ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

  1. 31件ヒットしました

  2. それじゃあ一応、考えといて。
    そう言われて背中を向けた彼の耳は真っ赤だった。対する私はーー
    「愛の告白か」
    「せ、先輩!…見てたんですか」
    「や、なんとなく。けど、そのわりには嬉しそうじゃないなー」
    お前、と人差し指が鼻先に触れる。
    近すぎる距離にぶわっと顔が熱くなって慌てて背を逸らした。
    「そ、そんなこと」
    「…ないのかよ」

    え、何で?
    先輩の眉間に深いシワが寄っている。

    「…何で怒ってるんですか」
    「告白されて嬉しいのか嬉しくないのか、どっちだ」
    「そりゃ、好きだと言われて嬉しくない人がいないわけ…」
    「ダメだ」
    ぐいと頭を鷲掴まれて視線を合わされる。
    まるで、よそ見をするなと言われているような。
    「嬉しくなるな。喜ぶな」
    「っ何なんですかさっきから!」
    かぶりを振って手から逃れると、先輩は面白くないと言いたげに私を見下ろした。
    「俺以外のやつの告白で喜んでんじゃねぇって話だよ」

    きゅん

    19

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  3. 「今年に入って連続追試おめでとう」
    人生最大の皮肉から始まった先生と二人きりの放課後で、私はひくりと口を引きつらせた。
    前の席に座って、なかなか進まない私のシャーペンをにらみつけたまま微動だにしない先生に私は汗が止まらない。好きな人がこんな近くにいるから。

    「他の先生方にそれとなく聞いてみたら、俺の授業以外は平均点以上取るらしいじゃないか」
    ドキッと心臓が大きく跳ねる。
    「しかも積極的に手伝ってくれる良い生徒だって好評だった」
    「そ、そうなんですか?嬉しいなそんなこと言ってもらえてたなんてあはは」
    「お前――まさか確信犯か?」

    先生のテストは、比較的やさしい方だ。
    苦手な人でも点数が取りやすいように部分点をたくさん入れてくれる。自然と先生と二人きりになれる空間は、追試以外思いつかなかった。
    「…お前、嘘付けないだろ」
    顔真っ赤だぞ、と頬を手の甲で撫でられて、期待せずにはいられなかった。

    きゅん

    5

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  4. 購買に行く途中、渡り廊下で見慣れた後頭部が見えた。声をかけようと開いた口は、「好きです!」という聞き慣れない女子の声によって言葉を発することはなかったが、戸惑っているうちにいつの間にか2人の視線がこちらに向いていることに気づいた。
    目を丸くしている幼なじみと目を合わせた途端ーーなぜか涙が溢れ出た。

    「…なぁ、何で泣いたんだよ」
    とっさに逃げ込んだ音楽室は、追いかけてきた彼にあっさり見つけられて、現在尋問中だ。
    「泣いてない」
    「何で目逸らしてんだよ」
    「逸らしてない」
    「今お前と目が合ってるのは誰だ」
    「モーツァルトさん」
    ぐいと頬を掴まれて視線を合わせられる。
    急に近い距離にボッと赤面した私に、彼は我慢するように顔をしかめた。
    「何で泣いたか教えてやる」
    「え…?」
    「俺のことが好きだからだろ」
    「ちっ…違う!何でそんなのあんたが分かるの!」
    「俺もおまえが好きだからだよ」

    きゅん

    7

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  5. 《――あー…1年4組の○○さーん。至急家庭科室に来てください。先生待ってまーす。来なかったら退学にしまーす》

    「…は?」
    食べ損ねた卵焼きが米の上に落ちる。
    周りの視線に圧されて、私はそっと腰を上げた。

    「おー、来たな」
    机に軽く腰掛けてヒラヒラと手を振るうさんくさい顔に、おもいっきりガンを飛ばしてやった。
    「退学になるかもしれない用事ってなんですか」
    「ジャケットにコーヒーこぼしちゃったから持って帰っといてくれる?」
    「そんなことでわざわざ校内放送で呼び出さないで!」
    「人目につかないようにしなきゃいけないんだから仕方ないだろ」
    「だったら普通にッ…もういいです」
    持って帰ればいいんですね、と袋を受け取ると、先生は腕を伸ばして私の頭をぽんと撫でた。
    「いい子」
    大きな手の感触に赤面して、
    「いい子じゃないですッ!」
    教室を飛び出した私の後ろ姿に、先生はくくっと肩を揺らして笑っていた。

