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  1. 17件ヒットしました

  2. 「ごめんなさい……」

    いつものように、わたしは彼に謝った。

    「謝るなって。お前は悪くないんだよ」

    「ありがとう……」

    わたしはベッドの上にいる。
    病気で、3ヶ月前に余命宣告をされた。

    ……余命3ヶ月。

    今月、わたしはこの世のものじゃなくなる。
    いや、今日かもしれない。

    意識が薄れてきた。

    「大丈夫だ、俺は一生お前を愛しているから」

    「……あ……り……が……とう……」

    彼は、わたしの手を握った。
    彼の温もりを感じながら、わたしは目を閉じる。

    「お前は故人じゃない。俺の恋人だ」

    それだけが聞こえた。


    もう一度、ありがとうと言いたかった。

    きゅん

    5

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  3. 「俺さ」

    下校中、彼は突然言い出した。
    彼は、わたしの幼馴染。
    ……そして、わたしの好きな人。

    「彼女、できたんだ。一個下の」

    彼の言葉に、わたしの足はふらついた。
    それに気がついた彼は、目を丸くした。

    「ん?どうかした?」

    「ううん、なんでもない!」

    わたしが言うと、彼は、ふっと頰を緩めた。

    「幼馴染だから丸わかり。なんかあるんでしょ?」

    「ええっとね!思い出しただけ!わたし、今日塾があるんだった!ごめん」

    わたしは彼を置いて、家まで走った。

    その人って誰?

    わたしの方が、ずっと彼と一緒だったのに。

    わたしの恋の終わりは、突然だった。

    きゅん

    6

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  4. 「好きです!」

    あたしは、ずっと前から好意を寄せていた彼に告白した。

    彼は、一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに眉を下げた。

    「……ごめん。実は、俺、恵と付き合ってるんだ……」

    恵……。あたしの親友。
    メグ、あたしにそんなことを一言も言ってなかった。

    「メグと……?」

    「うん。ごめん、ごめんな」

    「ううん、大丈夫!大丈夫だよ!」

    あたしは、彼に背中を向けて1人で走り去った。

    メグは、可愛くて綺麗で、明るくて優しいから。あたしなんかよりも、男子に人気があるのは、分かっている。


    分かっているのに……。


    やっぱり、涙を流すということだけは、我慢できないよ……!

    きゅん

    4

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  5. 彼は、また本を読んでいる。さすがクール男子。

    わたしは、本を読んでいる彼に声をかけてみた。

    「な、何を読んでるの?」

    「本だけど?」

    読書の邪魔をされたからなのか、彼は少しだけ不機嫌そうだった。

    「いや、何の本を読んでるのかなー、なんて」

    「これ」

    彼は、栞を挟んで本のタイトルをわたしに見せた。

    「へ、へぇ。お、面白そう、だねっ」

    「本心と思えないぞ」

    彼は、嫌そうに目を細めた。

    「そ、そう? 本心、だよ」

    「もし本心なら……」

    彼は、ゆっくりと口の端を上げた。

    「お前に邪魔されるのも、悪くないかもな」

    ちょっと待って。
    そんなに堂々と言われたら、動機が止まらないよ。



    ……嬉しさで。

    きゅん

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  6. 皆が廊下を出て行くことを待って、わたしは廊下で涙を出した。

    家で泣いて、お母さんに心配をかけたくないので、ここで泣けば、誰にも心配されない。

    「樋口さん、どうしたの?」

    しまった。
    わたしの片思いの相手だ。
    見つかってしまったか。

    「なんでもない……」

    わたしは、彼を背中にして、言った。

    「じゃあ、どうして泣いているの?」

    「それは、ゴミが入って……」

    「ねえ、隠さないで。本当にゴミなの?」

    彼が、近づいてくることが分かった。

    「本当はね……。好きなの。でも、桐谷くんが女子が苦手って聞いたから……」

    「樋口さん、僕の『女子が苦手』というのが、どういう意味なのか分かってないんだね」

    振り向くと、彼は少し悲しそうに笑っていた。

    「正しくはね、樋口さん以外の女子が苦手っていうことなんだ……」

    きゅん

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  7. 今日から新学期だ。わたしは、またいつも怖い顔をしている彼と同じクラスになった。

