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  1. 13件ヒットしました

  2. 「好きです!」

    突然の告白。
    嬉しいとか驚きの感情が訪れる前に私は嫌な予感を感じていた。

    「「お前誰に向かって口聞いてんの?」」

    …予想的中だ。

    「おにい…」
    「菜穂、お前もうちょっと自己管理をだな…」
    「菜穂は俺らの大事な妹だからな!変なやつからは守らねえと!」

    顔を青ざめるまで心配する葵おにい。
    自分は間違ってないと豪語するような晴れやかな笑顔を浮かべる駆おにい。

    私、高柳菜穂には双子のおにいがいる。

    「な、菜穂ちゃ…」
    「あ?てめえ妹を下の名前で呼んでんじゃねえよ?」
    「生徒会長権限でお前を退学にしてやろうか?」
    「ひぃ…!」
    「ちょっとおにいやめてよ!」
    「菜穂もう大丈夫だからな!」
    「菜穂の学校生活は俺達が守ってやる。」

    うざいくらいにシスコンなおにいたち。
    うざいくらいに顔が整ったおにいたち。

    「おにいなんかだいっきらい!」

    そんな過保護なおにいと私の日常。

    きゅん

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  3. 「よう!」
    「わっ、びっくりした。」

    朝、駅、プラットホーム。
    学校行きの電車を待っていると見覚えのある顔を見つけた。
    中学から同じ学校の何故か女子に人気がある宮下だった。

    「そわそわしてるぞ、お前。」
    「えっ!?」
    「誰か待ってんの?」
    「関係ないでしょ。」

    朝、駅、プラットホーム。
    いつもは5分遅れて1つ後の電車に乗っている。
    でも彼女を見つけてからは違う。
    今日も彼女は誰かを探して浮足立っている。
    そして俺はその相手が誰か知っている。

    「あっ!」

    声もかけられないくせに。
    遠目に横顔を見つめることしかできないくせに。
    話したこともないそいつに彼女は惚れている。

    彼女はその事実を知らない。
    そして俺がお前を好きだということも知らない。

    「早く乗れよ、乗り遅れるぞ。」
    「ちょっ、待ってよ!」

    生意気そうに睨むその顔を見ながら。
    惚れた弱みだと思い知らされる、朝のひととき。

    きゅん

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  4. 「昨日先輩とね〜!」

    「はいはい、惚気オツ〜。」

    「ちょっとちゃんと聞いてよ!」

    「はいはい、聞いてる。」

    「聞いてないくせに……。ねえヒカリ、ユズがね!」

    「はいはい俺が聞いてやるから。」

    「ヒカリ〜!」

    彼女は俺らの気持ちを知らない。
    いや、知られないようにしている。

    俺達3人は幼馴染の腐れ縁で。
    いつだって一緒に過ごしてきた。

    そして、俺達はこいつを好きになった。
    だけど、この関係を崩す勇気がなくて。
    気持ちを隠し続けて数年。
    俺達は今更になって後悔した。

    彼女に好きな人ができないなんて保証はないのに。
    いつまでも俺達と一緒にいてくれるなんて、そんなことあるわけないのに。

    彼女に彼氏ができた。
    1つ年上の噂の先輩。
    美男美女とそう2人は言われている。

    俺達は今日も本音を隠し続ける。
    彼女の幸せだけを願って。
    心の傷を隠しながら。
    今日も彼女の笑顔を守り続ける。

    きゅん

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  5. 「あ、あの……。」

    「うるせえブス、さっさと歩け。」

    「す、すみません。」

    「気にしなくていいから、ゆっくり歩こう。」

    「あ、ありがとう……。」

    「つうかなんでお前がいるんだよ。」

    「お前こそなんでいるんだよ。」

    「こいつは今日から俺と帰るんだよ。」

    「この子は僕と毎日一緒に帰ってるんだ。お前の入る隙間はない。」

    「うるせえんだよ。おいブス、行くぞ。」

    「えっ、ちょっ……」

    「好き勝手するのもいい加減にしてくれないかな?この子は僕のなんだけど。」

    「は?こいつは俺のだ。」

    「見苦しいな、狂犬。」

    「そっくり返してやるよ、優等生。」

    「……私が1番苦しい。」

    校門前、両手首をきつく握りしめる2つの手。
    爽やかな笑みを浮かべる黒髪の幼馴染と。
    意地悪の悪い笑みを浮かべる金髪不良少年。
    逃げられないこの状況に私はそっとため息をついた。

    きゅん

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  6. 外暗い…。クラス委員の集まりが予定より伸びて最終下校時刻まであと15分。急いで教室に戻ると席で寝ている希沙良くんを見つけた。まだ寝てたの?

