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  1. 36件ヒットしました

  2. 「おつかれ」

    次々と部員たちが帰っていく。
    その中で私はシュートを打ち続ける。
    今日の練習でうまくいかなかったことを思い出しながら。

    「帰らないの?」

    ふと後ろから声をかけられ、振り向くと男バスのキャプテン木下先輩が立っていた。

    「みんなの足、引っ張ってるので」

    どれだけ練習したって私はいつも失敗ばかりで今日だって……。

    「なーんて、嘆いたって無駄ですよね! ごめんなさい弱音吐いちゃって」

    大丈夫、笑えてる。

    足音が近づいてきて、俯いてる私の目に見慣れない大きいバッシュが映る。

    「俺は、知ってるよ。茅野が嘆くだけじゃなくて休憩中も、練習後も一人で自主練習してるって」

    頭の上に温かい感覚がして、先輩の言葉が耳に届く。
    頬に涙が伝って、先輩は優しく頭をポンポンと叩く。

    「見てるよ、大丈夫。茅野ならやれる」

    そう言い残して山下先輩は体育館を出て行った。

    きゅん

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  3. 今日は学校に早く着きすぎた。
    もうすぐテストだし、自習できるからいいけど。
    誰もいないであろう教室のドアを開ける。

    「あれ、原野はやいね」

    そこにいたのは隣の席の間宮だ。

    「間宮こそ」
    「朝練が早く終わったからね」

    私は席につき、自習道具を机の上に広げていく。

    「勉強すんの?」
    「もうすぐテストだから」
    「教えてくれたりする?」
    「どれ?」

    私の言葉に間宮はにこりと微笑み、机をくっつける。

    「ここなんだけどさ」
    「ここは……」

    説明が終わり間宮をみると、腕を枕にしてこちらを見ている。


    「聞いてた?」
    「……」
    「人がせっかく……」
    「わかるよ答えはX2乗」
    「できるんじゃん」
    「だって口実だもん」
    「なんの?」
    「結衣と話すための」

    顔が熱くなっていく。
    だって、今まで苗字で呼んでたくせに。

    「ねえ、意味わかってる?」
    「な、なにが」
    「好きってこと」

    きゅん

    4

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  4. 友達以上恋人未満。
    いつからそんな関係になったんだろう。

    「悩み事?」

    悩みの原因である来翔が心配そうにこちらを見ている。

    「別に」
    「今日は七夕なんだし、願ってみれば?」
    「……」
    「なんだよ、なんか今日変だぞ。ほら、親友である俺が相談に乗ってやるよ」

    私はヤケクソになって口を開く。

    「好きな人の好きな人になりたい」
    「好きな奴いるんだ」
    「うん。ずっと好きで、でも今の関係が崩れるなら今のままでいいと思ってるのに……」
    「ごめん、やっぱ聞きたくない」
    「へ?」

    もしかして、私が好きなことバレた?

    「き、きもいよね。ごめん、こんな話」
    「そうじゃない。そうじゃなくて」

    来翔は顔が赤くなっていく。

    「親友とか言ったけど、それは単なる口実で。ずっと美唯のことが好きだった」

    今、なんて言った?