    「何? さっきからこっち向いて」

    誰もいない教室の中で、彼は聞いてきた。

    「いや、また同じクラスだなって」

    「なんか悪い?」

    わたしは激しく首を横に振った。

    「まあ、お前は全然嬉しくないよな。俺は嬉しい」

    今のは聞き間違いか、と疑いたくなるほどの言葉だった。

    「その、どして?」

    「お前さ、俺がお前のこと嫌いだって解釈してたの?」

    もう、何が何だかさっぱり分からない。わたしの知っている彼じゃない。

    彼は少し笑って、

    「自分の評価下げんなよ。長所、いっぱいあるんだから、な」

    と言った。
    わたしは彼の笑顔を長いこと見つめていた。

    きゅん

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  8. 「おはよう」

    登校中に、わたしは同級生の男子と会った。

    「はっ! お、おはよ……」

    「どうしたんだよ? 熱あるんじゃねえか?」

    彼は、わたしの額に手を当てる。顔が赤いのは熱じゃない。あなたのせいだよ。

    「だいじょ! 大丈夫だよ」

    わたしは思わず、彼の手を勢いよく払った。

    「いいか? よく聞け」

    少しぶっきらぼうに彼は言った。怒らせたのだろうか。

    「俺は、よく体調を崩すお前が心配なんだ。だから……」

    確かに、わたしはよく体調を崩す。でも、同級生にそんなことを言われるのは初めてだ。

    「だから?」

    「無理するんじゃないぞ」

    彼は優しく笑い、そしてわたしの髪がくしゃくしゃになるぐらいに撫でた。

    きゅん

    2

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  9. 数学のノートを学校に忘れたので、わたしは取りに行った。

    机の中を見ると、ノートのほかに、何かある。

    「何これ?」

    可愛い箱と手紙が入っている。箱の中を見てみると、クッキーが入っていた。

    『バレンタインのチョコ、ありがとな』

    そのメッセージの下に、『小澤』と書かれてあることに気づき、わたしははっとした。

    わたしはバレンタインの日、小澤にチョコをあげた。彼は、無口なので、チョコを受け取った時も何も言わなかったから、気を悪くしたのだと思ったけれど。

    チョコを渡したことを、覚えていてくれていたんだ。

    そう思うと、顔が熱くなってきた。

    下駄箱の方へ行くと、彼の後ろ姿が見えた。

    「お、小澤!」

    わたしが呼ぶと、小澤が振り返ってきた。

    「机の中のアレ、ありがとう……」

    顔が熱いまま、わたしがお礼を言うと、彼は目を大きく見開いて赤面した。

    きゅん

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  10. わたしは放課後、彼に呼ばれて屋上へ行った。

    「待ってたぞ、真由」

    彼は、わたしに気づいてそう言った。

    「用って何?」

    「目つぶって、じっとしてろ」

    「はい?」

    なんだか訳が分からない。

    「すぐ終わるから目開けないでじっとする。いいな?」

    「……分かった」

    わたしは言われた通り、目を閉じてじっとした。
    細いものが、わたしの首を触った。
    後ろから彼が、わたしの両肩に手を置いてから、

    「もういい」

    と言った。
    わたしは目を開けて首を見る。

    「ネックレス……!」

    わたしの首にかかっているのは、銀色をしたハートのネックレスだった。

    「お前、バレンタインにチョコくれたからお礼」

    驚いているわたしを見て、彼は言った。

    「ありがとう、蓮」

    「喜んでくれて、そして似合ってて良かった」

    小さな声だったけれど、わたしには、はっきり聞こえた。

    きゅん

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  11. わたしは、部活中に転んだので保健室に行った。

    「これくらいの怪我なら、大したことはないけど、一応安静にしておきなさい」

    「はい。ありがとうございます」

    先生に絆創膏を貼ってもらった後、わたしは保健室を出た。

    「あれ、赤根くん。赤根くんも怪我したの?」

    いつのまにか、すぐ近くに後輩の赤根くんがいた。背は高いけれど、活発で可愛い後輩だ。
    赤根くんは、にっこり笑う。

    「待ってましたよ、先輩!」

    赤根くんは、後ろを向いてしゃがんだ。

    「乗ってください」

    「えぇっ?」

    「先輩のためなら、俺、どうなってもいいです。俺は自分より先輩の方が大事ですから」

    彼の顔は真剣そのものだった。

    いつもの子供っぽくて活発なところがない。
    改めて、赤根くんも男の一人なんだな、とわたしは思った。

    きゅん

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  12. あ、あんなところで昼寝している。
    あたしはいたずら心で、彼の膝に頭を乗せて寝たふりをする。

    「うわ!」

    彼の驚いた声を聞いて、あたしは目を開けて、いたずらっぽい目をしてみせた。

    「何やってんだよ、普通昼寝してる人の膝の上で寝るか?」

    「今は寝る時間じゃないでしょう!」

    あたしは、上目遣いをして彼の制服の袖を引っ張る。

    「ああもう、分かったって! ったくどんな家庭環境で育ったら、こんな甘えん坊で精神年齢低い奴になるんだよ」

    彼はその後、あたしの頭をぽんぽんとしてから、

    「まぁ、お前だからなのか、これはこれで結構可愛いんだけど」

    と、言って大人っぽく微笑んだ。

    きゅん

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  13. あっ、先輩。あそこにいたんだ。
    あたしは、先輩の元へ走った。

