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  1. 32件ヒットしました

  2. 【story of Nagi】
    懸命に俺を慕って追いかけてくる君は、泣いたり笑ったり、くるくる表情を変えては俺を好きだと言った。

    先生と生徒。
    決して許される関係ではない。

    けれど、愛おしいと思った。
    もし出会ってしまった事が過ちだというのなら、俺は運命なんて信じない。

    でも現実は残酷だ。

    校長から言い渡された離任という言葉。
    俺は教師だし、公務員だし、「分かりました」という他に言葉なんて持ち合わせていなかった。

    約束という名の鎖で君の未来を奪ってしまう事が怖かった。
    嫌いになったわけじゃない。
    君と逢えなくなる事に何も思わないわけじゃない。

    待っていて欲しい、と何度も出てくる言葉を飲み込んで、俺は君の元から離れた。

    いつか君に送ったナナカマドをモチーフにした髪飾り。

    密かに込めた想いは

    まだ君に、届かない────

    《七竈ーナナカマド》
    初夏の花。花言葉は「君を見守る」

    きゅん

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  3. 【story of Nanaka 】
    「私、追いかけられる方が好きなんです」
    「…なんの話だよ」
    「鬼ごっこですよ。先生はどっちが好きですか?」
    「…追いかける方」
    「えー?追いかけられる方が鬼ごっこしてる感あるのに」
    「追いかけられる方は休めねーだろ。つーか口より手ェ動かして。補習なんですよ、一応」


    こんなバカな事を話したのはいつだっただろう。
    あの頃の私は、先生に追いつきたくて、目の前を流れていくささやかな時間でさえ早く過ぎて欲しいと、先生の優しさに甘え、現実から目を背けていた。

    バチが当たったのかな。

    離任する先生の一覧表に載ったあなたの名前。

    なんで何も言ってくれなかったんですか。

    先生は寂しくないの。

    追いかけるの飽きちゃったんですか。

    いつか先生がくれたナナカマドがモチーフの髪飾りがパチンと音がして床に落ちた。

    ───会いたい。

    そう願うのは、私だけですか?

    きゅん

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  4. 「麦…ってもういないんだっけ」

    放課後の数学準備室に響く声が虚しい。

    俺ははぁ、と溜息をついて奥にあるソファーに身を沈めた。



    許される関係ではないと分かっていた。

    バレたら終わりなんてありきたりな約束で麦を縛り付けて、それでも懸命に俺を慕う麦を愛しいと思った。

    麦の“先生”と俺を呼ぶ声が好きだった。

    キスをした後の照れたような笑顔が好きだった。


    なのにもう、君はいない。



    麦は1度も俺に一緒にいて欲しいと言わなかった。

    俺がいつでも麦を切れるように。

    寂しさを、涙を、その柔らかな笑顔で隠して、教師である俺をずっと守ってくれていたんだ。


    いつか麦を子供扱いした日を思い出す。


    「ガキはどっちだっつーの……」


    麦が俺の前から消えても、俺は君の姿を探してしまうのに。

    その名を呼んでしまうのに。



    どこにいたって君が残した思い出が、俺の心を揺さぶるんだ。

    きゅん

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  5. 自分の体が少しずつ変化しているのは気づいていた。