    「希沙良くん、もうすぐ学校閉まるけど。」
    「……榎本さん?」
    「あと15分で閉まるよ。」
    「もうそんな時間?」

    本当、マイペースだなあ。
    よろよろ立ち上がり、カバンを肩にかけた希沙良くんは。
    ポケットから何かを取り出した後その手を私につきだした。

    「……なに?」
    「手、出して。」

    言われた通り手を出すと手のひらにチョコが置かれた。

    「いつもありがとう榎本さん。」

    暗いから気をつけてね、と言った後希沙良くんはそのまま教室を後にした。

    先生に頼まれてるから起こしているだけなのにそんな事言われたら嬉しくなっちゃうじゃん。さっきまでの疲れが一気に吹っ飛んだ気がした。チョコを口内に放り込むと甘いチョコの味がした。

    希沙良くんは今日もマイペース。

    きゅん

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  7. 「……ごめんなさい。」

    その声にびくっとする。放課後の掃除の時間、中庭当番だった私は希沙良くんの告白現場に遭遇していた。振られた女の子は涙ぐみながらこの場を去っていった。

    「なにしてるの榎本さん。」
    「えっ。」

    上手く隠れていたはずなんだけどそうでもなかったみたいで、すぐに希沙良くんに見つかってしまった。

    「なんで振ったの?あの子可愛いって有名じゃん。」
    「んー。」

    少し考えた後希沙良くんはまったりこう言った。

    「寝る時間、減りそうだから。」

    彼女より睡眠。希沙良くんは今日も今日とて希沙良くんだ。希沙良くんの彼女になれる人なんていないんじゃない?

    「……あ、でも。榎本さんなら平気かも。」
    「はあ!?」

    ふわり笑った希沙良くんはそのまま校舎へと戻っていった。な、なんなの!?不覚にもときめいてしまった私は深い意味はないんだって言い聞かせた。

    希沙良くんは今日もマイペース。

    きゅん

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  8. 『1年2組の希沙良くんがかっこいい』

    そう話す女子たちの声がきっかけで、希沙良くんが女子に人気だと言う事を知った。隣で寝ている希沙良くんをこっそり見る。

    確かに顔整ってるしハーフっぽいしかっこいいし。でも四六時中寝ている人にときめいたりしない。

    「数学の課題集めるので出しに来て下さい。」

    係の声でみんながノートを出しに行く。

    「希沙良くん、数学のノート。」
    「……」
    「希沙良くん?」
    「……っ待って!」
    「えっ!?」

    夢とごっちゃになったのか飛び起きた希沙良くんは私の腕を掴んでぎゅっと引き寄せた。意外と強い力に私はよろけて希沙良くんとの顔の距離が急接近した。

    「あ、ごめん。寝ぼけてた。」
    「う、ん。」
    「……宇宙人が。」
    「……は?」

    それだけ言うと希沙良くんはまた夢の世界へと戻っていった。……私のときめきを返せ!心拍数はまだ上昇したまま。
    希沙良くんは今日もマイペース。

    きゅん

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  9. 「……」

    現在4時間目、1時間目からぶっ通しで寝ている希沙良くん。寝ているのをいい事に希沙良くんをまじまじと見つめる。

    髪の毛は染めているのか綺麗な銀髪。太陽の光で透けていて溶けてしまいそうなほど柔らかい。睫毛も長くて……女の私より綺麗。なんか、むかつく。

    「___じゃあここの問題を希沙良。」

    げっ、希沙良くん当てられてるじゃん。数学の上田厳しいで有名なのに。

    「希沙良くん当たってる。」
    「……んぅ。」

    こっそり教えると、寝ぼけ眼でよろよろ立ち上がる希沙良くん。ぼうっと黒板を見た後、数式を唱えはじめた。

    クラス中が唖然とする。だって起きてるのが稀な希沙良くんが正解の答えをスラスラ言ってるんだもん。言い終えた希沙良くんは、座る途中思い出したように私の顔を見て言い放った。

    「あんまりじっと見られると恥ずかしい。」

    ……起きてたなら言ってよ!
    希沙良くんは今日もマイペース。

    きゅん

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  10. 「希沙良くん。」
    「……」
    「希沙良くんってば。」
    「……なに、榎本さん。」
    「次、移動教室だけど。」
    「……へえ。」

    次の授業開始まであと3分。
    私の隣の席。
    1番窓側の後ろの席。
    隣の席の、希沙良くんはいつまでたっても起きようとはしなかった。

    ……希沙良くん移動しないと私鍵閉められないんだけど。

    「鍵閉めたいんだけど。」
    「……閉めたらいいじゃん。」
    「希沙良くんが出てくれないと閉められないの。」
    「俺、ここにいるから。」
    「……は?」
    「今、風との調和がいい感じで……移動なんてしてるひ……ま……」
    「えっ、ちょ、ちょっと!?」

    移動教室より昼寝。
    希沙良くんは今日もマイペース。


    野いちご学園で何か書こうと思いたち、『なのに、希沙良くんは。』をシリーズで書いてみようと思います。
    どこまで続くかわかりませんが、のんびり書いていく予定です。
    よろしくお願いします、!

