ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「うっわ、また雨だ。最悪……」

    七夕の日はいつも雨だ

    雲の上で二人は会ってる、って聞いたことがあるけど、私なんて一人だよ?

    え、傘がない!?


    「よっ」

    ん?

    「どうせ傘忘れてると思ってたけどホント期待を裏切らないよな」なんて言って笑ってる

    「別に待ってなくても良かったのに」

    私って可愛くないな。君の前では一番可愛く見せたいのに、素直じゃない

    というか天邪鬼が凄い


    「じゃあ入れてやらないけど」
    そう言って意地悪そうにニカって笑う

    幼い時から一緒だから、わかるのかな、私の気持ち。それがちょっとズルい

    私は全然君の気持ちわからないのに


    「部活おつかれ」

    相合傘も君にとっては私相手じゃ慣れたものかな


    「けっこう恥ずかしいよな」

    「え?」

    「あー、こっち見るなって」


    温かくて大きな手にクシャっと髪を触られる

    織姫と彦星が見守ってくれているような気がした

    きゅん

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  3. 「はい、おつかれ」

    図書室で勉強をしていれば、目の前に可愛い包装のされたチョコレートが置かれた

    「糖分だ~。勉強疲れにちょうど良いや。ありがと」
    「超マイペースだな」
    「え?あ、今日ってホワイトデーかぁ」

    んん?
    そういえば私、隣に座った彼氏にバレンタインチョコあげてないじゃん…
    べつに喧嘩した、とかじゃなくて、たまたま連休で、模試がその日にあったりなんだりで忘れてた

    「…ごめん。私、これ受け取る資格ないね」

    手でつまんだチョコを渋々箱に戻そうとすると、そのまま手首をつかまれた

    「なに悩んでんの?おまえのために買ったんだけど」

    「だって」とごねれば、パクッと食べ、私の指も舐める

    「ちょっ…」
    顔を赤らめれば、意地悪く笑ったキミは私の後頭部をおさえた

    「俺はいつでも貰えるから良いよ」

    聞き返す間もなく塞がれる唇

    「ほらね、貰えた」
    「…ばか」

    貰ってばかりなのは私だよ

    きゅん

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  4. 今日は、彼と付き合って初めてのバレンタイン

    本当は甘々な日を期待してたんだけど…現実は、そう上手くいかない

    というのも先週、喧嘩してからずっと口を聞いていないんだ
    互いに意地張ってるだけで…もはや、喧嘩の内容も忘れてしまった

    「みんなチョコ取ってー」

    マネージャーの私は、男バスのみんなに渡していく

    「やばい、めっちゃ嬉しい」
    「サンキュー!」

    あちこちで歓声が聞こえてくる中、最後にやってきたキミ

    「…俺のも、あいつらと同じ?」
    「もちろん、みんな義理チョコですから」

    可愛げのない私は、わざと皆に聞こえる声で「義理チョコ」を強調する
    気持ちは本命チョコなんだけどね

    「むぐっ…」

    チョコを口の中に突っ込まれて、危うく喉に詰まりそうになる

    ―チュッ…

    「っ…!?」
    「うまかった。これで俺だけ特別チョコ、な」

    意地悪く笑うキミ

    「…ばか」

    とろける甘さが口の中に広がる

    きゅん

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  5. 「ほんとに渡さないつもり!?」
    「もう良いの!あんな奴こっちからお断りだっつーの!」

    ううん…本当は、キミに食べてもらいたかったよ?
    でも、他の女の子たちから一杯もらって「ありがとう」って言うキミの眩しい笑顔を見たら…
    なんだか悔しくて、私のチョコなんかどうでもいい、あげるもんか、って思っちゃったんだ

    「あ、噂をすれば来たよ?ちゃんと渡しなよ!頑張って作ってたんだから。ね」

    そう言って、いなくなってしまう親友
    今日は意地でも渡してあげないんだから

    こういう時、帰る方向が一緒って嫌だな…

    ―ギュッ…

    「っ…、なにしてんの!?」

    いきなり後ろから抱きつかれ、変な声が出る

    「なあ、今年はくれないの?」
    「…沢山貰ってんじゃん」
    「お前のずっと待ってたんだけど」

    その言い方…ズルくない?
    渋々渡せば、キミは満面の笑みになるんだ

    「そういえば、欲しいのお前の本命チョコだけだから」

    きゅん

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  6. 「…あいつらは、バレンタインデーがなんなのか知ってるのかよ」