    背が高くなったり、声が低くなったり。

    同じだった目線はいつの間にか世捺の方が低くなって、そのくせ世捺は少しずつ女っぽくなっていった。

    分かってる。

    世捺は幼馴染で親友で、

    だからこの気持ちは間違ってるんだ。

    消さなきゃいけない。

    世捺の笑い声も、寝顔も、まだこんなにも鮮やかに思い出せるのに。

    10年前、俺は世捺の呼び方を倉橋に変えた。

    世捺は寂しそうな顔をしたけれど、どうか俺のわがままを許して欲しい。

    ずっと世捺の隣にいられるように。

    この感情が全てを壊してしまう前に、線を引くことを、許して欲しい。

    俺は自分の肩を枕にしてすやすやと寝息をたてる世捺の頭をそっと撫でた。

    「観ないならDVDとか借りてくんなよ、親友」

    ずっと世捺が隣で笑ってくれるなら。

    そのためなら俺はどんなどんな嘘だってついてみせる。

    きゅん

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  6. 「ちょ、待って…っ!」

    夕陽が差し込む教室。

    私の手首を壁に押さえつけ、熱を持った瞳で私を見つめるのは新汰だ。

    「なに」

    「なにって…急にこんな」

    「こんな?」

    分かってるくせに、と私は唇を噛む。

    「キ…スしようとか…人来るかもしれないのに」

    ふーん、と新汰は微かな笑みを浮かべて私の耳元に顔を寄せた。

    「でも嫌じゃないでしょ?」

    新汰の低い声が耳朶を打つ。

    ぞわりとした感覚が腰から背筋を這い上がって私は思わず新汰のシャツをぎゅっと握った。

    「や、じゃない…」

    新汰は私の額にキスを1つ落とすと、唇に吸い付くようなキスをした。

    「ん…」

    するり、と頬に新汰の手が回る。

    「夕希、口開けて」

    驚いて新汰を見上げると唇に細い指がかかり、そっと口を開けられた。

    「ん、っ…あ」

    漏れた声が胸を締め付ける。

    「…っ煽んな、バカ」

    甘くて深いキスは、恋の味がした。

    きゅん

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  7. 「あ、俺の『期間限定夕張メロンフレーバーシュワっと弾ける微炭酸』が無くなってる」

    セミの声が途絶えると同時に、紡がぽつりと呟いた。

    「…長いよ」

    暑さで口を開くのも億劫になって、私はやっとそれだけ返した。

    「生徒会室の冷蔵庫は私物突っ込んじゃダメって言うから、知る人ぞ知る文芸部の冷蔵庫に置いておいたのに」

    「知らないよそんなの」

    「お前だろ!」

    「変な言いがかりはやめてください」

    「だって文芸部員お前だけじゃん!」

    「……」

    「期間限定だったのになぁ?」

    「…だったら印つけときゃ良かったのに」

    「印、ねぇ…」


    ───ガタンッ


    世界が、反転した。

    背中にヒヤリと冷たいリノリウムの床。

    「だったらこっちにも印つけとかないと」

    紡はそう言って私の首筋に唇を寄せる。

    「っあ…」






    「お前は俺のもんだって」

    きゅん

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  8. 煌めいたのは水面だったのか、キミに寄せた淡い恋心だったのか───






    激しく水飛沫を上げて飛び込んだ青の世界で静かに目を開けると、あまりにも真っ直ぐに私を見つめるキミがいた。



    “ 好きだ ”



    キミの唇が小さく動いてそう呟いた。



    “ 私も ”



    答える私の頬にキミは手を伸ばす。



    小さな泡が揺れては光り、私の心をくすぐった。



    重なった唇は、少し冷たくて、微かに塩素の味がした。



    初めは啄むように、優しく。

    それから角度を変えて、深く、甘く。



    濡れてしまった制服もキミの隣にいる口実にしてしまおう。






    誰も知らない。気づかない。


    プールの底は私とキミだけの世界だった。

    きゅん

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  9. 「だっからやだっつってんでしょうが!」

    「女々しいこと言わないで早く殺っちゃってよ!」

    「スプレー持ってんならお前がやれや!」

    「これはこっちに飛んできた時に使うの!」

    「なにその専守防衛!俺丸腰なんだけど!?」


    “奴ら”が出たのは数分前。

    ノコノコと本棚の隙間から出てきた“奴ら”を見つける同時に、幼馴染の和香は俺を引きずって“奴ら”と対面させたのだった。

    そして今に至る。


    「いっ…!」

    飛んでくるGを避けるように、和香が俺のシャツを引いた。

    顔が、近い。

    息が、触れる。

    あれ、和香ってこんなに可愛かったっけ。

    「…和香」

    静かに彼女の名を呼ぶ。

    「人の名前呼ぶ暇あるならこのゴキブリなんとかしてバカ!」

    ……ですよねー。

    まぁいいさ、俺は気長にあんたを待ちますよ。

    僕らの恋は始まったばかり………かもしれない。

    《三神くんは恋をする》

    きゅん

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  10. 君を初めて見たのは桜舞う春、まだ新しい制服に身を包んで、震える期待に深呼吸をした時だった。


