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  1. 11件ヒットしました

  2. (…あたま、いた、…はきそう…)
    放課後の教室。課題をこなす真面目な彼女の横で突っ伏す俺は教師失格だろうか。

    「…具合悪いんですか?」
    不意に尋ねられて少しドキッとする。
    「いや、ちょっと寝不足で」
    …ごめんね、うそついた。
    「先生、」
    ______呆れたような、そんな声音。

    「ふふっ、もう頼りない生徒じゃないんですけど」
    優しい声。困ったように微笑む彼女。
    「…そうだね」
    あぁ、涙腺が緩い。
    「疲れてる時はちゃんと休むことも大切なんですよ。効率も上がらないですし…」
    そこまで言って、彼女は教科書を片付け始めた。
    「だから私も、今日は勉強お休みします。
    帰りましょうか」
    彼女の指先が、髪を軽く撫でた。
    あぁ、好きだなぁ…君には敵わない。

    その腕を掴んで、引き寄せる。衝動的に、
    欲望のままに______抱き締めて彼女で満たす。

    『君を頼りないって思ったことなんて、1度もないよ』

    きゅん

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  3. 俺の彼女は物欲がない。
    何が欲しいかと問えば困ったように考え込み、どこに行きたいかと聞けばどこでもいいと言う。
    もうすぐ誕生日だと言うのに困ったものだ。

    教室に忘れ物をした。
    ドアの前で、教室の中から漏れ聞こえる声に足を止める。
    聞き覚えのある彼女と、彼女の友人が二人いるようだった。
    話題は彼氏からの誕生日のプレゼントで、なんともピンポイントな話だ。
    「んー、私は…時間が欲しいかな。
    一日一緒にいられる券がほしい!」
    『なにそれ~』とか『可愛すぎ〜』とかいう楽しそうな声。
    廊下に立ち尽くしながら自然と上がってしまう口角を必死に隠す。
    ほんと、可愛すぎ。

    思い切りドアを開ける。
    真帆の驚いた顔。そしてその頬は赤く染っていく。
    「聞い、てた…?」
    「…お前、恥ずかしすぎ…」

    きっと自分も、彼女に負けないくらい赤い顔をしているのだろうが、それは射し込む夕陽のせいにした。

    きゅん

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  4. 誕生日_______
    プレゼントも、お祝いの言葉も、全てが幸せで、心がほっこりする。

    「先輩、誕生日おめでとうございます」
    部活終わりに手渡された、可愛らしいピンクのラッピングが施されたプレゼント。
    大好きな後輩からの『おめでとう』
    センスの良さも、その穏やかさと優しさも、彼が人を惹き付ける魅力なんだなぁ、としみじみ思う。
    これはモテるなぁ。

    ラッピングを解くと、中には淡いピンクのハンドタオルとこんぺいとう。
    女子力が高すぎて笑ってしまう。
    彼はどんな顔をしてプレゼントを選んだのだろう。
    一緒に入っていたこの手紙も、きっと精一杯の気持ちで書いてくれたのだろう。

    『先輩のことを考えながら選んだんです。
    おれのイメージですけど…先輩なら、これを選ぶかな、って』

    嬉しいような、くすぐったいような…

    この気持ちはまだ秘密にしておこう。君を困らせたくないから。もう少しだけ、このままで。

    きゅん

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  5. 『あんたどこの誰?