    そう呟いた天才の一言を私は聞き逃さなかった

    「なんでそう思うの?」

    半ば食い気味に聞いてみる
    だってキミが私に話しかけてくれることなんて、なかなか無いんだもん

    「世間は、本命チョコだのなんだのって騒いでるけど、ウァレンティヌスのこと、何一つ知らないだろ……って、なんだよ?」
    「あー、本命チョコのこと知ってたんだなぁ、って」
    「今日、なんか変じゃね?お前」

    そりゃあ…キミに、その「本命チョコ」を渡そうとしてますからね?

    「糖分多めでカロリーも高い。一度に摂取するには効率が良い。チョコってそんなもんだろ」
    「だよね…」
    「って思ってたんだけどさ」

    いつの間にか、後ろに隠していたはずのチョコがなくなっていて、キミの手の中にあった

    「うまいな」
    抗議の眼差しを送ると謝るキミ

    「…今、本命の人に食べてもらったから良いよ」

    きゅん

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  7. 「誰用?」

    こう聞いてくるのは、私が密かに想いを寄せている先生

    今日はバレンタインデー
    みんなは好きな人にチョコを渡すとかでクラスには誰もいない

    渡すなら…今なんだど
    心臓がうるさくて、それどころじゃない

    頑張って作った、机の上にあるチョコ
    それを持とうと伸ばす手が震えてる

    「…好きな人に、です」
    「青春だな」
    「先生は…もらわないんですか?」
    「んー、いないな。あ、でも井上の貰うわ」

    そう言って私のチョコを取り上げた

    「チョコ、学校に持ってくんの禁止だろ?」
    「…じゃあ、どうぞ」
    「は?怒んないの?」

    そう聞いてる先生のほうが怒ってるような…

    「嘘だよ。井上から貰うヤツに嫉妬しただけ。行けよ。見なかったことにしてやるから」

    そんな風に甘く囁かないで…

    「元からそれ、先生に没収される用なんで」

    その場から走り去る


    先生の頬が赤かったのは、
    本命チョコしか知らない

    きゅん

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  8. 「ねえねえ」
    仲のいい男友達の袖を引っ張る

    「好き」
    「え」

    なぜか照れて、髪をクシャッと掻くキミ

    「ってなに?」
    「は?」

    今度は、驚いた顔
    コロコロ表情が変わるな~、なんてこの時は呑気に考えてた

    「恋、ってなに?」

    友達に借りた少女漫画を読み終え、その時の疑問をぶつけてみる

    「…それ、俺に聞く?」
    「だって、好きな人いるんでしょ?」
    「…いるけどさ」
    「なら教えてよ、恋愛の先輩?」

    「たとえば…」

    首に手をまわされて、いつの間にか鼻と鼻が触れ合いそうなくらいの距離にいる

    「え…」

    なんで胸が高鳴るの…!?

    「俺、おまえが好き」

    いやいや、漫画の読みすぎだ
    こんなんでときめくだなんて、絶対おかしい

    「かも」
    「へ…?」

    何事もなかったかのように離れていくキミ

    「わかった?」
    「…わかった」
    「よかったじゃん」

    ……どうやら、この笑顔に堕ちてしまったみたい

    きゅん

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  9. 「優月姫」

    扉にもたれ、教室の中を覗き込みながら呼んできたのは、陸上部部長の月城先輩

    つい頬を緩ませてしまうのは、大好きなキミだからで

    誰もが息を吞むほどの容姿をもった彼のもとに、急いで駆け寄る

    「あっ…」

    ―ガタンッ……

    「おっと…」

    椅子に引っかかって転びそうになった私を持ち上げてくれた、キミの腕の中に、すっぽりとおさまる私

    「すみませんっ…!」

    急いで離れようとしても、先輩の腕はびくともしない

    「あの、先輩?今日、部活なくなったって聞いたんですけど…」

    全然関係ない話をして、胸の高鳴りに気づかれないよう気を配るので精一杯だ

    「…部活なくても、一緒に帰っていいだろ」

    ぶっきらぼうに言うキミの声がいつもより近くにあって心臓がうるさい


    「あの…もう、大丈夫ですから離れますね」
    「もう少し、こうしてたい」

    ―ギュッ…


    後で皆に冷やかされたのは言うまでもない

    きゅん

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  10. 「おはよー!」
    「…おはよう」

    この人は何を考えているのだろうか
    僕に話しかけて得する人はいない

    「ねえ、昨日のドラマ観た?」
    「あんな恋愛ドラマ、観るわけないだろ」
    「うん、似てる!」

    目がくらむほどの眩しい笑顔をしている

    「…なにが」
    「ドラマのヒーローに似てるよ!」
    「僕が?」
    「うん」
    「まさか」

    僕みたいなのが主演、とか恋愛ドラマが成立しない

    「再現するね」

    は…?