    きゅん

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  11. 「ん?」


    放課後、委員会を終えて教室に戻ってくると、机で居眠りしている七瀬の姿を見つけた。
    起こさないように物音を立てず自分の机に行くと、行く前より明らかにチョコの数が増えていた。
    苦笑いしつつリュックの中に仕舞い、教室を出ようとする。

    …が、好きな人が無防備に寝ていたら寝顔が気になるのが男の性。
    罪悪感を感じつつ、抑えきれない好奇心を抱いてあどけない寝顔を覗き込むと。
    両腕で大事そうに包み込んだチョコを見つけた。

    じくじくと痛みだす胸。
    見なければよかったと思う後悔。
    もらう相手への醜い嫉妬。


    「俺のこと好きになればいいのに。」


    その声は誰かに届くこともなく。
    一方通行の恋をただただ突きつけられた。
    傷ついた顔をマフラーで隠すように教室をあとにした。


    「んん〜、宮野くん…。」


    そのチョコの宛名が自分であることを俺はまだ知らない。


    その事実に気づくまであと……?

    きゅん

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  12. 「奏くん。チョコ受け取ってくれる?」
    「え、うん。」

    わ、あっさり受け取ってもらえた…。隣の席の奏くん。どこか抜けてて不思議な人。…そして多分今日がバレンタインだって気づいてない。もぐもぐする姿にときめきつつ本題を振る。

    「今日なんの日が知ってる?」
    「…え、誕生日?おめでとう。」

    違うよ奏くん!
    鈍いよ!一応告白なのに!
    手紙ついてるのに目の前で食べるし。
    ていうか手紙気づいてないし!
    もう、なんか…もう!

    「私、帰るね。」
    「気をつけてね。」

    …好きだ馬鹿野郎!
    勢い良くカバンを持って教室を出た。

    ____

    「ん、なにこれ。」

    付属の手紙を開けると。
    "好きです"
    とだけ書かれていた。

    「え、俺すごい失礼なことした?」

    書かれてある文字に顔が熱を帯びる。
    意識したことない隣の席の女の子。
    そして気づいた。
    今日はバレンタインだということに。

    「…明日顔見れない。」

    きゅん

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  13. 「今日はバレンタインですよ。
    知ってましたか?
    あ、私チョコ作ってきたんです。
    下手っぴですけど、ちひろ君の好きな
    ホワイトチョコのですよ。
    ……聞いてますか?」



    放課後、最終下校時刻5分前。
    誰も近くにいないことを確認してから。
    立入禁止の屋上にやってきた。
    内緒で、二人きり。
    なんかくすぐったくて笑いが溢れる。


    フェンス越し。人ひとり分のスペース。
    あなたが最後にいた場所。
    あなたが、なくなった場所。


    恋人でもない。ただの片想い。
    死んでから伝えた想い。
    届かない、私の想い。


    臆病で、意気地なしで、ごめんなさい。
    遅くなってしまって、ごめんなさい。
    毎年、必ず渡しに来ます。


    あなたがなくなった5年前からずっと。
    大人になっても欠かさず来てます。


    私を助けてくれた日を。
    真っ白なチョコをくれた日を。
    私は忘れません。



    「ちひろ君。好きですよ。」

    きゅん

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  14. 「あのさ。」
    「…なんですか。」
    「いつになったらくれんの?」
    「…なんのことでしょう。」

    ため息をつく私の彼氏、直。
    今日のバレンタイン、私が念入りに準備してきたのは直がよく知ってる。なのにも関わらず、登校中に落として無残な姿になってしまった。そんなのあげられるわけがなく今年はあげない方向になった。それに不満なのか、直は不機嫌だ。

    「おい、これ食え。」
    「えっ、うぐっ。」

    口に入れられたのはチョコ。
    いきなりのことでむせていると、直の影が迫ってきて唇を塞がれる。酸素が足りなくて口を少しあけると、すかさずその間から舌が割り込んでくる。

    「んん…!」

    その舌は口内で溶けかけたチョコをすべて舐めとり、満足げに口角を上げた。

    「ごちそうさま。」

    声にならない声を上げ、こんなことなら落としたチョコを渡せばよかったと後悔した。なんて真っ赤な顔で思っても説得力がない、ふたりきりの放課後。

    きゅん

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