    きゅん

    4

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  6. 逃げた。
    校内で可愛いと噂される女子が友人を引き連れて突然公開告白を始めたのだ。相手は私の幼なじみで、好きな人。私は半分残ったメロンパンを袋に突っ込んで教室を飛び出た。
    「…ふんだ。鼻伸ばしちゃってさ」
    「誰が鼻伸ばしてんだよ」
    「ぶッ!?」
    耳元で聞こえた声に思わず仰け反る。彼の手が咄嗟に私の腕を引いてくれて地面に倒れることはなかった。
    「な、何でここにいるの?」
    「誰かさんが拗ねて逃げやがったから追いかけてきたんだろ」
    「別に拗ねてない!」
    「誰もお前のこと言ってねーし」
    なんで…?何で私のこと追いかけてきたの?告白はどうなったの?あの子と、付き合うの?
    「…なぁ」
    「え…?んっ」
    視界に彼の長いまつ毛が間近に映る。唇にかぶさる柔らかい感触に思考が停止した。
    「…こういうことだから、お前が拗ねる必要なし。分かったな」
    「…わ、」
    「あ?」
    「私拗ねてないってば!」
    「そこかよ」

    きゅん

    2

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  7. 「その本好きなの?」
    へ、と呆けたような声が出た。まさか話しかけてもらえると思ってなかったから。
    いつも静かに教室にいるのに彼の印象は濃い。なぜなら顔面偏差値が高く女子たちの恋バナには欠かせない存在だからだ。
    そんな噂の当人が、私に、話しかけている。
    「…あっ、うん、好きだよ!すごく好き!」
    「!…へぇ」
    そう言って彼はふいと顔を逸らしてしまった。何か返答を間違えてしまったのだろうかと心配になったが、しばらく考えるようなしぐさをした後に再び視線が合う。次の瞬間、私は浮かれて思考がおかしくなったと思った。
    「俺も好き」
    「!」
    本のことを好きだと言ったんだよね!わかってる!けど、あまりにも愛しげな声に勘違いしそうになった。
    「どんなところが好きなの?」
    「すぐ赤くなるところとか可愛いなって思う」
    「!?…ほ、本の話だよね!?」

    きゅん

    3

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  8. 普段クールで滅多に感情を表に出さず隙のない彼の寝顔を見た瞬間、私は心から先生に感謝をした。
    先程まで追試で「先生なんか一生独身」などとブツブツ言っていたが、そんなもやもやが一瞬にして吹き飛んだ。腕を枕にして横を向いて眠っているので顔はしっかり見えている。高鳴る胸を抑えつつ、こっそりと近づいて覗き込んだ。
    「綺麗な寝顔…。イケメンは寝てもイケメンなんだな」
    ん、と眉間にシワを寄せた彼に慌てて口を抑える。調子に乗った私は、そっと彼の頬に指を近づけた。ぷに、とニキビひとつ無い肌に触れて、悪いことしてるみたいと思いつつも触り心地が良くてやめられない。

    「つぎ触ったら指たべるよ」
    「…え?」
    ぱちりと開いた両目に、私は慌てて身を引いた。
    「お、起こしてごめんなさい」
    「起きてたんだよ」
    「え!?」
    どうして寝たフリなんかと困惑していると、
    「もう少しで指たべれたのにな」
    彼の口元が意地悪く笑った。

    きゅん

    9

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  9. 「しつれいしまーす、先生――んぐ!?」

    保健室の扉を開けると同時に勢いよく手首を捕まれた。驚きのあまり声も出ずにほんのりタバコの匂いが染みついている白衣で視界が覆われてキュンと鳴ったときめきは、次の瞬間パッと散った。
    先生の大きな手が私の首裏を支えるように包んで、油断してあいていた私の口に先生は唇をかぶせてきた。突然のキス――というよりは人工呼吸のような触れあいに、息が苦しくなってバンバンと腕を叩いて抵抗する。
    ぷは、と離れた唇から糸が伝って、荒い呼吸のまま先生を見上げた。

    「悪い。さっき他の教諭に変なの食べさせられてな」
    「へ、へんなのって…」
    「マムシドリンク入りクッキー、だと」
    あからさまな食べ物でカッと顔が熱くなるが、同時に先生に好意を寄せる先生がいる事にショックを受けた。すると先生は長い指で私の濡れた下唇を撫でて、
    「口直しさせてもらった」
    意地悪な笑みを浮かべて言った。

