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  1. 23件ヒットしました

  2. 下校時間に雨が降っていたことを見て、わたしは天気予報を見なかったことを後悔した。

    いろいろなところで水たまりができていて靴が入っては、ぱしゃん、ぱしゃん、と音が鳴る。

    いろいろな傘の上で、雨がぱらぱらと音を奏でる。
    わたしは、傘を忘れたのでさっきからずっと雨に打たれている。
    見ると、服の色は雨水で変わっていた。

    もう、髪には大量の雨粒をかぶっている。
    ……と、気がつけば雨粒がわたしの頭に来なくなった。

    「お前、風邪ひくだろ」

    横からする、男の子の声。
    厚ぼったい唇から出てきた言葉は、今日も無愛想。
    クラスでも愛想がないとよく言われている彼だった。

    「あっ……ありがとう」

    わたしが言うと、彼の唇の端っこが動いた。
    ……あっ、笑った。

    きゅん

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  3. わたし・寧々と哲史とは幼馴染で、小さい頃もバレンタインチョコをあげた記憶がある。
    だから、哲史にあげても友チョコとしか思ってくれないだろう。

    だけど、友チョコと思われるからって「あげない」というのはなんだか後悔しそうなので作ることにした。

    とにかく友チョコと思われないように、かわいくラッピングもした。

    「はい、これ」

    校舎裏。
    わたしは、哲史にバレンタインチョコを渡した。

    「久しぶりに作ってくれたじゃん、ありがとう」

    いつも通り優しい笑顔で、受け取る哲史。
    ……やっぱり、特別なものとは思わないよね。

    「……どしたの」

    わたしの表情に気づいて、哲史は首を傾げた。

    「寧々?」

    「いつものチョコとは違うと思う」

    「それって……」

    わたしの言葉に、哲史の顔はさっと赤くなった。
    そう、友チョコじゃないんだよ。
    あげたのは、幼馴染だからじゃ、ないんだよ。

    きゅん

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  4. もう、今日は熱で早退すること、教室に連絡がまわったところかな。
    なんて保健室のソファに座りながら考えていると、ガラッとドアが開いた。

    「滝川……くんっ!?」

    見ると、滝川くんがバッグを持っている。

    「先生に頼まれて、カバン持ってきたんだよ」

    「え?」

    いやいや、待って?
    おかしいよ?
    今日は、みずほだって学校に来ているはずだし、わたしとみずほが仲良いことも先生は知っているはず。

    それなのに、何故みずほじゃなくて滝川くん!?

    「そんな目で見るなよ……。いつも鈍感なくせに、なんで今日に限って……」

    わたしの表情を見て、ため息をついた彼。

    「先生に頼まれたんじゃなくて、俺が自分で行くって言ったの。


    だって……。
    お前の近くに、1秒でも長くいたいって思ってたから」

    きゅん

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  5. 今、違うクラスの女子がわたしの大好きな人の隣にいる。
    2人とも文化祭の実行委員なので、一生懸命なのはわかってる。