    「短冊にも美唯のこと書くくらい好きで。だから……俺じゃダメ?」

    きゅん

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  5. 「今日七夕じゃん、何かお願い事した?」

    日直日誌を書く私に、クラスメイトの綾人が話しかける。

    「特にしてないけど」
    「かわいくね〜」

    綾人は笑っている。
    私はドキッと胸が高鳴っているのを感じる。

    「かわいくなくて悪かったね」

    私は同じクラスになった時から綾人が好き。
    きっと、綾人は知らないだろうけど。

    「かわいいよ」
    「は?」

    最近、綾人は真剣んな顔で変な発言をする。
    冗談なのはわかっているのに。

    「俺のお願い事聞きたい?」
    「聞きたくない」
    「即答かよ」
    「興味ないもん」
    「柚月の好きな人が俺ですように」
    「……」

    反応が遅れた。
    どうせまた綾人の悪ふざけなのに。

    「いいかげん……」
    「本気だよ」
    「へ?」
    「ずっと好きだった。いつも柚月が冗談で終わらせるけど、俺本当に柚月が好き」

    言葉が出てこない。
    だってこんなの夢みたい。

    「今までの言葉、全部本気だよ」

    きゅん

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  6. 「織姫も彦星もかわいそうだよな」

    幼馴染の衣月が口を開く。

    「なんで?」
    「一年に一回しか好きな人と会えないなんて、俺なんか毎日会ってても耐えれないのに」

    少し前を歩く衣月は、なぜか少し照れている様に見える。
    衣月は恋をしているんだ。

    「好きな人なんて居たんだね」
    「桜花もよく知ってる奴だよ」

    思い当たる顔が浮かぶ。
    泣きそうだ。
    知りたくない、聞きたくない。
    好きな人の好きな人なんて。

    「あのさ……」
    「あ、私忘れ物したんだった。先帰ってて」
    「え、おい」

    衣月に肩を掴まれる。

    「なんだよいきなり」
    「知りたくない」
    「は?」
    「衣月の好きな人なんて聞きたくないの!」
    「……なんで?」
    「なんでって」

    衣月はまっすぐ私の目を見ている。

    「衣月のことが好きだから」
    「俺も」
    「え?」
    「俺も桜花が好きなんだけど、本当に聞いてくれないの?」

    きゅん

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  7. 今日は七夕祭りに男バスとマネージャーみんなで行く約束をした。
    でも、待ち合わせ時間が過ぎても誰一人姿を現さない。

    「杉本?」

    振り返ると、陽太先輩が立っていた。

    「よかった。ここにいたのか」
    「私、場所間違えてました?」
    「うん、北口集合だよ」
    「ごめんなさい、迷惑かけちゃって」

    息を切らした先輩はいいよと笑顔で答える。
    もしかしたら走って探してくれたのかもしれない。

    「浴衣着てきたんだね」
    「はい」

    先輩はベンチに座る。

    「みんなのところ行きますか?」
    「……」
    「先輩?」

    先輩は私の手を取り、引き寄せる。
    そのまま両手を握って口を開く。

    「一番に見つけてよかった」
    「え?」
    「今日の結海可愛すぎる。あいつらに見せたくない」

    いつも大人な先輩が別人のようだ。

    「もう少しだけ、二人で居よう」
    「でも、みんな待ってるんじゃ……」
    「メールで先に回るように伝えた。ダメ?」

    きゅん

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  8. 7月7日、七夕の日。
    私の高校は短冊に願い事を書いて、下駄箱の笹に吊るすのが恒例行事だ。

    『脱! 幼馴染!』

    自分の文字を見て恥ずかしくなる。でも、神頼みでもなんでもやれることはやるって決めたんだ。階段をかけ降りる。

    「遅いよ」
    「え、なんで」

    下駄箱にいたのは、幼馴染みの風輝だ。

    「先に帰ってって言ったのに」
    「……短冊になんて書いたの?」
    「え?」

    とっさに後ろに隠す。
    これを見られたら超絶恥ずい。
    好きだってバレる。

    「風輝には関係ないから!」
    「関係ある」

    風輝は私の腕を引き寄せ、抱きしめる。
    何がなんなのか分からず私はただ固まっている。

    「ふ、風輝?」
    「好き」
    「へ?」
    「だから、関係ないなんて言わないで。僕をただの幼馴染みだなんて思わないでよ」
    「風輝離して」

    私は短冊を渡して、口を開く。

    「私もずっと風輝のこと幼馴染だなんて思ってなかったよ」

    きゅん

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  9. 「彩海、次移動!」
    「待って〜」

    この学校無駄に広いから移動教室面倒だなあ。

    「あ!筆箱忘れた!」
    「彩海〜」
    「ごめん佳奈!先行ってて!」
    「おっけ」

    なんで筆箱忘れちゃうかなあ。
    急いで階段駆け下りて…

    ーツルッー

    あ、やばい、落ちる…

    「あっぶね」

    痛くない…?
    あれ?なんか抱きしめられてる?

    「大丈夫?」
    「だ、大丈夫です…」

    やばい顔真っ赤だ…こんな時に…。
    顔あげれないよ。

    「どっか痛む?」
    「あ、いや全然…」

    って、この人、モデルの維音くんだ!
    え、なんで?!うちの制服着てる…

    「よかった。」

    てか、ちょっと距離、近すぎ…

    ーガクッー

    あ、やば、また落ちる!!

    「2回目…(笑)」

    ま、また助けてもらってしまった…。
    しかも今、ハグされてる?!

