ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 昼休み。
    あたしは、幼馴染の裕ちゃんに屋上に呼ばれた。

    「裕ちゃん。どうしたの?」

    「一華」

    裕ちゃんは、今あたしを一華と呼んだ。いつもは、いっちゃんと呼んでくれるのに。

    裕ちゃんは、壁に寄りかかりそうなあたしの両肩に手を置く。

    「な、なに? どうしたの? 怖いよ」

    「いい加減な気持ちじゃない。本気なんだ、俺」

    裕ちゃんは、真剣な眼差しであたしを見る。

    「別に何か特別なことをしてほしい訳じゃない。そばにいるだけだ」

    「そば……?」

    あたしが聞き返すと、裕ちゃんは真剣な表情のまま、頷いた。



    「そう。そばにいるだけ。それで十分だ」

    きゅん

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  3. もうすぐ卒業式だ。

    放課後、わたしは先輩に呼ばれた。見れば見るほど、卒業してほしくないという気持ちが高まる。

    「せ、先輩。何ですか、大切な話って」

    「あ、あのさ。もうすぐ俺、卒業なんだ」

    先輩は、頰を掻きながら言った。
    わたしは、頷いた。

    「それで、お前にお願いがある」

    「お願い?」

    「遠距離恋愛にはなってしまう。けれど、このまま別れるよりはマシだ。俺の彼女になってくれ」

    先輩、わたしの願いを叶えてくれるんですか?

    きゅん

    6

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  4. やっぱり涙が止まらない。
    屋上の手すりを持ちながら泣いているので、涙は雨みたいに落ちていく。

    「変なの。そこで泣くなんて」

    いつのまにか、浅田がいる。
    あたしが今、どうして泣いているか知らないくせに。

    あたしがどうして泣いているかというと、飼っていた犬が交通事故で死んだからだ。

    「人の頭に涙が落ちたら、お前が泣いてることバレるだろ」

    「屋上の真ん中で泣いてるのも嫌」

    そうしたら、心細くて余計に涙が止まらなくなる。

    「じゃ、ここで泣け」

    浅田は、少し後ろに下がって地べたに座る。

    「え……!」

    暖かい。
    浅田に抱きしめられている。

    振り向いてみると浅田は、ふわんと笑っている。

    「これだから、泣き虫は」

    なんだか肩に力が入る。
    あたしは、浅田の胸で泣いている。



    涙の理由は、違うけれど。

    きゅん

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  5. 今、教室にいるのは、わたしともう一人だけだ。

    「もう授業終わってんのに、何座ってんの?」

    顔を上げなくても誰が言っているのか分かる。

    見ないで。
    そう言いたくても、中々声が出ない。

    「あーみ!」

    彼、直人くんは、わたしの目の高さに合わせる。

    「ねえ、笑って」

    わ、笑う? どうして?

    「そうしないと俺、この体勢はやめないよ」

    わたしと直人くんは、身長差が激しいんだから、こんなことは絶対に無いと思っていたのに。

    「亜美。笑ってみてよ、一度だけ」

    「わ、分かった……」

    わたしは、口をゆっくり動かす。

    「ありがとう、笑ってくれて」

    わたしは、顔を両手で覆う。

    「よく笑えましたで賞!」

    わたしの頭を、ぽんぽんと撫でる直人くん。

    子供扱いしないで。

    そう言いたくても、心のどこかでやめてほしくない気持ちが芽生えていた。

    きゅん

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