    わたしも一応仕事があるので、学校に残っているけれど、よりによって彼とわたしは一緒じゃない。

    仕事とはいえ、わたしだって隣にいたい。

    「はい、そろそろ帰るぞ」

    実行委員の仕事も終わり、わたしの仕事も終わったので2人で帰れる。
    ……やっと2人になれるけれど、さっきのモヤモヤが消えない。

    「そんな不機嫌そうな顔すんな。ずーっとそんな顔してるよな?」

    「気付いてたの?」

    「気付くから、普通」

    そう言って、わたしの頭をコツンと叩きながら笑う彼。

    「実行委員の仕事、お疲れさま」

    「お前もな。それから……」

    と間を置いてから彼は、

    「俺のこと好きでいてくれて、ありがとう」

    と言う。
    そんな優しい顔しないでよ。
    もっと離れたくなくなるじゃん。

    きゅん

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  6. 「織姫と彦星には……なりたくないよな」

    わたしの横で、唐突に言った彼。

    「どうして?」

    「1年に一度しか会えないんだよ。しかも日本では、天気が晴れないと会えないって言われてるし」

    確かに、両思いの人には1年に一度しか会えないだなんて、わたしには考えられない。

    「そう言われてみると、本当に会えてないよね。七夕に晴れるなんて、そうそうないし」

    梅雨真っ只中の七夕に晴れないと会えないだなんて、自分のことじゃなくても本当に胸が締め付けられる。

    「でも、外国では会えてるって言われるんだよね」

    「そうなんだ」

    外国のことについては、よく知らないな。

    「けどさ……」

    「うん?」

    突然、彼はわたしの後ろへと言った。
    そうして、いきなりわたしの体を包み込む。

    「こういうことは、1年に1回じゃ足りないよね」

    静かにささやいた彼の声を聞いた瞬間、わたしは改めて彼の気持ちに共感した。

    きゅん

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  7. トイレを済ませて、わたしは教室へ戻った。



    「あっ……」



    もう誰もいないと思っていた教室の中には、彼がいる。



    「まだ帰ってなかったんだ」



    わたしが話しかけると、彼は静かに頬を緩めた。



    「待ってたからだよ」



    「えっ……。別に待たなくてもいいのに……」



    わたしが少し笑いながら言うと、いきなり彼に両肩を掴まれた。



    「気づいてよ。俺、お前のこと、1人ぼっちにしたくないんだから」



    「え?」



    わたしの頬をむにむにと触りながら言う彼は、真剣で。



    わたしの心は、ドキドキと落ち着かなかった。

    きゅん

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  8. あー、頭がぼうっとする。

    数学の授業は苦手だ。特に、今授業でやっている図形は苦手中の苦手。

    「この問題は……。美澄さんに解いてもらいます」

    うわ、最悪。
    分かる訳ないよ、先生。

    「美澄」

    隣から声がしたので見ると彼、高杉くんがルーズリーフを渡してきた。

    「これ……!」

    ルーズリーフには、今の問題の解き方が詳しく書かれてある。

    「解き方、忘れたんだろ?いいから、それ見ながら解けよ」

    「ありがとう……」

    わたしがお礼を言うと、ふっと笑った彼。

    何故だかその瞬間、胸がズキュンと音を立てながら跳ねた。

    え、何。今の感情は。
    こんなにドキドキすることなんて、今まで無かった。

    もしかして『恋』ってこういうことをいうのかな。

    きゅん

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  9. 「ごめんなさい……」

    いつものように、わたしは彼に謝った。

    「謝るなって。お前は悪くないんだよ」

    「ありがとう……」

    わたしはベッドの上にいる。
    病気で、3ヶ月前に余命宣告をされた。

    ……余命3ヶ月。

    今月、わたしはこの世のものじゃなくなる。
    いや、今日かもしれない。

    意識が薄れてきた。

    「大丈夫だ、俺は一生お前を愛しているから」

    「……あ……り……が……とう……」

    彼は、わたしの手を握った。
    彼の温もりを感じながら、わたしは目を閉じる。

    「お前は故人じゃない。俺の恋人だ」

    それだけが聞こえた。


    もう一度、ありがとうと言いたかった。

    きゅん

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  10. 「俺さ」

    下校中、彼は突然言い出した。
    彼は、わたしの幼馴染。
    ……そして、わたしの好きな人。

    「彼女、できたんだ。一個下の」

    彼の言葉に、わたしの足はふらついた。
    それに気がついた彼は、目を丸くした。

    「ん?どうかした?」

    「ううん、なんでもない!」

    わたしが言うと、彼は、ふっと頰を緩めた。

    「幼馴染だから丸わかり。なんかあるんでしょ?」

    「ええっとね!思い出しただけ!わたし、今日塾があるんだった!ごめん」

    わたしは彼を置いて、家まで走った。

    その人って誰?

    わたしの方が、ずっと彼と一緒だったのに。

    わたしの恋の終わりは、突然だった。

    きゅん

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  11. 「好きです!」

    あたしは、ずっと前から好意を寄せていた彼に告白した。

    彼は、一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに眉を下げた。

    「……ごめん。実は、俺、恵と付き合ってるんだ……」

    恵……。あたしの親友。
    メグ、あたしにそんなことを一言も言ってなかった。

    「メグと……?」

    「うん。ごめん、ごめんな」

    「ううん、大丈夫!大丈夫だよ!」

    あたしは、彼に背中を向けて1人で走り去った。

    メグは、可愛くて綺麗で、明るくて優しいから。あたしなんかよりも、男子に人気があるのは、分かっている。


    分かっているのに……。


    やっぱり、涙を流すということだけは、我慢できないよ……!