    「なんかこのまま離したらまた怪我しそうで怖いんだけど…離しても大丈夫?」

    きゅん

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  10. 「先生〜」

    あれ?いない。
    まさか体育で突き指するとは…。

    「こういうときは湿布だよね」

    保健室なんてほぼ来たことないからなぁ…
    探すか。

    ーシャー

    「え?あ、ごめんなさい。うるさかったですよね」

    ベッドで休んでる人居たのか…気づかなかった。

    「どの指?」
    「え、いや自分で、できます!」
    「じゃあ、はい」

    湿布を受け取る。

    「ありがとうございま…」

    え?!サッカー部の有馬先輩だ。
    どうしよう、急に緊張してきた…。

    「やっぱり俺がやるよ、利き手でしょ?」
    「いや、でも…」
    「貸して」
    「ありがとうございます」

    さっきハンドクリーム塗っといてよかった。

    「はい、終わり」
    「本当にありがとうございます!」

    あれ?終わったはずなのに、なんか手握られてる?

    「なんかいい匂いする。もうちょっと握っててもいい?」

    きゅん

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  11. 私は今日、後輩の春介に告白する。
    もうすぐ卒業する私にとって春介はきっと、
    私の学生生活最後の青春だ。

    「先輩?」

    ついに来た…。
    覚悟はしていたはずなのに、いざ本人を目の前にするとやばい…。

    「なにしてるんですか?こんな時間まで、3年ってもうとっくに帰ってますよね?」
    「もうすぐ卒業だからさ、少し校内探検…的な…」

    言い訳が苦しい…。

    「あー、そっか卒業か」
    「うん」

    よし、言おう。

    「あ、あのね、私…」
    「それでさ、佐藤先生が〜」

    危な…聞かれるところだった…。

    「先輩?何か言いかけました?」
    「ん?あ、いや、なんでも…ない。」

    もう完全にタイミング逃したよ…。

    「先輩、一回しか言わないんでよく聞いてください。」

    そう言いながら私の髪の毛を耳にかけて、少し小声で話す。

    「俺、先輩のこと好きなんですけど。後輩って、やっぱりないですか?」

    きゅん

    16

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  12. 「帰るぞ」

    そう言って私の教室のドアに立っているのは幼馴染の京介だ。

    「今準備してるから待って」
    「美羽はいつも遅いなあ」

    とか言いつつ京介はいつも待ってくれる、そんな京介が好き。

    「…つか美羽好きな人いんの?」
    「え?!」

    なんでそんなこと聞いてくるの?普段恋話なんて一切しないのに、まさか私が好きなことがバレた…とか?
    だとしたら、京介はなんて言うのかな

    「いるって言ったら…?」
    「まじ?ならいっか」
    「なにが?」
    「俺、今好きな人いるんだけどその子が俺と美羽の関係気にしてたからさ、美羽に好きな人がいるなら、あっちも安心かなって」
    「あー…なるほど…」

    もしかしたらって思ってる自分がいたことに恥ずかし過ぎて、泣きそうになった。

    「まあ、俺たちただの幼馴染だし、心配されるようなことねえよな〜」

    こんな想いをするくらいなら幼馴染なんかになりたくなかったよ。

    きゅん

    8

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  13. 私は今日、幼馴染の空我になぜか屋上に呼び出された。
    親友の由美に相談すると告白なんじゃと騒いでいた。私はずっと空我に想いを寄せている。一度も伝えたことはないけど。

    深呼吸をしてドアを開ける。
    「よお」
    「屋上って入れるんだね」
    「本当は立ち入り禁止なんだけどね」
    「ふーん」
    お互い黙る。こんな私たち、初めてだ。
    もしかしたら、由美の言う通りなのかもしれない…。
    鼓動がどんどん高鳴っていく。
    「あのさ俺、由美のことが好きなんだよね」
    「え?」
    「理子さ由美と仲良いじゃん!だから手伝ってくれないかな〜って」
    「…いいよ、でも私が手伝ってあげるんだからちゃんと仕留めてよ?」
    「任せろ!よし帰るか」
    「私もう少し屋上に居たいから」
    「あーわかった!」
    そう言って空我はあっさり帰っていった。

    バカみたい一人で舞い上がって、告白かもなんて思って、ドキドキして…ちゃんと笑えてたのかな…?