    『おい、誰がそいつを止めろ!』

    妙に焦った顔で先生が向かいから走ってくると思ったら、視界の端で明るい茶髪が揺れた。


    ふわりと頬を撫でる風。


    深いヘーゼルの瞳。


    マッシュショートの柔らかな髪。


    『三神!せめて入学式だけは出なさい!』


    彼は口角を上げて小さく笑う。


    何故だか私は目が離せなくてその背を目で追いかけた。





    三神帆高。


    彼の名は入学式の後、新入生の名簿で知った。


    三神くんは不良だった。


    学校はよくサボったし、テストはいつも赤点だった。


    それなのに、彼は私を惹き付ける。


    クラス替えで同じクラスに見つけた三神くんの名前。


    頬を撫でる優しい風が、心をくすぐった。


    それはあの日と同じように、何かが始まるような淡い期待をはらんでいた。

    きゅん

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  11. きゃあ、と窓の外で弾けるような声がした。

    太陽のオレンジに照らされて、水飛沫がキラキラと光る。

    すっかり濡れてしまったスカートを翻して逃げ回る女子は、ホースを持つ男子がどれほど優しい表情を浮かべているのかを知らない。

    「いいなぁ」

    ふと自分の口から漏れた言葉に驚き、小さく笑う。独り言なんて欲求不満か私は。

    でも──・・・

    「恋、してみたかったな」

    「……すればいいじゃん」

    澄んだ声にぎょっとして振り返る。

    「神谷」

    「なんで恋、しないの?」

    「…もう3年だし恋は相手もいるからね」

    乾いた笑いが虚しい。

    外のソーダみたいな眩しい飛沫が私の所まで飛んできてくれれば良いのに。

    そうしたら私は、甘い恋ができるのに。

    いきなり神谷がカーテンを引いた。

    唇に柔らかいものが触れる。

    「え?」

    「あのさ斎藤」

    神谷が耳元で囁いた。




    ──恋って落ちるもんだよ。

    きゅん

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  12. 『ねぇ伊咲ぃ』

    鼻にかかった甘ったるい声がして思わず柱の陰に身を隠した。

    チクリ。胸に刺さった小さな棘。

    傷つくって分かってるのに、盗み聞きなんてバカみたいだ、私。

    『あたしと付き合わない?』

    アンタの幼馴染より満足させてあげるよ、と笑う彼女。

    その声から逃れるように私は体を翻して走り出した。

    今、伊咲の返事を聞けば泣いてしまう気がした。

    「美月!」

    後ろから伊咲の声がして腕を掴まれる。

    「離して!」

    「聞いてたんだろ?」

    「今伊咲と話したくない」

    「は?」

    「伊咲が女子と話してるの見て、嫌だって思った!伊咲に触らないでって思ったし、伊咲を渡したくないって思った!自分がこんなに汚い女だなんて知らなかったの!だから…っ」

    手首を引かれ、ぶつかるように伊咲に抱きすくめられる。

    「お前今めちゃくちゃ可愛い」

    「…え?」

    「俺はとっくにお前のもんだよ、美月」

    きゅん

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  13. 君に花を贈ろう
    光溢れる木漏れ日の中で
    君に空を贈ろう
    星屑の夜にかけた願いを