    きゅん

    6

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  10. 「まだ終わんねーのかよ」
    「もう少し」
    誰もいない教室の窓際で日誌を書く私と、肘をついて唸る彼。先に帰っていいよと言うのにそれはイヤだと聞いてくれない。だったら急かさないで欲しいと思うけど、一緒に帰りたいと思ってくれているのは嬉しい。
    ふと、空間が静かになった。どうしたんだろうと顔を上げると、いつの間にか近くにきていた彼の鼻先に自分のが擦れてビクリと固まる。動き出した彼にから反射的に背中を反らせて離れる。
    「…なぁ、俺たち付き合ってるんだよな?」
    「そうだけどココできっ、キスするのは違うでしょ!」
    わかりやすく動揺する私に、彼はくっと肩を揺らして笑った。
    「違うの?」
    「こ、ここは勉強する場所なんだからそういうのは良くないと思う」
    「じゃあどこならいいの」
    え、と口ごもる私に彼はずいと顔を寄せて言う。どこ、って、そんなの…
    「…だ、誰もいないとこ…」
    「…わかった」
    帰ったら覚悟しろよ。

    きゅん

    13

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  11. 「あれ、先輩?」
    なぜか1年の階にいる先輩に首をかしげたが、お昼時にカバンを手に持っている不自然な姿から理由が分かって顔をしかめる。
    「そんな目で見るなよ。アラームは設定してたんだぜ」
    「起きないと意味無いでしょ。…卒業できないオチとかやめてくださいね」
    「それ笑えねーからやめろ」
    ふと、先輩の目元にクマができているのが見えた。よく見ると顔色も薄らと青白い気がする。分かりにくく明らかに疲労している顔を見つめていると先輩はへらっと口角を上げた。
    「…目、閉じてください」
    「え!?な、なんで、もしかしてチュー」
    「いいから早く」
    動揺する先輩は有無を言わさぬ雰囲気を感じとったのか素直に閉じた。そっと両手の平を先輩の目もとを覆うように優しく乗せる。じわりと伝わる体温で少しでも癒されて欲しい。はー、と細いため息が口元から零れたのが見えた。
    「可愛いことすんな」
    手のひらが一段と暑くなった気がした。

    きゅん

    5

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  12. 「何でオッケーしたんだよ」

    前置きも何もなく言われた言葉に私はぱちくりと目を丸くした。

    「それって先生の手伝いのこと?先生に頼まれたら受けるしかないよ。帰宅部だし、特に用事もないし」

    先程、先生から授業に関する書類をまとめるから手伝って欲しいと頼まれた私は二つ返事で頷いた。そう淡々と返すと、彼はくしゃりと顔をしかめて苦そうな顔をした。

    「……内申点上がるかもしれないし、良いでしょ?」
    「よくない。全然よくない」
    「何で私が良いって言ってるのによくないの」
    「……お前が先生のこと好きになるかもしれないだろ」
    「……は?」

    首を傾げる私に、彼の顔は湯気が出そうなほど真っ赤に染まった。
    もしかして、と小さな希望が胸に浮かぶ。

    「ならないよ。だって、」

    好きな人はアナタだから。

    きゅん

    9

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  13. そろそろ帰ろう、と本棚の整理を済ませる。
    窓際で本を読んでいるであろう幼なじみに声をかけようと考えていると、彼の方から私の元へ近づいてきた。
    「図書室閉めるからそろそろ・・・」
    「ん」
    ズイと鼻先に差し出された小さな箱に、何これ?と聞く。
    何も答えない彼の手からおずおずと受け取り、開けてもいいか許可を得る。彼は黙ったまま、私のひとつひとつの行動を観察するかのように見ていた。

    カポ、と箱を開けると、小ぶりなハートのネックレスが現れた。

    もしかして、バレンタインのお返し?
    私があげたのはコンビニで買った安いお菓子だ。こんな、しっかりした物を返されるなんて。
    混乱する私の手元から取り出すと、「付けてやる」と両手を回された。
    ほんのり感じる柔軟剤の香りと首筋に触れる手のぬくもりに、顔が熱くなる。

