ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

野いちご学園メニュー

ようこそゲストさん

  1. 39件ヒットしました

  2. 「せーんせ」
    ギシッと肩を強張らせて振り向くと、男子生徒が笑みを浮かべて立っていた。
    何となく嫌な含みを感じ、持っていた名簿帳で口元を隠す。
    「何か用事ですか」
    「警戒してるの?かーわい。猫みたい」
    彼は以前から私をからかって遊んでくる。おかげで一部の女生徒から嫌がらせを受けていることは知らないのだろう。10代の嫌がらせなんぞ私の逆鱗に触れることはないが面倒臭い。彼の顔面の良さを全面的に出してかわいこぶる所も面白くない。
    「先生がオレと付き合ってくれんならもうからかうのやめるけど」
    もう我慢ならない。人目がないのを良いことに、私は彼のネクタイをぐいと引いて顔を寄せた。不意打ちの近さに目を丸くする彼をキッと睨む。
    「ガキに興味ないの。もっと周りが見えるような大人になって出直すことね」
    吐き捨てた言葉と同時に踵を返す。
    「…ぜってー落とす」
    背中を向けた私の耳に、彼の呟きは届かなかった。

    きゅん

    2

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  3. 「何で電話出ねーの?」
    ひゅっと身を縮める。風が冷たかったせいだ。決して彼の責めるような言葉が原因ではない。
    「そ、それは、忙しいと思って」
    「時間があるからかけてるんだけど」
    下手な言い訳は火に油だ。だけど本音を言えば嫌われてしまう。
    「…急に避けられると傷つくんだけど。オレのこと嫌いになった?」」
    「ご、ごめ…ちがうの、ごめん」
    目を伏せて悲しい顔をする恋人に、きゅうと胸が締め付けられる。
    「声聞いたら、絶対会いたいって言ってしまう気がしたの。負担になるようなこと言っちゃうような気がして、それで…」
    いつの間にか彼の顔が鼻先まで来ていて息をのむ。ふて腐れていた彼の顔に、意地悪な笑みが浮かんだ。
    「やっと言った。遅いよ」
    「え…?」
    「会いたいと思ってるのはそっちだけじゃないってこと」
    ちゅ、と頬にキスを落とされて、目を丸くした私に彼は目を細めて笑った。
    「電話出て。会いに行くから」

    きゅん

    6

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  4. 電話の通知を切った。
    LIMEの通知を切った。
    メッセージの通知を切った。

    そしたら本人がやって来た。
    「な、何してるんですか!?」
    駅前の広場に、彼はいた。サングラスはしているが、隠しきれない色気に周囲の女性陣が様子を窺っている。
    「会いに来た。連絡くれないから」
    「だからってこんな所に…自覚あるんですか、あなた芸能人ですよ!こんな人目が多い所…」
    とにかく離れようと彼の手首を掴んで足早に広場を出た。
    「謝らせてもくれない?」
    気にしないようにしていた事を、ド直球に抉られた。数日前に出たスクープ。彼と人気モデルの熱愛報道。
    「…いいんです。だって芸能界って綺麗な人と可愛い人がたくさんいるし、私みたいな芋女が彼女なんて何かの間違いだったんです…ぐえっ」
    がばりと後ろから抱きしめられて言葉が止まる。
    「…俺が好きなのは君だけだよ。それに芋も好きだ」
    「芋は…関係ないです…」

    きゅん

    6

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  5. 「おーい。もう15分経つけど」
    「ま、まだダメです」
    本で顔を隠す私を、頬杖ついて面白くなさそうに見る彼。直視できるはずない。だってファンだもの。
    「あの、どうしてここに?忙しいんじゃないの…ですか」
    「まぁな、この後仕事あるけど。つか敬語やめろ。前みたいに普通に話して」
    やめろと言われても…とおずおず本をズラして目の前の人物を覗く。ぱちりと視線が合ってしまってビクリと肩が跳ねた。
    「なあ。何で逃げんの?ファンなんだろ、俺の」
    「だ、だからこそですよっ」
    怪訝そうな顔をする彼に、震える口角をどうにか動かして言い放つ。
    「私だけひとりじめするなんて幸せすぎて、贅沢だから」
    「…ひとりじめか」
    何やら納得したように口元に指をあて、ひとつ頷く彼の仕草すら絵になる。
    見蕩れていると、彼はするりと手を伸ばして私の手を掴み指を絡ませた。
    「じゃあ、俺にもお前の時間ちょうだい」
    私の推しが殺しにキテる。