    きゅん

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  14. 私の隣を歩いている楓は、幼馴染であり恋人。
    今までずっと一緒にいたから恋人になったからと言って、とくに何か変わったわけでもない。
    でも私は決めている。今日こそは手を繋ぐって。
    そしたら少しは恋人らしくなれるよね…?

    楓は今日の部活について話している。
    いわゆるクール系の楓だけど、流石に手を繋がれたら照れたりするんじゃ…?
    「何笑ってんの?」
    「んっ?あ、いや、なんでも?」
    やばい、顔に出てた?
    「変なやつ」
    よし。私は思い切って楓の手を握る。
    「…」
    無言…?下に向けていた目線を楓に向けると、びっくりしている表情からニコッと笑う。
    「離して」
    嫌な風に心臓が鳴る。嫌だったのかな…?
    私は、静かに手を離す。そのまま下ろそうとすると、手首を掴まれる。
    「え?」
    「俺は、こっちがいい」
    そう言いながら指を絡める。恋人繋ぎだ。
    顔が熱くなっていくのがわかる。
    「花香?」
    「…まいりました」

    きゅん

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  15. 渡せなかったチョコを私は握りしめる。
    視界がぼやけてきて、歩くのをやめてしまった。
    後ろから足音がする。
    泣いていることだけはバレないようにしないと…。

    「千代…?」

    この声、雪音だ。

    「なにしてんだよこんなところで」
    「…いや、別に」
    「別にってお前、泣いてんの?」

    バレた…一番バレちゃいけない人に。

    「どうした?」
    「…ムカつく。」
    「え?」
    「幼馴染だから、年下だからなに?そんなに悪い?だいたい一個違うだけだし、雪音なんてガキじゃん」
    「…さっきの、聞いてたの?」
    「そんなことどうでもいいじゃん。こっちは必死こいて作ったんだボケ」

    私はチョコを投げつける。
    雪音は拾って微笑んだ。

    「なに笑ってんの?」
    「いや、さっきの教室のやつは俺に言い聞かせてたんだ。きっと、千代は俺のこと眼中にないだろうから」
    「え?」
    「ずっと好きだったってこと、わかった?」

    きゅん

    11

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  16. 年上の幼馴染、雪音のいる教室の前に立つ。
    昨日は今日のために夜遅くまで頑張った。
    ドアを開けようと手を伸ばした時。

    「雪音、俺にもチョコくれよ」
    「なーんで俺がお前にあげないといけないんだよ」
    「だってお前には千代ちゃんいるだろ!」

    突然私の名前を呼ばれてビクッとする。
    心臓が高鳴っていく。

    「千代は別にそうゆうんじゃねぇよ」
    「怒るなよ」

    声でわかる。不機嫌だ。
    何で、そんな、少し冷やかされたくらいで怒ってるの?

    「別に怒ってねぇよ?ただ、ありえねーんだよ。幼馴染だし、年下だし?」

    あぁ、なんで。
    私は廊下を歩き出す。
    なんで、私は雪音の幼馴染なんだろう。
    なんで、あと一年早く生まれてこれなかったんだろう。

    こんな想いをするくらいなら、
    バレンタインなんて作るんじゃなかった。

    雪音なんて、好きになるんじゃなかった。

    きゅん

    6

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  17. 雨だ。
    図書委員の仕事があった私は1人、下駄箱で立ち尽くしていた。
    カバンをあさるが、もちろん傘はない。
    そしてガサッと音を立ててチョコが出てきた。
    勇気がなくて渡せなかったチョコ。

    「あ、雨だ」

    後ろから声が聞こえてビクッとする。

    「あれ、榎本じゃん何してんの」

    菊池君だ。
    渡せなかったチョコの相手。

    「図書委員で仕事があったの」
    「あ、そうだったんだおつかれ」

    今、なのかな。
    今なら渡せる…?

    「榎本は、誰かにあげたの?チョコ」
    「え…?」

    菊池君は下駄箱から靴を出しながら尋ねてきた。

    「いや…」
    「ふーん」

    また、渡せなかった。

    「傘、持ってないんでしょ?」
    「…うん」
    「入ってく?」
    「え」
    「チョコあげてないってことは相手いないんでしょ?」
    「…でも誤解されちゃうかも」
    「榎本となら俺はむしろ嬉しいよ」

    菊池君の赤く染まる頬は、気のせい?

