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  1. 33件ヒットしました

  2. 「はよ」

    「おはよー」

    朝一番に会うのは幼なじみ。他愛もない会話をしながら一緒に学校に向かうのが日課だ。

    「そうだ、これ」

    「?」

    突然渡された紙袋。とりあえず受けとる。

    「今日、14日じゃん?」

    言葉の意味を理解するまでに時間がかかった。
    だって

    「私、あげてないよ?」

    今年はインフルエンザにかかってバレンタインには何もあげられなかった。あげてもないのにお返しを貰うなんて…

    首をかしげていると彼はやっぱり、と言って笑った。

    「誕生日おめでとう?」

    「あっ…」

    3月14日。私の誕生日だ。

    「…ありがと。良く覚えてたね?」

    行事と被ってるから誕生日っていう印象薄いのに…

    「当たり前だろ」

    頭をくしゃっと撫でられて、

    「好きなやつの誕生日なんだから」

    満面の笑みで言ったあと、我に返って耳が赤くなった彼の横顔がとても愛しかった。

    きゅん

    9

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  3. 「はぁ…」

    誰もいない教室に私のため息が露骨に響いた。

    「せっかく作ったのに…」

    先輩は朝から一度もチョコを受け取っていないらしい。つまり渡せる可能性はほぼゼロなわけで。
    彼女がいるのか、単にチョコが嫌いなのか。理由は分からないけれど…

    「はぁ…」

    自分でラッピングしたチョコを見つめながら、今日何度目かのため息をついた時

    「それ、誰にあげるの?」
    「っ、先輩!?」

    まさかのご本人登場。

    「い、いやこれは…」
    「もしかして俺に?」
    「……はい」
    「じゃ、早くちょうだい?」
    「!!…で、でも先輩チョコ嫌いなんじゃ…」
    「あぁ、俺さ」

    彼は私の頭に手をおいて、笑顔で答えた。

    「本命からしか貰わない主義なんだ」

    きゅん

    70

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  4. 帰り支度をして、席を立った。

    「かず、聞いてる?」
    「聞いてる聞いてる」

    私は片思い中の人について幼なじみのかずに相談してて。

    「お前本当好きな奴変わらないのな…」
    「そう?」
    「もう一年経つじゃん」
    「でも私、ちっちゃい頃はかずの事好きだったよ?」

    「…今は?」
    「へ?」

    ドアに手をかけた彼は呟くように言った。

    「今は好きじゃねぇの?」

    私に背を向けているから表情は分からない。…けどいつもより少し低い声に緊張する。

    「…好きだよ?」
    「多分それ違う」

    振り返ったかずは私をしっかり見据えて

    「…俺の好きと、ゆうの好きは違うよ」

    悲しそうに笑った。

    きゅん

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  5. 「奈々、あれ取って」
    「はい」

    飲みかけのジュースを渡す。すると

    「お前ら、熟年夫婦かよっ!!」

    友達のツッコミ。笑いがどっと起こって、あたしは思わず下を向くけど…

    「え、何か変だった?」

    当の本人は全く分かってない。

    「普通は『あれ』で伝わらねーから!」
    「あー、そういうこと」

    へらっと笑った彼に、友達は続ける。

    「もう結婚すればー?」
    「ちょ、何いってんの!」
    「まんざらでもないくせに~」

    否定するけど冷やかしは止まらなくて。でも彼は平気な顔でジュースを飲んでる。

    「あんたも何か言ったら…」
    「いや、もう嫁みたいなもんだから」
    「は!?」
    「お、やるぅ~」

    友達の野次も遠く聞こえて。彼から目を離せないでいると

    「…な?」

    自然に差し出された右手。
    …あたしはきっと耳まで真っ赤だ。

    きゅん

    21

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  6. 体のだるさと寒気に耐えきれなくて、保健室に行ったのは昼休みのこと。