    きゅん

    4

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  6. 女子の黄色い声が扉付近に集っている。
    何事だと眉をひそめていると「芸能人サマが登校してたみたいよ」と耳打ちされて、納得するのと同時にドキッと胸が高鳴った。

    来てるんだ。

    つい最近まで一緒に登校していた幼なじみが芸能界に入って以降、まともに顔を合わせていない。
    ふと、用具室の扉の隙間から手が覗いた。静かに近づいて中を覗くと、ぐいと手首を引かれて体ごと引き込まれた。

    「しー。久しぶり」
    人差し指越しの綺麗な顔の幼なじみのどアップに体が硬直する。
    「空き時間なんだ。顔が見れてよかった」
    筋張った、私よりも大きな手。
    「半そで半パンって寒くないの?」
    いつの間にか合わなくなった視線。
    「?……」

    でもくせっ毛だけは変わってないな、と口を緩ませると、ふにっと唇に柔らかいものが当たる。
    「また、会いに来るね」
    赤面した彼の火照りに当てられて、自分の顔が熱くなるのが分かった。

    きゅん

    5

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  7. 思春期の男女が二人きりでいるだけで、例えばそれがただの幼なじみだったとしても、ウワサ話のネタにされるのがオチだ。

    だから極力人目のつく所では会わないようにしていた。ーーのに。

    彼はなぜか私の手を掴んだまま離さない。
    あろうことか恋人繋ぎのように指を絡ませてきた。
    「…何してるの」
    「んー」
    「んー、じゃなくて!離して、誰かに見られたら…」
    「見られたら困る?」

    いつもの優しい顔じゃない。
    真剣で冷静で熱のこもった視線に、私は思わず頬を赤らめた。困るのは私じゃない。
    「俺は困らないよ。むしろ噂になればいいと思ってる。牽制できるし」
    な、と同意を求めてくる。何に対しての牽制よ、と問いたくなったが、彼は返事を求めるように繋いだ手を揺らした。
    「…私、も、困らない」
    消えそうな声で呟いた私に、彼はハハッといつものように笑った。

    「俺、お前のそういうとこ好きだよ」
    「は!?」

    きゅん

    9

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  8. ガラッと勢いよく開いた正面の扉に、思わずバッと顔を上げたことを後悔した。
    そこに立っているのは待ち望んだ友人ではなく、一番見られたくない人間だった。

    「…な、んだその格好」
    「…し、試着」
    ふいっと目を逸らして答え、さりげなく剥き出しの太ももを手で押さえた。
    「サイズの確認がしたいから衣装の試着お願いしてもいいかな」と友人から頼まれて、軽い気持ちで受けたら想像以上に肌色の面が多かった。恥ずかしい。絶対バカにされる。恥ずかしさで目尻に涙がにじんだ。
    「に、似合ってないの分かってるから!ただサイズの確認してるだけだからっ」
    だから何も言わずどっか行け、と俯いていると、彼は足早にこちらへ近づいてきた。私の背後にある机に両手を突いて、逃げられないように囲われた。
    「…変じゃねーよ」
    「へ…?」
    近すぎる距離に心臓が跳ねる。
    「可愛い。だからそれ着るの今日だけにしろよ」
    他のヤツに見せたくねえ。

    きゅん

    15

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  9. 自分が好きだといっても相手が同じ気持ちとは限らない。
    例えば交際していたとしても、だ。

    「え、俺のこと嫌いになったの?」

    私の恋人は逆の意味で受け取ったらしい。
    私が好きでも相手に好かれてない可能性もあるでしょ、と説明すると、彼は咀嚼していたパンを飲み込んで真剣な顔で言った。
    「なんで?不安?」
    「そういうわけじゃないけど。口のとこパンついてるよ」
    恥ずかしそうに口元をぬぐう彼に、子供っぽさを感じておもわず吹き出す。
    なんとなく口にした呟きだったのだが、彼にとっては聞き逃せない言葉だったようで。
    「ひっじょーに遺憾のイだよ。というわけでー…」
    何の余韻も隙もなく、彼の顔が近づいてきて唇を奪われた。
    「残り10分の間に俺の愛情全部伝えるね」
    「え、ちょ、何するの?」
    戸惑う私の頬にチュッとキスをして、
    「不安なんか忘れさせてあげる」