    先日は奏がお世話になったみたいですけど今度遊ぶ時は俺とも仲良くしてくださいね

    それから、
    奏を困らせないでください_____』

    送った記憶のないメッセージと、それに関連して唯一頭に浮かんだ人物。
    奏は階段を駆け下り、生徒会室のドアを思い切り開けた。
    「奏?どうしたの」
    「拓海…私のスマホ、いじった?」
    資料に目を通していた彼の視線が、奏を捉える。
    「…セキュリティゆるすぎ」
    呆れているような、少し怒気も含まれているような声音。

    SNSで知り合った、年上の男性。
    拓海にだけは相談していた。
    怖いこと、苦しいこと、もう連絡したくないということも。

    「好きな子から他の男の話聞いて平静保っていられるほど寛容じゃないんだよね」



    『_____絶対渡さないから』

    何度拓海の言葉に励まされたか。
    本当に大切な人は、案外ずっとそばに居るのかもしれない。

    きゅん

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  6. 『好き』って言葉は重たい。
    私の心も重たい。いつもの教室なのに、酸素濃度が低く感じる。
    日誌を書く私の横でスマホをいじる彼の横顔を盗み見る。
    _____あぁ、好きだなぁ…。って思ってしまう辺り、かなり重症。
    目が合ってほしいような、ほしくないような複雑な心情。
    告白したら、どんな顔するかな?

    『好きだー!!!!』

    って屋上から叫んで伝われば、苦労はしないのに。
    もやもやするこの気持ちを、卒業しなきゃ。
    好きの気持ちを認めてしまおう。
    大好きだから、届いて欲しいって思うから。
    _____精一杯の、想いよ届け。
    「…好き」
    視線をあげれば、顔を赤く染めた彼。心臓は早鐘を打ってる。
    ほんの一瞬の出来事。
    唇にふれた熱。
    恋がはじまる。

    きゅん

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  7. 同じクラスの隣の席の彼。
    ノートに落書きするし、すぐバカにするし、授業中はずっと喋り続けて成績落ちたらどうするんだと言ってやりたいくらいだったのに、それがいないと寂しいことに気が付いてしまったのだ。
    「___さんってさ、なんだかんだで俺のこと好きだよな」
    そのからかい混じりの言葉に頭の中で爆発が起き、心臓は早鐘を打ち出す。

    はぁ!?ばっかじゃないの?

    沸騰寸前の頭では、そう突き返すつもりだった。
    それなのに、いざ出た言葉は頼りなく、語尾はほとんど消えていた。
    「はい!?なんでそうなるの…!」
    顔が熱い。
    「え、うそ…ほんと?顔赤いけど」
    「ばか!!絶対違うから!!」
    意地悪そうに笑う彼を睨みつけてから思いっきり机に顔を伏せる。
    「ほんとに…?
    嘘つくの下手すぎでしょ…」
    急に真剣な声で呟かれたその言葉に思わず耳を塞いだ。
    少し近づいた彼の気配。

    「…聞いて。俺も好き」

    きゅん

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  8. 春の曇天、生暖かい風。
    まるで台風の予兆。
    整えてきたはずの前髪はいつの間にか崩れていて、ショートボブの髪が視界を遮って鬱陶しい。
    ため息がこぼれる。
    前を向いても視界に入るのは灰色の世界。
    温暖な気候に勘違いした桜たちはもう既に葉桜に移り変わっている。
    色のない世界はこんなにも面白みがないのだ。
    私は戻りたい、あの頃に。
    何も考えてなくて、ただ馬鹿だった日々に。
    「今何してるかなぁ?」
    呟いた言葉は風に飛ばされてどこかに消えた。
    もし、もう一度だけ、繰り返せるとしても私は同じ過ちを繰り返すのだろうか。
    「…会いたいなぁ。会いたいよ…」
    目の前が滲んだ。
    これはきっと砂埃のせいだけど。

    きゅん

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  9. 二人きりの理科準備室。
    机に突っ伏しながら口を開く。
    「先生、質問です。
    どうして涙はしょっぱいんですか?」
    この教室の主はコーヒーをいれながら答えた。
    「…失恋か?」
    質問の答えになっていない上に直球過ぎて笑えた。
    「違いますよ」
    勝手に溢れては流れる涙が鬱陶しい。
    「先生、どうしたら好きになってもらえますか?」
    呟いただけ。聞こえていたら、嬉しいなっていう少しの希望はあったけど。
    「…お前は俺をどうしたいの。
    そんな罪の多いこと俺はしない」
    私の願いは届いて、はっきりとした拒絶となって返ってきた。
    「知ってますよ…」
    「…あんまり泣くな。机に水たまりができるだろ」
    先生は困ったように言った。
    そうだ、泣くのは卑怯だ。
    優しい先生を困らせてしまう。

