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  2. 「あ、桜…」

    新学期、最初の登校日。いつもの通学路を歩いていると、ふわりと目の前を横切る薄紅色の花弁。

    「まだ残ってたんだ」

    また、ひらり。数枚の薄紅色に釣られるように顔をあげる。時季はとうに過ぎてはいるけど、小さな花が幾つも風に揺れていた。

    「やっぱり好きだな、桜」

    昔から、桜が好きだった。

    もう花は散ってしまったと思っていたから、残っていたのが何だか嬉しくて、見上げながらゆっくり歩く。

    刹那、風が吹いた。

    「…っ」

    咄嗟に目を瞑る。

    風がやんで、瞼を開いた先にいつの間にか一人の男の子が立っていた。

    思わず声が溢れた。

    「桜…」

    その声は耳に届いたようで、振り向いた彼は笑う。

    「よくわかったね」

    「え?」

    「名前。…ねぇ、学校同じだよね?制服同じだし」

    「う、うん」

    桜色の髪の彼は、私の前で綺麗に微笑んだ。

    「俺、佐倉 隼人。これからよろしく?」

    きゅん

    8

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  3. 「文化祭の展示、大成功だったね!」
    「そうですね!」
    手芸部の展示品を片付けながら言うと、日向くんもにこにことして返事をした。
    「それにしても、日向くんの作品綺麗だよね…私より上手」
    「ふふ、ありがとうございます♪先輩に褒めて貰えて嬉しいです」
    そう言いながら、日向くんは自分の作品を手に取る。白いレースの、まるで花嫁が被るベールみたい。
    「これ、花嫁のベールを作ってみたんです」
    「あ、やっぱり?そうかな、って思って…え?」
    日向くんが近付いてきて、ふわりと何かが頭に被せられた。それは言うまでもなく、彼の作品で。
    目を瞬かせる私を見て、彼は笑った。
    「先輩、似合いますね」
    「似合うって…」
    「先輩」
    不意に手を取られ、真剣な目が此方を射抜く。
    「好きです。僕の花嫁になってください」
    気が早い、と赤い頬で言うと、日向くんは甘く微笑む。

    「僕達の結婚式では、僕が作ったドレスを着てくださいね?」

    きゅん

    4

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  4. 「先輩」
    「あ、来た来た」
    美術室の扉を開けると、窓の外を見ていた先輩は振り向いて笑った。
    「絵が完成したって…」
    「うん、そう」
    何処か楽しそうに、白い布が被せられたイーゼルに目をやった。
    そこに立て掛けられたキャンバスに描かれた絵は一度も見たことは無い。
    「やっと、完成したんだ。思ったより時間かかっちゃったけど…まさか、卒業間近までかかるとはね」
    くすくす、と笑う。
    窓から射し込む柔らかな光に照らされて、元々色素が薄い先輩の髪は金にも見える。
    (綺麗…)
    内心ドキドキしながら言った。
    「それ、見せてくれるんですか?」
    「勿論。その為に呼んだんだから」
    先輩は一気に布を取り払う。
    「それ…」
    「君だよ。…ずっと、好きでした。最後にごめんね」
    「私、も…先輩が好きです、ずっと…!」
    思わず先輩に抱きつくと、ふわりと抱き締められる。甘い、声がした。

    「僕はもーっと好き。大好きだよ?」

    きゅん

    5

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  5. 「…あ、やっぱりいた」
    昼休みも半ばが過ぎた頃、いつの間にか姿が見えなくなった幼馴染みを探していた。
    「…すー…すー…」
    気持ち良さそうに、小さな寝息をたてて眠っているこの幼馴染みは相変わらず、大層整った顔をしている。
    だから、女子にはとても羨ましがられる“幼馴染み”というポジション。
    (でもなぁ…)
    別に、いいことだらけ、っていう訳でもないんだけど。

    「ん…」
    ぼんやりと寝顔を眺めていたら、漓玖が身動ぎした。瞼が震えて、綺麗な碧がかった瞳がのぞく。
    「漓玖、起きないと昼休み終わるよ?」
    「んー、うん」
    もそもそと体を起こすのを見て、背を向けると肩に腕が回り、重みが加わった。
    「え、ちょ!重っ!」
    「眠い…」
    「寝るなー!」


    すり、と彼女の頭に頬をすり寄せる。

    (ほんとは、もう眠くない。けど…そう言ったら、この距離も許してくれるから。

    君を、抱き締められるから)

    きゅん

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