    あーあ、5限は大好きな白井先生の授業だったのになぁ…。

    「失礼し…、先生!?何でいるの?」

    養護の先生はいなくて。なぜか白井先生がいた。

    「野暮用。…熱でもあんのか?」
    「分かんない」
    「寝とけ」
    「寝かせて?」

    冗談混じりに言うと、案の定「ふざけんな」って。

    「嘘だよ。ちゃんと寝…」

    寝ますって言おうと思ったらぐらっと視界が揺れた。熱っぽい頭でやばい転ぶ、なんて冷静に考えてたら

    「っ、お前気を付けろよ…」

    先生の腕の中にいた。

    「あ、ありがとうござ…」
    「やっぱり俺が寝かす」
    「へ?」

    そのままベッドに連れられて。

    「せんせ…」
    「早く治せよ」

    額に軽くキス。…そんなことされたら

    「熱上がる…」
    「あ?」
    「なんでもない!すき!」
    「あっそ」

    そっぽを向いた彼に頭を撫でられて眠りについた。

    きゅん

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  7. …先輩に会いたいなぁ、なんて。もう一週間くらい考えてる。

    そりゃ大学生は忙しいだろうけど…

    「はぁ…」
    「おっす。何ため息ついてんだ?」
    「真山!おはよう…」

    同級生の真山が話しかけてきた。

    「実は…って、あんた朝練は?」
    「あっ」

    忘れてたー!と全速力で走ってく彼。その背中を見送っていると

    「花菜」
    「え…」

    大好きな声が聞こえたと思ったら、腕を引かれて路地裏に連れ込まれ

    「花菜、さっきの奴なに」

    大好きな先輩が目の前にいた。

    「せ、先輩!」
    「最近忙しくて。ほったらかしてごめんね」

    私の額にキスをすると、
    「で、アイツは?」
    不機嫌な態度と声。

    「俺だって妬くよ?久しぶりに会った彼女が他の男に触られてんの見たらさ」
    「た、ただの同級生です!」
    「…そ」

    まぁいいけど、と呟いて首筋に唇を落とす。

    「これで花菜が誰のか分かるね」

    私の首には赤い痕が咲いていた。

    きゅん

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  8. 「…最低」
    「お前が夢見すぎなんだよ」

    教室に忘れ物をして取りに行ったら、陸哉が日誌を書いていた。まだ書いてるの?って話しかけようとしたら…見ちゃったんだ。彼の隣の席にあったいわゆる、その、
    …そういう本。

    「本当にありえない!せめて隠しなさいよ!」
    「俺のじゃねぇし」
    「でも読むんでしょ」
    「それが健全な男子高校生だからな」

    ああ言えばこう言う…!!

    「てか、お前が世の中知らなさすぎ」
    「はぁ!?」
    「いいか、男ってのはなぁ」

    気づいたら壁に押し付けられてて。間近で見る彼の整った顔に不覚にも心臓が鳴った。

    「こんな状況で何も考えないほど出来た生き物じゃねぇの」

    そのままゆっくりと唇が重なる。数秒して離れて、彼は熱っぽい目で私を見た。

    「…分かった?」
    「はい…」


    彼を男の子として意識し始めたのは、それから。

    きゅん

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  9. 「そんなんやらんくてええよ」

    課題に向き合ってた私に軽く言う。

    「やんなきゃだめなのー」
    「だって必要ないやん。柚葉さんは俺んとこ嫁ぐんやろ?」
    「…ん?」

    嫁ぐ…?

    「え、ちゃうの」
    「いや、え?」

    何で急にそんな話!?ってか嫁ぐって!

    「私、家事とかまだまだだし…」
    「そこ!?」

    肩を揺らして笑う彼。
    何がそんなに面白いのよー…

    「まぁ、家事もやらんくてええよ」
    「それはさすがに…」
    「てか、俺がいなきゃ何も出来へんくなって?」
    「……はぁ!?」
    「そんで俺から離れられなくなったらええねん」

