ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「おはよー」

    「はよ……って何それ。似合ってねー」

    私の席の隣には、片思いの彼。
    その彼に少しでも可愛く思われたくて、色付きリップを塗っていった結果がコレだ。
    一瞬で恋心は砕かれた。

    次の日、登校中に後ろから声を掛けられて振り向くと彼がいた。並んで歩く。

    「今度の花火大会、行くだろ?」

    「あ……うん」

    「あのさ、塗ってきてよ。あのリップ」

    「え?だって似合ってないって……」

    「いや……他の奴に見せたくなくて、ああ言っただけ」

    ちょっと待って。
    それってどういう意味?
    全然気持ちが追いつかないよ。

    「で、でも他の人も誘うでしょ?」

    「だから!その……二人で行こうっつってんの」

    ああ――ダメ。
    最高潮にドキドキして、顔に全身の血液が集まるのがわかる。

    彼は目を合わせてくれないけれど、耳まで真っ赤になってる。

    全部吹っ飛んで、確かなものが一つ。

    私は君が、大好き。

    きゅん

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  3. “帰りな。お前には、お前の場所があるんだろ”

    そう言って、差し伸べられた手は大きくて温かかった。
    鷹の目をした人。でも、鋭い瞳の奥は優しさに満ちていた。

    何もかも嫌になって夜遅くに家を飛び出した私を、絡んできた酔っ払いから助けてくれた人。
    自暴自棄になって今にも消えてしまいそうな私の心の蝋燭に、火を灯してくれた。

    数日後。
    同じ学校だと知ったのは、ある雨の日の放課後。
    昇降口で雨宿りしてる黒髪の男の人を見つけて、胸がトクンと鳴る。

    あの夜の人だ。
    この学校で有名な、先輩だった。

    思い切って話しかけてみよう。
    傘を差し出して『一緒に帰りませんか』って。

    でも、寸前で足を止める。

    あの人の隣には、別の女の子がいたから。

    私が、あの人の蝋燭に火を灯す存在になりたかった。
    だけどそれは、私じゃない。

    先輩が隣の子を見つめる目――私が先輩を見る目と同じ。

    そっと、踵を返した。

    きゅん

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