぱいっ!ご飯食べに行きましょ…「行かない」」
なんでですか〜って涙目で騒いでる瞬を無視して自分のお弁当を開ける。
(うわ〜またやっちゃったよ〜!駿も近すぎ!こんなんじゃ素直になんてなれないよ…)
そんな心の声も無視して黙々と食べ始めた。
「あ、コレ俺の好きなやつ!せんぱぁい!くーださいっ!」
そう言って私の手を掴み、自分の口へと箸を持っていく。
止めるまもなく私の卵焼きは駿の口の中に運ばれた。
「…」
何も言えずに固まる私に駿はとびっきりの笑顔を見せた。
「先輩!めっちゃ美味しいです!」
「…あっそ。」
そういうのが精一杯の私は赤い顔を隠すことが出来なかった。
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「なあなあ、俺のことも構ってくれよぉ泣」
そう言って私のことを後ろから抱きしめるのは彼氏の夏樹。物心着く前からずっと一緒で、何をするのも一緒。素の私を受け止めてくれる夏樹のことが私も好きなんだけど…
「俺よりゲームが好きなのかよ〜泣」
こういうとこ、ちょっとうざい。
「なあなあ〜泣」
「もういい加減にして!今いいところなんだから!」
そう言うと、さすがに怒ったのか夏樹は黙り込んだ。
やば…ちょっと言いすぎた?慌てて謝ろうとすると
「俺よりゲーム選ぶとか…妬ける。」
ボソッと呟いた夏樹。えっと聞き返そうとすると、強引に上を向かされ…
チュッ…
小さいリップ音を鳴らして夏樹の顔が離れた。
「ゲームより俺の事夢中にさせてやるから。」
…大丈夫。もう夢中だから。私は真っ赤な顔で夏樹に聞こえないようにそう呟いた。
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これから私は憧れの先輩…優先輩に告白する。
でも答えはもうわかってる。先輩にはずっと見てる人がいるってこと知ってるから。
だから私は先輩に想いを伝えるだけ。もうこの気持ちを抑えておくのは出来ないから。
優先輩が私を見つけて駆け寄ってくる。
「ごめん遅れちゃって。で?話ってなに?」
私の大好きな満面の笑みでそう問いかける。
「返事はいりません。私が言いたいだけだから…」
そう言う私の声は震えていた。
優先輩はキョトンとした顔で私を見つめている。
ひとつ深呼吸してやってくれ私はぐっと顔をあげる。
「私、優先輩のことが…」
夕焼けの中、先輩の顔が赤くなってるのは気のせいだろうか。
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きゅんができる!
本当に解除しますか?