    ____優しい嘘なんて、欲しくないから

    きゅん

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  10. 歌唱テスト。
    そう称して名簿順に呼び出されている。
    実際声に自信など皆無に等しい。
    今まで何となくでやり過ごしてきたが、テストとなれば評定もつくわけでパスする訳にもいかなかった。
    「失礼します」
    瑠璃は先生の部屋の独特な重たい空気が好きではなかった。
    ゆったりと椅子に腰掛けたまま、先生が手招く。
    言う通りに近づくと、先生の手は瑠璃の頬へとのびた。
    小さく体を竦めると、静かなキスが落ちた。
    1度唇を離し瑠璃を見つめる。
    その真意は計り兼ねない。
    分かるのは、これが『悪戯』であること。
    瑠璃の頭は沸騰直前だった。
    「せ、っんせい…っ!テストは!?」

    「…おまえ、この状況で歌えんのか?」

    その言葉に瑠璃は頬が赤く染まっていくのが分かった。
    「…ふ、ぇ…せんせぇ…っ!?」
    先生はくつくつと笑っていた。
    悪趣味だ。それでも拒めない。
    先生を包むコーヒーの香りに溺れたら、きっともう抜け出せない。

    きゅん

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  11. ノックを2回、そのまま真っ白なベッドに直行し、ダイブする。ずるりと足が床に落ちて、ベッドにしがみつくような状態になる。
    微かに薬品の匂いがした。
    「おーい、大丈夫か?」
    膨大な資料の山から顔を覗かせたのは、この学校の保健医。
    「おまえ拗らせたな?」
    隣にしゃがんで、床に膝をついてベッドに顔を伏せている彼女背中を摩ってやる。
    「ほら、起きれるか?上体起こした方が楽だろ。緋奈~?」
    呼び掛けると視線がこちらを向き、コクリと頷いた。
    ベッドに腰掛ける彼女の隣に座り、肩を引き寄せて一定のリズムでたたく。
    強ばっていた身体から力が抜けていくのを
    見計らって聞く。
    「コーヒーと紅茶とホットミルク、どれいい?」
    「…ホットミルクでお願いします」
    了解、と頭を撫でて立ち上がる。
    「あ、そうそう。無理は禁物だからな。あんまり駆け回るなよ~」
    冗談めかした声音。
    「こっちがひやひやするよ、お姫様」

    きゅん

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  12. 夕暮れ時の教室。外では陸上部が走ってる。廊下からこちらに近づく足音に気が付かない振りをして突っ伏しながら窓の外を眺める。
    「奏多?」
    開け放たれていた戸からのぞく彼女…未桜は奏多の姿を確認して安堵の表情を見せた。
    「ここにいたの…」
    そう呟くやいなや、奏多に近づき大きく息を吸った。
    「今日は必ず生徒会室に来てって言ったでしょ!!探したんだからね!?
    あんたがいないと仕事が進まないのよ、なんでこの忙しい時にあんたを探し回らないといけないわけ!?もう!!」
    と、そう一息でまくし立てた。
    机に突っ伏していた顔を上げ、未桜に視線を移すと、潤んだ瞳とぶつかった。
    「…どうしたの」
    出てきたのはそんな言葉。
    何があったのか、はたまた仕事をサボった自分のせいなのか。
    「かなた、」
    奏多のブレザーの裾を掴み、蹲る。
    「どうしたの?
    …よしよし、大丈夫大丈夫」
    今はただ、彼女が落ち着くように寄り添うだけ。

    きゅん

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