    きゅん

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  12. 彼は、また本を読んでいる。さすがクール男子。

    わたしは、本を読んでいる彼に声をかけてみた。

    「な、何を読んでるの?」

    「本だけど?」

    読書の邪魔をされたからなのか、彼は少しだけ不機嫌そうだった。

    「いや、何の本を読んでるのかなー、なんて」

    「これ」

    彼は、栞を挟んで本のタイトルをわたしに見せた。

    「へ、へぇ。お、面白そう、だねっ」

    「本心と思えないぞ」

    彼は、嫌そうに目を細めた。

    「そ、そう? 本心、だよ」

    「もし本心なら……」

    彼は、ゆっくりと口の端を上げた。

    「お前に邪魔されるのも、悪くないかもな」

    ちょっと待って。
    そんなに堂々と言われたら、動機が止まらないよ。



    ……嬉しさで。

    きゅん

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  13. 皆が廊下を出て行くことを待って、わたしは廊下で涙を出した。

    家で泣いて、お母さんに心配をかけたくないので、ここで泣けば、誰にも心配されない。

    「樋口さん、どうしたの?」

    しまった。
    わたしの片思いの相手だ。
    見つかってしまったか。

    「なんでもない……」

    わたしは、彼を背中にして、言った。

    「じゃあ、どうして泣いているの?」

    「それは、ゴミが入って……」

    「ねえ、隠さないで。本当にゴミなの?」

    彼が、近づいてくることが分かった。

    「本当はね……。好きなの。でも、桐谷くんが女子が苦手って聞いたから……」

    「樋口さん、僕の『女子が苦手』というのが、どういう意味なのか分かってないんだね」

    振り向くと、彼は少し悲しそうに笑っていた。

    「正しくはね、樋口さん以外の女子が苦手っていうことなんだ……」

    きゅん

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  14. 今日から新学期だ。わたしは、またいつも怖い顔をしている彼と同じクラスになった。

    「何? さっきからこっち向いて」

    誰もいない教室の中で、彼は聞いてきた。

    「いや、また同じクラスだなって」

    「なんか悪い?」

    わたしは激しく首を横に振った。

    「まあ、お前は全然嬉しくないよな。俺は嬉しい」

    今のは聞き間違いか、と疑いたくなるほどの言葉だった。

    「その、どして?」

    「お前さ、俺がお前のこと嫌いだって解釈してたの?」

    もう、何が何だかさっぱり分からない。わたしの知っている彼じゃない。

    彼は少し笑って、

    「自分の評価下げんなよ。長所、いっぱいあるんだから、な」

    と言った。
    わたしは彼の笑顔を長いこと見つめていた。

    きゅん

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  15. 「おはよう」

    登校中に、わたしは同級生の男子と会った。

    「はっ! お、おはよ……」

    「どうしたんだよ? 熱あるんじゃねえか?」

    彼は、わたしの額に手を当てる。顔が赤いのは熱じゃない。あなたのせいだよ。

    「だいじょ! 大丈夫だよ」

    わたしは思わず、彼の手を勢いよく払った。

    「いいか? よく聞け」

    少しぶっきらぼうに彼は言った。怒らせたのだろうか。

    「俺は、よく体調を崩すお前が心配なんだ。だから……」

    確かに、わたしはよく体調を崩す。でも、同級生にそんなことを言われるのは初めてだ。

    「だから?」

    「無理するんじゃないぞ」

    彼は優しく笑い、そしてわたしの髪がくしゃくしゃになるぐらいに撫でた。

    きゅん

    2

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  16. 数学のノートを学校に忘れたので、わたしは取りに行った。