    何となく呟くもんじゃないなと後悔した昼休みだった。

    きゅん

    4

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  10. それじゃあ一応、考えといて。
    そう言われて背中を向けた彼の耳は真っ赤だった。対する私はーー
    「愛の告白か」
    「せ、先輩!…見てたんですか」
    「や、なんとなく。けど、そのわりには嬉しそうじゃないなー」
    お前、と人差し指が鼻先に触れる。
    近すぎる距離にぶわっと顔が熱くなって慌てて背を逸らした。
    「そ、そんなこと」
    「…ないのかよ」

    え、何で?
    先輩の眉間に深いシワが寄っている。

    「…何で怒ってるんですか」
    「告白されて嬉しいのか嬉しくないのか、どっちだ」
    「そりゃ、好きだと言われて嬉しくない人がいないわけ…」
    「ダメだ」
    ぐいと頭を鷲掴まれて視線を合わされる。
    まるで、よそ見をするなと言われているような。
    「嬉しくなるな。喜ぶな」
    「っ何なんですかさっきから!」
    かぶりを振って手から逃れると、先輩は面白くないと言いたげに私を見下ろした。
    「俺以外のやつの告白で喜んでんじゃねぇって話だよ」

    きゅん

    19

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  11. 「今年に入って連続追試おめでとう」
    人生最大の皮肉から始まった先生と二人きりの放課後で、私はひくりと口を引きつらせた。
    前の席に座って、なかなか進まない私のシャーペンをにらみつけたまま微動だにしない先生に私は汗が止まらない。好きな人がこんな近くにいるから。

    「他の先生方にそれとなく聞いてみたら、俺の授業以外は平均点以上取るらしいじゃないか」
    ドキッと心臓が大きく跳ねる。
    「しかも積極的に手伝ってくれる良い生徒だって好評だった」
    「そ、そうなんですか?嬉しいなそんなこと言ってもらえてたなんてあはは」
    「お前――まさか確信犯か?」

    先生のテストは、比較的やさしい方だ。
    苦手な人でも点数が取りやすいように部分点をたくさん入れてくれる。自然と先生と二人きりになれる空間は、追試以外思いつかなかった。
    「…お前、嘘付けないだろ」
    顔真っ赤だぞ、と頬を手の甲で撫でられて、期待せずにはいられなかった。

    きゅん

    5

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  12. 購買に行く途中、渡り廊下で見慣れた後頭部が見えた。声をかけようと開いた口は、「好きです!」という聞き慣れない女子の声によって言葉を発することはなかったが、戸惑っているうちにいつの間にか2人の視線がこちらに向いていることに気づいた。
    目を丸くしている幼なじみと目を合わせた途端ーーなぜか涙が溢れ出た。

    「…なぁ、何で泣いたんだよ」
    とっさに逃げ込んだ音楽室は、追いかけてきた彼にあっさり見つけられて、現在尋問中だ。
    「泣いてない」
    「何で目逸らしてんだよ」
    「逸らしてない」
    「今お前と目が合ってるのは誰だ」
    「モーツァルトさん」
    ぐいと頬を掴まれて視線を合わせられる。
    急に近い距離にボッと赤面した私に、彼は我慢するように顔をしかめた。
    「何で泣いたか教えてやる」
    「え…?」
    「俺のことが好きだからだろ」
    「ちっ…違う!何でそんなのあんたが分かるの!」
    「俺もおまえが好きだからだよ」

    きゅん

    7

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  13. 《――あー…1年4組の○○さーん。至急家庭科室に来てください。先生待ってまーす。来なかったら退学にしまーす》

    「…は?」
    食べ損ねた卵焼きが米の上に落ちる。
    周りの視線に圧されて、私はそっと腰を上げた。

    「おー、来たな」
    机に軽く腰掛けてヒラヒラと手を振るうさんくさい顔に、おもいっきりガンを飛ばしてやった。
    「退学になるかもしれない用事ってなんですか」
    「ジャケットにコーヒーこぼしちゃったから持って帰っといてくれる?」
    「そんなことでわざわざ校内放送で呼び出さないで!」
    「人目につかないようにしなきゃいけないんだから仕方ないだろ」
    「だったら普通にッ…もういいです」
    持って帰ればいいんですね、と袋を受け取ると、先生は腕を伸ばして私の頭をぽんと撫でた。
    「いい子」
    大きな手の感触に赤面して、
    「いい子じゃないですッ!」
    教室を飛び出した私の後ろ姿に、先生はくくっと肩を揺らして笑っていた。