    「ただの幼なじみにこんなことしないからな」
    まっすぐな熱い視線に、私は頷くことしかできなかった。

    きゅん

    7

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  14. 「…せ、先生。道をあけてくださいませんか?」
    「話を聞く気があるならいいですよ」

    今朝から何やらよく視界に入るなとは思っていたが、気のせいじゃなかったらしい。
    バレンタインにラブレター添えのチョコをほぼ投げつけて渡した時から今日まで先生との接触を避けていた。
    もちろん、告白の返事が聞きたくないからである。
    心の準備ができてない。緊張で高鳴る心拍数に目を泳がせていると、先生は私に紙袋を渡してきた。中には白やピンク色の小花のブーケが。
    「…かわいい」
    「花屋なんて初めて行きました」
    「え?」
    少し伏せた目の下は、照れくさそうに染まっている。初めて見た余裕のない顔に、胸がキュンと鳴った。
    「それが返事です」
    「え!?どういうことですか」
    「…僕のことを避けた罰です。じゃ、また明日」
    小さくなっていく背中を呆然と見つめる。私の頬にも先生の熱が移っていた。

    デージー : あなたと同じ気持ちです

    きゅん

    7

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  15. 部活一筋だった高校生活も、もうすぐ終わる。

    「しんみりしてますね先輩」

    門のところで手を振る後輩に、私は呆れたようにため息をついた。

    「何やってんの」
    「そっちこそ大学も決まって部活も引退したくせに何やってたんだよ?」

    まぁなんとなく分かってるけど、と意味深に笑う彼を睨みつけるが、私より強い視線で見返してきた。

    「そんなに顧問のこと忘れらんねーの?」
    「…は?」
    「アイツ既婚者じゃん。いいかげん諦め…」
    「違うって!私は純粋に部活が名残惜しいの!」

    キョトンと目を丸くする彼は本気で勘違いしていたらしく、私はこのバカ、と小突いてやった。
    言葉の認識をした彼は、ふと表情を和らげて、私の短く揃えられた毛先に触れる。

    「…髪、伸ばしても似合うと思う」
    「…そう言うなら、伸ばしてみよっかな」
    照れくさそうに言った彼に上目遣いでそう返す。
    初めて見た後輩の赤面に、私は密かにほくそ笑んだ。

    きゅん

    3

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  16. 「はー…あったかい」
    春の季節を匂わせる陽射しを浴びて、彼はゴロンと寝っ転がった。
    汚れちゃうよと注意するが、いいよ別にぃと答える声は既に眠気をおびていて弱々しい。たしかに気持ちよさそうだなぁ、と私も横に並んで寝っ転がると、すぐにお前はダメ!汚れるだろ!と起こされてしまった。
    俺は良いけどお前はダメって、お前はどこのジャイアンだ。自分だけポカポカな陽気を浴びて目を閉じている彼が面白くなくて、くらえ、と指で頬をぷにと押してやる。
    顔をしかめた彼に、しめしめと再びぷにぷにぷにぷに押してやると、眉間にシワを寄せたまま半目でこちらを見上げられた。

    「それ以上やったらちゅーする」

    不意打ちの恋人らしい言葉に思わず動きを止めて動揺していると、彼は口をとがらせた。

    「…何でやめんの」

    へ?と口から零れた声は力ない。
    ぐいと手首を引かれると同時に彼は身を起こして、お互いの吐息が重なった。

    きゅん

    4

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  17. やっぱり噂は当てにならない。

    「…なあ、おすすめのヤツとか教えてほしい」
    「…わかりました」
    最近よく休み時間や放課後になるとやってくる彼は、必ず受付の席から対角線上になっている窓際の席に座って本を読む。以前一度だけチラリと覗くとそれが参考書だったので、人は見た目によらないなと思った。
    「ねえ、あの噂の美形ヤンキーが入り浸ってるってホント?」
    と委員仲間に聞かれて、どうやら毎日来ているわけでなないらしい。多分ーー私が担当の時だけ。

    「好きなジャンルとかありますか?」
    「いや……あんたの好きなやつがいい」
    私の?と目を丸くして顔を上げるとお互いの鼻先が触れそうになって、ごめんなさいと謝る前に彼の顔がボッと真っ赤に染まった。えっ、何その反応…!?慌てて手で口元を隠す様子を他人事のように見ていた私は、今まで読んだ恋愛小説の内容を思い出していた。

