ケータイ小説 野いちご > 野いちご学園

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  2. 「凪!」
    私は必死に彼の名を呼ぶ。
    屋上のふちに立っている彼の名を。
    「なんで、なんでこんな…」
    自分でもひどく狼狽しているのが分かる。
    「もう、疲れたんだよ」
    彼は空を見つめながら呟く。
    その顔は既に何かを諦めたようだった。
    「疲れたってそんな、」
    「美奈子なら分かるだろ」
    私の名を呼ぶ彼の声色は不気味な程優しいものだった。
    「分かんないよ!」
    「いいんだ。もういいんだ」
    彼はそう言って足を一歩前に寄せる。
    「駄目、待って」
    悲痛な思いで彼に手を伸ばす。だけど、

    「今、逝くからな……美奈子」

    私の手では彼を掴むことができなかった。

    「…凪!」

    これがおとぎ話なら彼は私の声が聞こえて自殺を止めてくれたのだろうか

    でも、彼の耳には私の声は届かなくて。
    そのまま彼は屋上から――

    「あぁ…凪」


    “ごめんなさい”


    屋上にはただ、女の泣き後声だけが響いていた。

    きゅん

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  3. 「はい」
    登校中にそう言われて渡されたいかにも高そうな箱。
    「何これ」
    「何これってチョコのお返し」
    事も無さげに彼はさらりとそう言い放つ。
    「いや、なんとなくそれは分かるけど何この高そうな箱は?」
    「開けてみれば」
    言われて私は箱の蓋をそっと開けてみた。
    「何これ」
    2度目の何これ炸裂、但しさっきより語気は強め。
    「ネックレス」
    「それは見れば分かる!」
    「返す」
    言いながら彼にその箱を押しつける。
    「はっ?なんで」
    「なんでも何も!私があげたの安物のチョコ何個かじゃん。それに恋人でもない男にこんな高そうな物貰っても怖いし、重いわ」
    つい早口で捲し立ててしまう。
    「じゃあ、どうしろと」
    項垂れる彼
    「恋人だったら別にいいんだけどね」
    チラリと彼を見る
    「…なんだそういうことか」
    察しのいい彼にはどうやら伝わったようだ。
    「改めて俺と付き合って下さい」
    「はい喜んで」

    とある男女の茶番劇

    きゅん

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  4. 金米糖をかじる。
    「あっ、また甘いもの食べてる」
    先輩がそう言って私を指差す。
    「いいじゃないですか。別に」
    「いやよくない、よくないよ。だって君いっつも甘いもの食べてるしいつか糖尿病になるよ」
    「別に他の人に迷惑かけてないですし先輩がわざわざ気にする必要も」
    「いや、あるよ。好きな子が糖尿病の危機に陥ってるのに止めない男がいる?」
    「いや、いるかもしれないじゃないですか」
    「いるかもだけど!俺はそういう話をしてるんじゃないんです」
    「じゃあ、どういう」
    「甘いものを食べるのを俺はやめて頂きたいの」
    「無理です」
    「どうしても?「無理です」
    う~ん、と先輩は唸っていたが急に閃いたようにそうだ、と言った。
    「次はなんです…んっ!」
    私の唇が先輩によって塞がれた。
    「何するんですか」
    「これなら菓子より甘いかなと思って」
    「甘い訳ないです」
    言いながらも先輩の唇が少し甘く感じられたのは秘密だ

    きゅん

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  5. 晴れている日の屋上は空がいつもより近い気がする。
    「昔さー縁日で迷子になったことがあって」
    「どしたの?いきなり昔話なんて」
    隣の海がお弁当を箸でつつきながら訪ねてくる。
    「何でもいいでしょ。話したくなっただけ」
    「まぁ、いいけど。それで?」
    「泣きじゃくってたら男の子が来てくれてね、どうしたのって聞いてくれたんだけど私答えられなくて」
    「ふんふん、親切な子だね」
    「泣き止むまで手を握ってもらった」
    「…それだけ?」
    「それだけ。あっ勿論親はその後すぐ見つかったよ」
    「そうじゃなくて。つまり、何が言いたかったの」
    「いや、今思えばその子が私の初恋の人だったかもなーと思って」
    「手握って貰っただけで好きになるかね」
    「その時は格好良かったの」
    「ふーん」
    そう言って弁当をまたつつき始めた海が初恋の男の子と一瞬重なって見えたのはきっと気のせいだろう。
    「まさか……ね」
    私はそう呟き空を見た

    きゅん

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  6. 夕日が差し込む放課後の教室。
    そこで行われる告白。
    「好きだ。付き合ってくれ。」
    「無理です。」
    「また、ダメか~。」
    そう言って項垂れる同級生の須藤 昌。
    彼は、私に15回告白している。そして、私は彼を15回振っている。
    「貴方のへこたれなさには、感心するわ。でも、そろそろストーカーの域よ。」
    私は呆れながら言う。
    「お前に彼氏ができたら諦める。」
    「そう、言われて彼氏がすぐにできる顔じゃないんだけど。」
    正直言って、私は可愛いいほうじゃない。体型も顔も平凡なほうだ。
    でも、彼は私の手を握って言ってくる。
    「お前は世界で一番可愛いい!」
    こいつ、ナチュラルに触ってきた。私は彼の手を振り解く。少し落ち込む彼。
    そして、いつもの台詞を私に言う。
    「次は絶対お前を落とす。」
    そう言って私に熱のこもった視線を向ける。
    その視線を独り占めしたくて私は今日も彼を振る。

    きゅん

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