    ―ドンッ


    まさかの壁ドン

    「…こういう趣味ないんだけど。それに、僕とは関わらないほうがいいよ」
    「わぁ…!」

    壁ドンをしながら、屈託のない笑顔を向けられても…困る


    「みつけた!」
    「…なにを」
    「運命の人」


    ―ツンッ

    僕の鼻に軽く触れた指先は細くて温かかった

    「どこまでが再現?」
    「気になる?」
    「…べつに」

    とりあえず、帰りの電車であのドラマを観ようと思った

    きゅん

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  11. ※本編のアナザーストーリーです(主人公の姉の話です)
     少しネタバレありです!





    「百合、元気?」


    今日もお見舞いに来てくれたキミ
    いまの私たちの関係は、「元カレ・元カノ」
    それ以上でもない、それ以下でもないの

    「…げんき」
    「よきよき」

    沢田一輝
    これが、キミの名前
    いまや、誰もが知っている、人気若手俳優

    キミが私を捉える瞳は、眩しすぎて…目がくらむ
    それは、キミだからなのか、それとも、芸能人だからなのか
    私には、わからない


    ―ギュッ…

    曖昧な関係でも、わかることが一つだけある
    それは…キミの温もりが恋しいということ

    毎日、キミは私を抱きしめながら、言う

    「好きだよ」

    って



    ―ギュウッ…

    抱きしめる力をこめる

    「…百合、もう離さないから」

    仕事に戻ってしまえば、キミは画面の向こう側に
    画面は硬くて冷たい
    でも、いまだけ…独り占めしていいですか

    きゅん

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  12. 「なんで私が…」
    彼氏兼アイドルのキミは、授業に出れない代わりに、私の家で勉強をする
    というより、私が教えている
    「え?だって、麻希、頭良いじゃん」

    テレビに引っ張りだこで…眩しいほどの笑顔で笑いかけるキミに、堕ちない人間は、きっといない
    誰でも、子犬のような目で見つめられたら、一瞬で恋する

    「カズは、誰にでも好かれてるんだから…他の人でも、教えてくれるんじゃないの?」
    「あれ、麻希、妬いてんだ?」
    「…うっさい」

    図星すぎて、何も言い返せない

    「なに?もしかして、女優と仲良さそうにしてたの、観て?」
    「…そんなんじゃない」
    「好きって言ってみな」

    キミは、私の前だと、普段の王子様フェイスをぶっ壊して、ドSになる


    「…き」
    「え?聞こえない」
    「好き!」
    「知ってるっつーの」

    やけくそになった私の唇を、キミは奪う

    「っ…!?」
    「今はオフだから」

    いまだけ、私だけを見て

    きゅん

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  13. ※本編ネタバレ含みます!!





    「なあ、聞いてる?」

    動画を編集していると、スマホに飽きたのか、私の頬をつついたり、抱きしめたりして、暇つぶしをし始めた無気力王子

    彼氏になって数か月…けれど、未だに慣れない至近距離

    「集中できないんだけど…」
    端正な顔がこんなに近くにあると、集中できるものも、できない
    キミといると心臓に悪い
    きっと、寿命の大部分はキミのせいで削られた

    「妬くんだけど?」
    「え、何に?」
    「パソコン」
    「…ごめん、どういうこと?」
    「説明すんの、だるいから、いい?」
    「えっ…ちょっと…!?」

    ―チュッ…

    私が言葉を発する間もなく、奪われた唇

    「樹ってば…んっ…」
    「やっとこっち向いてくれた」
    「…強引すぎない?」
    「良く言うよ。嫌じゃなさそうだけど」
    「ねえ、さっきの意味は?」
    「説明だるい」