    きゅん

    4

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  14. 逃げた。
    校内で可愛いと噂される女子が友人を引き連れて突然公開告白を始めたのだ。相手は私の幼なじみで、好きな人。私は半分残ったメロンパンを袋に突っ込んで教室を飛び出た。
    「…ふんだ。鼻伸ばしちゃってさ」
    「誰が鼻伸ばしてんだよ」
    「ぶッ!?」
    耳元で聞こえた声に思わず仰け反る。彼の手が咄嗟に私の腕を引いてくれて地面に倒れることはなかった。
    「な、何でここにいるの?」
    「誰かさんが拗ねて逃げやがったから追いかけてきたんだろ」
    「別に拗ねてない!」
    「誰もお前のこと言ってねーし」
    なんで…?何で私のこと追いかけてきたの?告白はどうなったの?あの子と、付き合うの?
    「…なぁ」
    「え…?んっ」
    視界に彼の長いまつ毛が間近に映る。唇にかぶさる柔らかい感触に思考が停止した。
    「…こういうことだから、お前が拗ねる必要なし。分かったな」
    「…わ、」
    「あ?」
    「私拗ねてないってば!」
    「そこかよ」

    きゅん

    2

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  15. 「その本好きなの?」
    へ、と呆けたような声が出た。まさか話しかけてもらえると思ってなかったから。
    いつも静かに教室にいるのに彼の印象は濃い。なぜなら顔面偏差値が高く女子たちの恋バナには欠かせない存在だからだ。
    そんな噂の当人が、私に、話しかけている。
    「…あっ、うん、好きだよ!すごく好き!」
    「!…へぇ」
    そう言って彼はふいと顔を逸らしてしまった。何か返答を間違えてしまったのだろうかと心配になったが、しばらく考えるようなしぐさをした後に再び視線が合う。次の瞬間、私は浮かれて思考がおかしくなったと思った。
    「俺も好き」
    「!」
    本のことを好きだと言ったんだよね!わかってる!けど、あまりにも愛しげな声に勘違いしそうになった。
    「どんなところが好きなの?」
    「すぐ赤くなるところとか可愛いなって思う」
    「!?…ほ、本の話だよね!?」

    きゅん

    3

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  16. 普段クールで滅多に感情を表に出さず隙のない彼の寝顔を見た瞬間、私は心から先生に感謝をした。
    先程まで追試で「先生なんか一生独身」などとブツブツ言っていたが、そんなもやもやが一瞬にして吹き飛んだ。腕を枕にして横を向いて眠っているので顔はしっかり見えている。高鳴る胸を抑えつつ、こっそりと近づいて覗き込んだ。
    「綺麗な寝顔…。イケメンは寝てもイケメンなんだな」
    ん、と眉間にシワを寄せた彼に慌てて口を抑える。調子に乗った私は、そっと彼の頬に指を近づけた。ぷに、とニキビひとつ無い肌に触れて、悪いことしてるみたいと思いつつも触り心地が良くてやめられない。

    「つぎ触ったら指たべるよ」
    「…え?」
    ぱちりと開いた両目に、私は慌てて身を引いた。
    「お、起こしてごめんなさい」
    「起きてたんだよ」
    「え!?」
    どうして寝たフリなんかと困惑していると、
    「もう少しで指たべれたのにな」
    彼の口元が意地悪く笑った。

    きゅん

    9

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  17. 「しつれいしまーす、先生――んぐ!?」

    保健室の扉を開けると同時に勢いよく手首を捕まれた。驚きのあまり声も出ずにほんのりタバコの匂いが染みついている白衣で視界が覆われてキュンと鳴ったときめきは、次の瞬間パッと散った。
    先生の大きな手が私の首裏を支えるように包んで、油断してあいていた私の口に先生は唇をかぶせてきた。突然のキス――というよりは人工呼吸のような触れあいに、息が苦しくなってバンバンと腕を叩いて抵抗する。
    ぷは、と離れた唇から糸が伝って、荒い呼吸のまま先生を見上げた。

    「悪い。さっき他の教諭に変なの食べさせられてな」
    「へ、へんなのって…」
    「マムシドリンク入りクッキー、だと」
    あからさまな食べ物でカッと顔が熱くなるが、同時に先生に好意を寄せる先生がいる事にショックを受けた。すると先生は長い指で私の濡れた下唇を撫でて、
    「口直しさせてもらった」
    意地悪な笑みを浮かべて言った。