    暗くて眠れない日は 僕が隣にいるから
    君が1人で泣かないように

    Smile & Cry
    僕は愛しい時を抱きしめて
    Cry or Smile
    ささやかな時間が君色に染まる

    だから ほら笑ってよ
    これは小さな恋のおはなし



    …そっとギターを置くと隣に貴方がいて、くすぐったいようなこの空間が幸せだと感じる。

    引き寄せられるようにキスをして、

    貴方の優しさを

    声を

    温もりを

    忘れてしまわないように

    失くしてしまわないように





    私は今日も歌を歌う。







    愛してるは全部ラブソングに詰め込もう。




    love song for you……



    以前投稿したエアラブのafterstoryです。その後の彼らが書きたくて続編が出来ました。りこsideかな?前作もよければぜひ^ ^

    きゅん

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  14. 「や、待って」

    「待たない」

    「誰か来たら…んっ」

    絡め取るような激しいキス。
    普段の優しい先輩とは違う熱っぽい瞳に私は小さく息を飲む。

    「急に…どうして…」

    詰めた吐息の隙間で尋ねると先輩は

    「上書き」

    と唇の上で低く囁いた。

    「上書き?」

    「さっき男に触られてたよね」

    「あれは階段落ちそうになって助けてくれて…っ」

    「そんなの俺は知らない」

    そう言うと先輩は私の首筋に唇を寄せた。

    「……っあ」

    チリ、と小さな痛みが一瞬。



    「他のやつに触られてんな。お前は俺のものなんだから。…俺だけ見てろよ」



    《type of kiss》
    首…独占欲。誰にも渡したくないという執着を表す。

    きゅん

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  15. 翔なんて大嫌い。
    それが私の口癖だった。同じ日に生まれたお隣さんの佐竹翔は、幼い頃から私のライバルだった。私は彼と張り合って、惨敗してはそう泣き喚いた。
    中学生になると翔は身長が伸びて、私は翔に敵わなくなった。私は呼び方を佐竹に変えた。翔は何も言わなかった。

    「や、離してッ!」
    にやにやと笑いを浮かべた男の腕を振り払おうとして、腕をギリリと掴まれた。
    嫌だ。怖い。お願い誰か───
    「おい、手ぇ離しやがれ。警察呼ぶぞ」
    低い声が聞こえた。男の手首をひねり上げ、冷ややかに男を睨みつけたのは翔だった。
    「大丈夫か」
    慌てて逃げていく男を一瞥して、翔は私に聞いた。その声が優しくて、悔しくて、それでも震えは止まってくれなかった。
    「佐竹なんて大嫌い…っ」
    そう言うと、翔は私を優しく抱き締めた。
    「お前を守れるなら、嫌われても構わない。」
    じわりと視界が歪んだ。 涙が出るのはきっと、悔しいせいだ。

    きゅん

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  16. 「先輩、私に恋しません?」

    私は恋が怖い。

    恋をするということは、何かが変わるということ。

    実っても散ってももう元には戻れない。

    それが堪らなく怖いのだ。

    だから私の中の恋心が疼いたら、茶化して告白しないと安心できない。

    振られてやっと私は前に進めるんだ。

    面倒くさい女だと自分でも思う。

    「何言ってんだバーカ」

    ほら、ね。

    分かりきった答え。

    でも、どうして胸が痛いの。

    どうしてこんなに苦しいの。

    「俺はもうずっと前からお前に惚れてる」

    「…え?」

    「お前がこういうの怖がってんのも分かってる。けど俺はお前が好きだよ。…みやぎ、俺と付き合って欲しい」

    いつも臆病な自分が嫌いだった。

    あと少し踏み出せればと思っていた。

    勇気を出してもいいだろうか。

    私、変わってもいい?

    神様、少しだけ私に力をください。

    「はい…っ」

    世界が、明るく輝いた気がした。

    きゅん

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  17. ──ドボンッ
    『やだ、あの子びしょ濡れ』
    『川に落ちるとか小学生?』
    笑い声の中で俯く。最悪だ。こんなことなら遠足なんて来なければ良かった。

    ──ドボンッ
    揺れた水面の先を辿ると高浪先生が顔を拭っていた。
    『だっせ!』
    「いやー、やっちった。冷てぇな」
    『タカナミその歳で水遊びかよ』
    「俺を片仮名で呼ぶなバカども」
    先生はからかう生徒を適当に交わして岸に上がると、私に手を差し出した。いつの間にか皆はBBQに移ったみたいだ。
    「矢崎大丈夫?」
    軽々と私を引き上げる先生に私は疑念を抱く。
    「…わざとですか?」
    「んー?」
    「川に落ちたの」
    「…子供はそんなこと気にしちゃいけません」
    その言葉に私の中の何かが弾けた。

    柔らかな感触から名残惜しく離れる。
    「…子供じゃないです」
    「ふーん」
    先生は私の手を引くと木に私を縫い止めた。
    「子供じゃねぇなら声出すなよ」
    深いキスが何度も唇に落ちた。