    「せ、先輩……」

    あたしが呼びかけると、先輩が振り返った。

    「あれ、桃崎じゃん」

    あたしは、ピンク色の紙袋を差し出す。

    「これ、もしかして……」

    「チョコレートです、バレンタインの」

    「それで俺のとこまで持ってきてくれたのか。サンキュ」

    紙袋を受け取って先輩は、あたしに微笑んだ。
    いつもなら、微笑みに見惚れて時間が過ぎていくけれど、今日は違う。

    「あの……。わたし、好きです」

    「好き?」

    「先輩が、好きなんです」

    あたしの鼓動が高鳴っていく。

    「そうか。じゃあ、桃崎」

    先輩は、真剣な眼差しであたしを見た。

    「俺が卒業したら、先輩後輩の関係じゃなくなるんだな」

    きゅん

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  14. 昼休み。
    あたしは、幼馴染の裕ちゃんに屋上に呼ばれた。

    「裕ちゃん。どうしたの?」

    「一華」

    裕ちゃんは、今あたしを一華と呼んだ。いつもは、いっちゃんと呼んでくれるのに。

    裕ちゃんは、壁に寄りかかりそうなあたしの両肩に手を置く。

    「な、なに? どうしたの? 怖いよ」

    「いい加減な気持ちじゃない。本気なんだ、俺」

    裕ちゃんは、真剣な眼差しであたしを見る。

    「別に何か特別なことをしてほしい訳じゃない。そばにいるだけだ」

    「そば……?」

    あたしが聞き返すと、裕ちゃんは真剣な表情のまま、頷いた。



    「そう。そばにいるだけ。それで十分だ」

    きゅん

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  15. もうすぐ卒業式だ。

    放課後、わたしは先輩に呼ばれた。見れば見るほど、卒業してほしくないという気持ちが高まる。

    「せ、先輩。何ですか、大切な話って」

    「あ、あのさ。もうすぐ俺、卒業なんだ」

    先輩は、頰を掻きながら言った。
    わたしは、頷いた。

    「それで、お前にお願いがある」

    「お願い?」

    「遠距離恋愛にはなってしまう。けれど、このまま別れるよりはマシだ。俺の彼女になってくれ」

    先輩、わたしの願いを叶えてくれるんですか?

    きゅん

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  16. わたしの髪の色は黒。他の女子達は茶色。

    隣のクラスの女子は、いつもわたしのことを黒髪のことでからかってくる。今朝も馬鹿にされた。
    わたしは登校して、すぐ図書室の隅の方へ行った。

    「何しているの?」

    ふとそんな声がしたので、振り返ると男子が立っていた。わたしはこの男子のことを、よく知っている。

    彼は、隣のクラスで、わたしが黒髪の事でからかわれたことも知っているらしい。

    けれど彼だって、茶色い髪の子の方が好きに決まっている。

    「白い肌をした愛葉さんには、今の方がいいと思うよ。白雪姫みたいでさ」

    わたしは我慢が出来なくなった。気がつけば、彼に白雪姫みたいと言われた嬉しさと、今朝馬鹿にされた悔しさが、大量の涙になって出ていた。

    彼は何も言わずに、わたしの唇に自分の唇をそっとくっつけた。

    彼を見ると、唇が少し光って見えた。

    きゅん

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  17. やっぱり涙が止まらない。
    屋上の手すりを持ちながら泣いているので、涙は雨みたいに落ちていく。

    「変なの。そこで泣くなんて」

    いつのまにか、浅田がいる。
    あたしが今、どうして泣いているか知らないくせに。

    あたしがどうして泣いているかというと、飼っていた犬が交通事故で死んだからだ。

    「人の頭に涙が落ちたら、お前が泣いてることバレるだろ」

    「屋上の真ん中で泣いてるのも嫌」

    そうしたら、心細くて余計に涙が止まらなくなる。

    「じゃ、ここで泣け」

    浅田は、少し後ろに下がって地べたに座る。

    「え……!」

    暖かい。
    浅田に抱きしめられている。

    振り向いてみると浅田は、ふわんと笑っている。

    「これだから、泣き虫は」

    なんだか肩に力が入る。
    あたしは、浅田の胸で泣いている。



    涙の理由は、違うけれど。

    きゅん

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  18. 今、教室にいるのは、わたしともう一人だけだ。

    「もう授業終わってんのに、何座ってんの?」

    顔を上げなくても誰が言っているのか分かる。

    見ないで。
    そう言いたくても、中々声が出ない。

    「あーみ!」

    彼、直人くんは、わたしの目の高さに合わせる。

    「ねえ、笑って」

    わ、笑う? どうして?

    「そうしないと俺、この体勢はやめないよ」

    わたしと直人くんは、身長差が激しいんだから、こんなことは絶対に無いと思っていたのに。

    「亜美。笑ってみてよ、一度だけ」

    「わ、分かった……」

    わたしは、口をゆっくり動かす。

    「ありがとう、笑ってくれて」

    わたしは、顔を両手で覆う。

    「よく笑えましたで賞!」

    わたしの頭を、ぽんぽんと撫でる直人くん。

    子供扱いしないで。

    そう言いたくても、心のどこかでやめてほしくない気持ちが芽生えていた。

    きゅん

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