    きゅん

    7

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  18. ここまで人に気遣えない人間を、私は他に見たことがない。

    「チョコ?まさかそれ手作り?ならいらない」

    こちらに背を向けた女子の顔は見えないが、きっとポカンとしているに違いない。綺麗な顔から出た言葉は、笑えないほど辛辣だ。

    「素手で触ってない?ホコリまみれの台所で作ってない?そんなのこっちは見てないから分かんないじゃん。衛生的に信用できないからムリ。悪いけど受け取れない」

    彼の視線がこちらを向いた。あ、と思った時には既に遅く、彼は何してんの?と私の元へと近寄ってくる。周りの目が痛い。
    「もっと優しく断れないの?」
    「は?…あぁ、さっきの?何で好きでもないやつに優しくしないといけないわけ?」
    彼女、トラウマにならないといいな。
    「そんなことよりチョコは?」
    「…私のは食べられるの?」
    「あたりまえだろ。今さら何言ってんの」

    このわかりやすい特別扱いに、私はつい嬉しいと思ってしまうのだ。

    きゅん

    13

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  19. 「校内へのお菓子類の持ち込みは禁止されている」
    堅物で有名な生徒会長は、かわいらしい紙袋を片手に言った。私が徹夜で作ったチョコをその一言で没収され、怒り心頭で堅物男の胸ぐらを掴んだ。
    「ちょっと返しなさいよ私が頑張って作ったチョコレートたちを!!」
    「お前はバカなのか。上手く隠して入ればいいものを、何で見えるようにして持ってくるんだ」
    えっ、と周囲を見ると、チャックの付いた手提げバッグを持っている人が複数いる中、開けっ放しの紙袋の人は誰もいない。頭上からハァとため息が落ちる。
    「こっちも目にしたからには見て見ぬふりはできないんだ」
    「…あんたのも入ってるんだけど」
    ピク、と会長のペンを持つ手がとまる。会長は顔を寄せ、私にだけ聞こえる声で囁いた。
    「放課後、生徒会室まで取りに来い」
    生徒会室ってあんたのテリトリーじゃん、と赤い顔で睨むと、俺のために頑張ってくれたみたいだからなと小さく笑った。

    きゅん

    8

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  20. 少し待ってろ、と駅前の人通りの多いベンチに座らされて待つこと数分。
    戻ってきた幼なじみの手には、真紅に染まった小ぶりなバラの花束が抱えられていた。周囲からチラチラと視線を感じる中、私は目を丸くしたまま乾いた口を開く。

    「…えっプロポーズ?」
    「ちげーよ!」

    それは気が早いだろ!とバラよりも赤面する彼の発言に二度目のあんぐり顔になる私は、どうしたのそれと改めて聞いた。

    「…やる」
    「え、何で」
    「外国のバレンタインは男から花送るって言うだろ!?だからやるって言ってんだろーが!」

    ほぼ逆ギレ状態で言い放った彼は花束を差し出した。こちらに視線は向けられていない。

    「お、おまえのことが好きだから、やる」

    合わない視線と差し出される花束。
    私はにんまりと笑みを浮かべ、花束ごと勢いよく彼に抱きついた。

    「私も大好き。ありがとう」

    きゅん

    10

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  21. 「今日はなんの日でしょうかっ」
    「試験発表の日だろ」
    違うでしょ!と私は隠していた紙袋を差し出す。顔をしかめている先生に首を傾げると、「悪いけど甘いもの苦手なんだ」と視線を逸らされた。
    「そ、そうだったんですか!?」
    好きな人の苦手なものすら知らなかった自分の不甲斐なさに落ち込んでいると、紙袋がするりと手元から離れていく。先生は中身を取り出してリボンを解いた。ホワイトチョコにコーティングされた1粒をつまんで私の唇にぷにっと触れさせる。
    「食べて」
    「えっ、私が…?」
    戸惑う私にほら、と食べるように促されたのでしぶしぶ口に含む。口の中でとろりとほどけて思わず口元を緩ませると、先生は小さく笑って私の唇を食んだ。
    深く口付けられた後ぺろりと舐められて、腰が抜けた私は背後にあったベッドに倒れ込む。
    「これなら全部食べられそうだけど」
    残りは8粒。私は両手で顔を隠し「勘弁してください」と返した。

    きゅん

    5

    Meicoさんをフォロー

    通報する

▲