    きゅん

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  18. 「聞いてますか、成瀬さん。あんたのために補習してんですよ」
    無理に貼り付けたような引きつった笑顔で千早先生が言う。
    「もう無理。元がバカだからどうしようもないもん」
    突っ伏した私に、先生はあんなぁ、と大きくため息をついた。
    「お前みたいな若い奴が無理だなんだほざくなよ。俺は無理だと思ってない。お前のそれはお前を信じてる俺を裏切ってんだぞ」
    分かったらもう一回。先生はプリントを人差し指でトントンと叩いた。

    「え…移動?」
    「貴方達と一緒にこの学校卒業しちゃったのよ。残念ねぇ」

    なんでよ。大学受かりました、先生のお陰ですって、先生がいなきゃ意味ないのに。
    「最後まで責任とれバカ…っ!」
    「近所に悪口吹聴して回るなよ」
    「先生…なんで…」
    「昼休み。…担任から聞いた。成瀬、おめでとう。それから…」
    重なった唇に目を見張る。
    「責任なんて幾らでもとってやる」
    もう一度、唇が優しく重なった。

    きゅん

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  19. 「──っ!」

    手の甲に赤い線が走った。

    「せ、先輩っ!大丈夫ですか!?」

    後輩くんの声に我に返って教室を見渡すと、皆が私に注目していた。

    どうやら後輩くんの包丁が私の手に触れたらしい。

    「す、すみません!俺、ぼーっとしててっ!」

    後輩くんは私の手を取ると、傷が残ったらどうしよう、と青ざめた。

    「大丈夫大丈夫!こんなの舐めときゃ治るから。皆も料理焦がしちゃうよ」

    手当してくるね、と言い置いて教室を出る。

    横に並ぶ男が1人。

    「…ついてこなくても1人で保健室くらい行けるって」

    「うるせぇ」

    突然、爽馬が私の手を掴んだ。

    そのまま口元に私の手を近づける。

    手の甲に湿った感触。

    「ちょっ、何してっ…」

    「あ?舐めときゃ治んだろ?」

    赤い舌が手の甲を這う。

    「やぁ…」






    「他の男に触らせてんじゃねぇ。お前は俺のもんだろうが」

    きゅん

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  20. ──成田国際空港行き241便、13時発は…


    「じゃあ、時間だから…」

    「…うん」

    どんどん遠くなる背中に、ほんとは行かないでって言いたかった。

    私の傍にいて欲しかった。

    生まれた時からずっと隣にいて、

    憎まれ口叩いて、

    喧嘩ばっかりだったけど、

    言わないって決めてたけど、


    それでも、


    それでもやっぱり



    「好きだバカっ!」


    パタタ、と床に雫が落ちた。

    そっか、もう拭ってくれる人はいないんだ。

    「泣くなよ」

    「え?」

    顔を上げると翔ちゃんがいた。

    なんで、今向こうに歩いていったのに。

    「七奈が泣くと行くに行けない」

    そう言って翔ちゃんは私のおでこにキスを落とすと、また歩き始めた。

    ふと翔ちゃんが足を止めた。

    振り返って私に何かを投げる。

    シロツメクサの指輪?

    「いつか本物にしてやる!それまで待っとけ!」

    きゅん

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  21. 手を伸ばしたその先で
    頬の雫をあなたは攫ってくれない
    ただあなたの隣に
    そう願うのは私の小さなわがまま
    Cry Cry
    恋は落ちるものだと 誰かが言った
    Still Still
    あなたへの想いは 消えてくれない
    好きでいさせて あなたを思い出しても涙が流れなくなるまで

    ギターを置いてふぅっと息を吐く。
    「へー、上手いじゃん森野りこ」
    教室の後ろからパチパチと拍手しながら七瀬先生が顔を出した。
    ──ガタンッ
    「な、なんで」
    勢い余って椅子から落ちた私を先生は腕を掴んでぐっと持ち上げた。
    見られた。見られた。見られた。
    恥ずかしくて顔なんてあげられない。
    「誰に向かって歌ってたわけ?」
    「…それはっ」
    「俺?」
    「〜〜っ!忘れてください、あれは私の一方的な想いだから」

    七瀬先生は私の腰をぐっと抱き寄せて唇に噛みつくようなキスをした。
    「本当に一方的って思ってる?教師だって男なんですけど」

    きゅん

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