    きゅん

    7

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  18. -コンコン-

    「失礼します、高橋先生ー?」

    今日は、バレンタイン。
    いつもはアピールなんてできないけど今日くらいならできる。

    「どうした?新島」

    先生が入り口にいる私のところまで向かってくる。

    「これ、渡したくて」

    私は自分の顔の前にチョコを差し出す。

    「え」

    先生はキョロキョロと職員室を見渡す。
    そして、ちょっと近づいて私に職員室が見えないようにする。

    「先生?」
    「…本当はチョコ貰っちゃいけないんだけど、」
    「え、そうだったんですか?じゃあ自分で食べるんで」
    「いや!あの…ください」

    先生の顔は赤くなっている。

    「ふっ、先生欲しいんですか?」
    「…うん」

    反則ですよ、可愛いすぎ…。

    「しょうがないなーそんなに私のチョコが…」
    「しー!!」

    先生は慌てて私の口を抑える。

    「バレたらやばいから!」
    「あ、クビになる?」
    「それもそうだけど…新島に会えなくなる」

    きゅん

    13

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  19. 「あー、チョコ結構余っちゃった」
    「美香ふつうに作りすぎだよ!」
    「まぁいいや吉田ー食べる?」
    「あ、食う!」

    放課後、なんとなく残ったメンバーでバレンタインの余りを食べることになった。

    「どれ食べていいの?」
    「適当でいいよー、どうせ泰斗はもらいすぎていらないとか言いそうだし」
    「泰斗くんモテるもんね〜」
    「じゃあこれもらおっと」

    吉田がチョコを取った時、横から手が伸びる。

    「全部俺が食べる」
    「え、ちょ、泰斗?」
    「あ!俺のチョコ!」
    「吉田のじゃない!俺のだ!他の男にチョコあげて、なのに俺には渡さないとか俺が何にも思わないと思った?」
    「だって泰斗、毎年余るほどチョコ貰うじゃん」
    「俺にとって美香のチョコは特別なんだよ美香のチョコなら余るほど貰いたい」

    いつもはなんかスカしててクールぶってる泰斗がムキになってる。
    子供っぽくて、つい笑ってしまった。

    きゅん

    18

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  20. 「あ。先輩」

    やっとみつけた。

    「結衣じゃん、どうした?」

    憧れの先輩、啓太先輩が向かってくる。

    「なにしてんだよー」
    「いや、あの…」
    「啓太ー、誰その子彼女?」
    「ちげえよ!結衣、あっち行こ」

    即答しなくたっていいじゃんか…。
    誰もいない空き教室に入る。

    「んで、どうした?」
    「…チョコですよ。渡したかったんです、先輩に」
    「え、俺?」

    眼中にもないって言われてるように感じる。
    わかってる。先輩にそんな気がないことくらい。

    「頑張って作ったんですよ?受け取ってくれますよね?」
    「…」

    返事がない…?
    私は、先輩の顔を覗く。

    先輩の顔が赤い。
    照れてる…?

    「先輩…?」
    「いやあの、まさか結衣からもらえるなんて思ってなかったんだ、ごめんなんか顔熱い。」

    先輩は自分の顔を手で覆い隠して、こちらの様子を伺っている。
    不覚にも可愛いと思った。

    きゅん

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  21. 私には好きな人がいる。
    今日はバレンタイン、勢いで告白することを決めていた私は、呼び出した教室の前で深呼吸をする。

    修斗にチョコを渡しに行った女子たち曰く、好きな人以外のチョコは受け取らないらしい。

    当たって砕けろだ!

    -ガラガラ-

    「よお」

    私の鼓動が速くなっていくのがわかる。

    「待たせちゃってごめん」
    「いや、大丈夫」

    なんか、気まずい。

    「あの、チョコを渡したくて」
    「うん。」

    私は耳を疑う。

    「え?受け取ってくれるの?」
    「え、うん、なんで?」
    「いやだって、好きな人からしかもらわないって聞いたから」
    「誰から聞いたの?」
    「女子が噂してて…」
    「あー、そうだったんだ。うん、好きな人からしか受け取らないよ」
    「それって…」
    「そうゆうこと」

    私は恐る恐る修斗の顔を覗く。
    夕陽のせいか頬を赤らめた修斗は照れているように見える。

    「意味、わかるよね?」

    きゅん

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