    またもや重なる影

    キミの隣で…咲き続けるよ、これからも

    きゅん

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  14. 「ねえ、聞いてよー!この前、彼氏がさー」
    「告白されちゃった…!」
    「どうしよ、なんか、好きになっちゃったかも」

    クラスの女子の会話と言ったら、恋バナに尽きる。

    「女子ってなんで、恋バナ好きなんだろ」
    「さあ?」
    「おまえは参加しなくていいの?」
    「まあ」
    「恋ってよくわかんないよな」
    「同感」

    隣の席のキミとは気兼ねなく話せて楽。
    けれど、私たちが話すことをよく思わない女子も多いようで、いまも、話しているかわからないほど、口を動かさないように気をつけている。

    「でも、あれだわ」
    「ん?」
    「おまえのことは、誰にもとられたくないかも」
    「どういうこと?」
    「説明するの、だるい。あとは自分で考えて」

    よくわからないけれど、特に最近は、この無気力王子に振り回されているのだ。


    ―ギュッ

    …!?

    「栄養吸収中」
    「…私をエネルギー源にするの、やめてよ」


    ほんとに…調子狂うよ…

    きゅん

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  15. 「クリスマスごときで浮かれるなよ」
    いきなり不機嫌なキミの顔がドアップで映りこんできた

    「今日もアイツか」

    「俺の弟と最近、話してんじゃん。ま、楽しくカップルでご満喫したらどうですか」

    なにを勘違いしているんだか…好きなのはキミなのに
    キミの誕生日が今日だから、クリパ兼誕生日会の打ち合わせしてたけど…

    「はやくアイツのとこ行けよ」
    「違う」
    「は?」
    こんな鋭い目…本気で怒っているらしい
    こうなったら言うしかない…

    「あー、もう。サプライズが台無し」
    鞄の中からプレゼントを取り出す

    「誕生日おめでと」
    「じゃあアイツとは…」
    「なにもないよ。ほら、今日の主役なんだから行くよ」

    「俺の誕生日だろ」
    「そうだけど…」

    「なら、あいつらと一緒じゃなくて、二人がいい」
    「え」
    「クリスマスプレゼントは?」
    「誕プレだけだよ…」
    「なら、お前をもらうわ」
    !?

    メリークリスマス

    きゅん

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  16. 今日はクリスマス


    世間のカップルにとっては天国だけど…私にとっては地獄


    「…結局、今年もクリぼっちだ」

    むなしい独り言をこぼしていると、なぜかキミから電話が


    「もしもし…?」

    「元気ないな。大丈夫?」

    「平気だけど…どうしたの?」

    「一人なんだろうなって思って。いまから一緒に出かけない?」

    「一人じゃないって言ったら?」


    電話越しのキミが固まった


    「泣く」

    「…いや、いないよ」


    「なら降りてこいよ」


    まさか、と思って窓を開けて下を見ると…


    「よっ」

    「なんで…」

    「イルミネーションのチケットあるから行こ」

    こんなサプライズ、嫌でもときめく


    「ちなみにカップル席だから、な」


    当たり前のごとく私の右手を包み込むキミに胸が高鳴るのは

    「…クリスマス効果だよね」

    「なんか言った?」

    「なんでもない」


    メリークリスマス

    きゅん

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  17. 「彼氏、いる?」
    「いる」

    「だれ?」
    キミだけど…

    「数学」
    も好き

    「おまえ、勉強のしすぎでついに壊れたか」
    「まさか。彼氏は数学。揺るがぬ事実」
    「あっそ。惚れたポイントは?」
    「秩序に満ちた数学の世界観」

    「俺、数学に負けた」
    「そうだね」
    「数学になっていい?」
    「…むりでしょ」

    だってこの人、無秩序の塊。予測不可能な行動をとる要注意人物

    「恋って感覚だから、無秩序のはずだよ」

    「…だから?」
    「彼氏は、俺でしょ」
    「…珍しく論理が破綻してない」

    「数学ごときに好きな人とられたら、たまったもんじゃないからな」
    そんなことでいちいち熱くなるとか…

    「では、俺を数字で表すと?」
    「…無限大」
    キミといると、光が広がり続けるから

    「好き」
    唐突に耳元に囁くなんて…

    ある数式が脳裏に浮かぶ


    無秩序 かつ 無限大 イコール キミ

    きゅん

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  18. 「今日、暇だよな」
    「…きめつけないでよ」
    「え、用事あんの?」
    「ないけど」
    「ならいいじゃん、行こ」