    机の中を見ると、ノートのほかに、何かある。

    「何これ?」

    可愛い箱と手紙が入っている。箱の中を見てみると、クッキーが入っていた。

    『バレンタインのチョコ、ありがとな』

    そのメッセージの下に、『小澤』と書かれてあることに気づき、わたしははっとした。

    わたしはバレンタインの日、小澤にチョコをあげた。彼は、無口なので、チョコを受け取った時も何も言わなかったから、気を悪くしたのだと思ったけれど。

    チョコを渡したことを、覚えていてくれていたんだ。

    そう思うと、顔が熱くなってきた。

    下駄箱の方へ行くと、彼の後ろ姿が見えた。

    「お、小澤!」

    わたしが呼ぶと、小澤が振り返ってきた。

    「机の中のアレ、ありがとう……」

    顔が熱いまま、わたしがお礼を言うと、彼は目を大きく見開いて赤面した。

    きゅん

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  17. わたしは放課後、彼に呼ばれて屋上へ行った。

    「待ってたぞ、真由」

    彼は、わたしに気づいてそう言った。

    「用って何?」

    「目つぶって、じっとしてろ」

    「はい?」

    なんだか訳が分からない。

    「すぐ終わるから目開けないでじっとする。いいな?」

    「……分かった」

    わたしは言われた通り、目を閉じてじっとした。
    細いものが、わたしの首を触った。
    後ろから彼が、わたしの両肩に手を置いてから、

    「もういい」

    と言った。
    わたしは目を開けて首を見る。

    「ネックレス……!」

    わたしの首にかかっているのは、銀色をしたハートのネックレスだった。

    「お前、バレンタインにチョコくれたからお礼」

    驚いているわたしを見て、彼は言った。

    「ありがとう、蓮」

    「喜んでくれて、そして似合ってて良かった」

    小さな声だったけれど、わたしには、はっきり聞こえた。

    きゅん

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  18. わたしは、部活中に転んだので保健室に行った。

    「これくらいの怪我なら、大したことはないけど、一応安静にしておきなさい」

    「はい。ありがとうございます」

    先生に絆創膏を貼ってもらった後、わたしは保健室を出た。

    「あれ、赤根くん。赤根くんも怪我したの?」

    いつのまにか、すぐ近くに後輩の赤根くんがいた。背は高いけれど、活発で可愛い後輩だ。
    赤根くんは、にっこり笑う。

    「待ってましたよ、先輩!」

    赤根くんは、後ろを向いてしゃがんだ。

    「乗ってください」

    「えぇっ?」

    「先輩のためなら、俺、どうなってもいいです。俺は自分より先輩の方が大事ですから」

    彼の顔は真剣そのものだった。

    いつもの子供っぽくて活発なところがない。
    改めて、赤根くんも男の一人なんだな、とわたしは思った。

    きゅん

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  19. あ、あんなところで昼寝している。
    あたしはいたずら心で、彼の膝に頭を乗せて寝たふりをする。

    「うわ!」

    彼の驚いた声を聞いて、あたしは目を開けて、いたずらっぽい目をしてみせた。

    「何やってんだよ、普通昼寝してる人の膝の上で寝るか?」

    「今は寝る時間じゃないでしょう!」

    あたしは、上目遣いをして彼の制服の袖を引っ張る。

    「ああもう、分かったって! ったくどんな家庭環境で育ったら、こんな甘えん坊で精神年齢低い奴になるんだよ」

    彼はその後、あたしの頭をぽんぽんとしてから、

    「まぁ、お前だからなのか、これはこれで結構可愛いんだけど」

    と、言って大人っぽく微笑んだ。

    きゅん

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  20. あっ、先輩。あそこにいたんだ。
    あたしは、先輩の元へ走った。

    「せ、先輩……」

    あたしが呼びかけると、先輩が振り返った。

    「あれ、桃崎じゃん」

    あたしは、ピンク色の紙袋を差し出す。

    「これ、もしかして……」

    「チョコレートです、バレンタインの」

    「それで俺のとこまで持ってきてくれたのか。サンキュ」

    紙袋を受け取って先輩は、あたしに微笑んだ。
    いつもなら、微笑みに見惚れて時間が過ぎていくけれど、今日は違う。

    「あの……。わたし、好きです」

    「好き?」

    「先輩が、好きなんです」

    あたしの鼓動が高鳴っていく。

    「そうか。じゃあ、桃崎」

    先輩は、真剣な眼差しであたしを見た。

    「俺が卒業したら、先輩後輩の関係じゃなくなるんだな」

    きゅん

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  21. 昼休み。
    あたしは、幼馴染の裕ちゃんに屋上に呼ばれた。

    「裕ちゃん。どうしたの?」

    「一華」

    裕ちゃんは、今あたしを一華と呼んだ。いつもは、いっちゃんと呼んでくれるのに。

    裕ちゃんは、壁に寄りかかりそうなあたしの両肩に手を置く。

    「な、なに? どうしたの? 怖いよ」

    「いい加減な気持ちじゃない。本気なんだ、俺」

    裕ちゃんは、真剣な眼差しであたしを見る。

    「別に何か特別なことをしてほしい訳じゃない。そばにいるだけだ」

    「そば……?」

    あたしが聞き返すと、裕ちゃんは真剣な表情のまま、頷いた。



    「そう。そばにいるだけ。それで十分だ」

    きゅん

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