    きゅん

    6

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  18. 「まだ終わんねーのかよ」
    「もう少し」
    誰もいない教室の窓際で日誌を書く私と、肘をついて唸る彼。先に帰っていいよと言うのにそれはイヤだと聞いてくれない。だったら急かさないで欲しいと思うけど、一緒に帰りたいと思ってくれているのは嬉しい。
    ふと、空間が静かになった。どうしたんだろうと顔を上げると、いつの間にか近くにきていた彼の鼻先に自分のが擦れてビクリと固まる。動き出した彼にから反射的に背中を反らせて離れる。
    「…なぁ、俺たち付き合ってるんだよな?」
    「そうだけどココできっ、キスするのは違うでしょ!」
    わかりやすく動揺する私に、彼はくっと肩を揺らして笑った。
    「違うの?」
    「こ、ここは勉強する場所なんだからそういうのは良くないと思う」
    「じゃあどこならいいの」
    え、と口ごもる私に彼はずいと顔を寄せて言う。どこ、って、そんなの…
    「…だ、誰もいないとこ…」
    「…わかった」
    帰ったら覚悟しろよ。

    きゅん

    13

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  19. 「あれ、先輩?」
    なぜか1年の階にいる先輩に首をかしげたが、お昼時にカバンを手に持っている不自然な姿から理由が分かって顔をしかめる。
    「そんな目で見るなよ。アラームは設定してたんだぜ」
    「起きないと意味無いでしょ。…卒業できないオチとかやめてくださいね」
    「それ笑えねーからやめろ」
    ふと、先輩の目元にクマができているのが見えた。よく見ると顔色も薄らと青白い気がする。分かりにくく明らかに疲労している顔を見つめていると先輩はへらっと口角を上げた。
    「…目、閉じてください」
    「え!?な、なんで、もしかしてチュー」
    「いいから早く」
    動揺する先輩は有無を言わさぬ雰囲気を感じとったのか素直に閉じた。そっと両手の平を先輩の目もとを覆うように優しく乗せる。じわりと伝わる体温で少しでも癒されて欲しい。はー、と細いため息が口元から零れたのが見えた。
    「可愛いことすんな」
    手のひらが一段と暑くなった気がした。

    きゅん

    5

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  20. 「何でオッケーしたんだよ」

    前置きも何もなく言われた言葉に私はぱちくりと目を丸くした。

    「それって先生の手伝いのこと?先生に頼まれたら受けるしかないよ。帰宅部だし、特に用事もないし」

    先程、先生から授業に関する書類をまとめるから手伝って欲しいと頼まれた私は二つ返事で頷いた。そう淡々と返すと、彼はくしゃりと顔をしかめて苦そうな顔をした。

    「……内申点上がるかもしれないし、良いでしょ?」
    「よくない。全然よくない」
    「何で私が良いって言ってるのによくないの」
    「……お前が先生のこと好きになるかもしれないだろ」
    「……は?」

    首を傾げる私に、彼の顔は湯気が出そうなほど真っ赤に染まった。
    もしかして、と小さな希望が胸に浮かぶ。

    「ならないよ。だって、」

    好きな人はアナタだから。

    きゅん

    9

    Meicoさんをフォロー

    通報する

  21. そろそろ帰ろう、と本棚の整理を済ませる。
    窓際で本を読んでいるであろう幼なじみに声をかけようと考えていると、彼の方から私の元へ近づいてきた。
    「図書室閉めるからそろそろ・・・」
    「ん」
    ズイと鼻先に差し出された小さな箱に、何これ?と聞く。
    何も答えない彼の手からおずおずと受け取り、開けてもいいか許可を得る。彼は黙ったまま、私のひとつひとつの行動を観察するかのように見ていた。

    カポ、と箱を開けると、小ぶりなハートのネックレスが現れた。

    もしかして、バレンタインのお返し?
    私があげたのはコンビニで買った安いお菓子だ。こんな、しっかりした物を返されるなんて。
    混乱する私の手元から取り出すと、「付けてやる」と両手を回された。
    ほんのり感じる柔軟剤の香りと首筋に触れる手のぬくもりに、顔が熱くなる。

    「ただの幼なじみにこんなことしないからな」
    まっすぐな熱い視線に、私は頷くことしかできなかった。

    きゅん

    7

    Meicoさんをフォロー

    通報する

▲