    私の心を荒らしまくるのは、紛れもなく、このやんちゃ君

    「ほんと暇だよな」

    ちがうよ。水曜の放課後だけ、キミのためにあけてるの
    って可愛く言えたらいいんだけど…

    「暇で悪かったね」
    「可愛くないな」

    けっきょく、こうなる
    なんで、キミにはこんな態度をとってしまうのだろう

    「ゲーセン行こう」
    …またか
    所詮、私はキミの女友達ですよ


    「手、出して」
    「え?」
    「クレーンゲームで取ってきた」

    いつのまに…って…

    「これ…!」

    私が好きなキャラ!
    それにしても、なんでそのこと知ってたんだろ…

    「いいの…!?」

    「その笑顔見れたからいい」

    あ…私、ふつうに笑えてる

    「さっきの訂正」


    「けっこう可愛い」

    …今日も、私の心は荒れ模様

    きゅん

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  19. 「好きだよぉ~!」
    ほんと、あの犬が羨ましい

    今日もキミの家を通る

    「でも、そろそろ行かなきゃなの。ごめんね?」
    「おはよ」
    「あ、先輩、おはようございます!」

    その笑顔、

    「可愛いかよ」
    「先輩もこの子、可愛いって思ってくれます?」
    「いや、その子より可愛い子しってるけど」
    「え!?ほんとですか!?今度、紹介してください!」

    先に歩く俺の後を追いかけてくる足音さえも愛おしく感じてしまう俺は、もはや重症の域に入ってしまっているわけで

    「おまえの頭には、犬しかないのか」
    試しに頭をつついてみるけど、やっぱり顔を赤らめてはくれない
    どうしたら、犬じゃなくて俺を見てくれるようになるのか、最近、そればっかり考えている

    「だって先輩が気になること言うから」
    「可愛い子、って犬じゃないよ」
    「え、誰ですか!?」
    「いい加減、気づけよ」

    「おまえだよ」

    あれ?一瞬だけど、犬に勝てたかも

    きゅん

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  20. もう会えないと思ってた

    「近野?」
    大好きだった声が聞こえる

    「松井?」
    振り返ったら、目の前には初恋の相手が

    出発の前日、松井の鞄に手紙を入れた。それを読んでいるなら…と思うと、途端に恥ずかしくなる

    「やっぱ、近野じゃん!久しぶりだな」
    昔の面影が笑顔に残っている。背は私を越していて、だいぶ大人びて見えるけど…かっこいいのは変わってない

    「相変わらず可愛い」
    「え」
    「あ、やべ。口が滑った」
    なにそれ、ずるい
    いつもそうやって、私だけが好きになっちゃう

    「…俺、近野が転校して、気づいた。お前に初恋、捕られてた」
    ニヤッて無邪気に笑うキミ
    未だに胸が高鳴っている

    「次に会ったら絶対、伝えるって決めてたんだ」
    「そっ、そうなんだ」

    「でも、会ったらもっと好きになった」
    思考回路が停止した

    「もう、いなくなるなよ?」
    「…うん」
    「俺らの初恋、やり直そう。」

    初恋リスタート

    きゅん

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  21. 小学生の時、近所の家をいっぱいまわった

    ―ピンポン

    「はーい」

    ドキドキ高鳴る鼓動

    「トリックオアトリート!」

    キミの家に行くのは、いつも最後にとっておいた

    「ん、やるよ」
    「あれ?みんなと違うよ?このお菓子」

    キミがみんなに渡したお菓子はふつうの飴なのに、渡されたのは、私の大好きなオレンジ入りのチョコボール

    「…大人びてる味、好きじゃん」
    「もしかして、私のために?」

    特別扱いされると、期待してしまう

    「…当たり前じゃん」



    いまでも覚えてる。あの時のキミの照れた顔


    そして現在

    「…なにニヤけてんの」
    「べっつに~」

    「よそ見してんなよ」
    「俺だけ見てろよ、みたいな?」
    「…バカかよ」

    「うわ、つれない返事。昔はもっと優しかったのに」

    「昔から、おまえが大事なのは変わってないけど」

    その目でみつめられると…私、駄目になっちゃう

    こんどは私が届けたい

    きゅん

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