    ちゅっ

    わざとらしくリップ音を鳴らしてキスをされる。

    「柚葉さんは、俺の事嫌い?」
    「す、好きだけど…」
    「じゃあええやんな」

    目の前には満面の笑みを浮かべる彼がいて。

    「べったべたに甘やかしたるから」

    …将来は安泰だなって思ったり。

    きゅん

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  10. 「健太っ…!」
    「おー!…あぁ」

    私の青ざめた顔から察したのか、後ろの不審な奴を見つけたのかは分からないけれど健太はすぐに分かってくれた。

    「こっち」

    引き寄せられて腰を抱かれた。そこから歩きつつ、ごく小さな声で最小限の言葉を交わす。

    「誰」
    「…わかんない」

    少し歩いた所で立ち止まって、健太は後ろを振り返った。

    「…撒いた、かな」

    その言葉にほっとして。力が抜けた私を彼が支えてくれた。

    「…はぁぁ、ありがとぉ…」
    「おう。てか、お前またつけられてたの?」
    「うん…」
    「もうさぁ、いい加減俺のになったら」
    「…へ?」
    「そしたら変な虫も付かねぇだろ」

    早く課題やれよ、みたいな。さらっとした告白が彼らしくて、もっと好きになった。

    きゅん

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  11. 「あー!あと少し!!!」
    「…がんばれー」

    何をっていうのは、ダンクシュート。バスケ部でもないくせに、しかも制服のままやろうとする所が彼の身体能力の高さを感じさせる。

    「反応うす~い」
    「いや、昼休みわざわざ呼び出されて急にダンク練習見せられる私の気持ちも考え…」
    「ヒナ。もう一回だけやるからさ、決まったら付き合って」
    「だいたいどんなリアクションしろって……え?」

    ぱっと彼を見たときにはもう宙に浮いてて。
    ゴールの揺れと共にさっきは掴めなかったゴールリングをしっかり掴んで、ボールはその真ん中を抜けていた。

    「ははっ、決まっちゃった」

    ボールを拾い、いたずらに笑う彼は距離を縮めてくる。

    「私は何も承諾してませんけど…?」
    「ん?そうだっけ?」

    そうだわ!!

    「まぁいいや。約束通り付き合って」
    「ちょ、なに言って…んっ」


    強引に奪われた唇は、不器用ながらも優しかった。

    きゅん

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  12. 『色々終わった。屋上来て』

    そう連絡が来たのが10分前。すぐ屋上に向かえば、目にはくま、あくびをする疲労困憊した先輩がいた。

    「先輩!お疲れ様です」
    「んー?…あぁ」

    寝ぼけ半分の返事。…本当に疲れてるんだ。

    「最近、大変そうでしたもんね」
    「まあね」
    「早く帰って寝た方がいい気がしますけど…」
    「だねー」

    …じゃあなんで呼びだしたの!?

    「じゃあなんで呼びだしたの!?って顔してるね」
    「えっ…!」
    「答えは、゛なんとなく゛」
    「ええっ!」
    「ここ数日会ってないし、友里の顔見とこうかなって」

    普通『なんとなく』で人を呼ぶ!?

    「嘘。友里を見て元気貰おうと思って」
    「…っ!」

    …そんな笑顔ずるい。

    「私に出来ることなら何でも言ってください!」
    「…そー?んじゃ、」

    ちゅっ、と軽く触れた唇。そのまま体を倒されて、

    「お前を全部、俺にちょーだい」

    耳元で甘く囁かれた。

    きゅん

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  13. 彼はベッドに横たわり、苦しそうに息をする。体中ガーゼや包帯で覆われた姿はとても痛々しくて。

    「馬鹿じゃないの…」
    「……」
    「大人数相手とか…」
    「……不安にさせたかよ」
    「え?」

    寝ていたはずの彼は体を起こして座っている私を抱き締めた。

    「風花、手当てありがとうな」
    「…私なんか助けないでよ」
    「゛私なんか゛とか言うな」

    ホールドされた腕に力を込められ思わず顔をしかめた。

    「…本当に、一人で8人相手とかありえない」
    「あぁ」
    「死んだらどうすんのよ」
    「そんなんじゃ死なねぇ」
    「分かんないじゃん!!」

    急に声を張り上げた私を驚いた目で見つめたあと彼はおもむろに口を開いた。

    「難しいな」
    「…」
    「お前を守るためとはいえ、戦うとお前を不安にさせちまう。でも戦わないとお前が傷つけられて…俺が狂いそうになる。だからせめて」

    悠真の眼差しは真剣そのもので。

    「俺から離れんな」

    きゅん

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  14. 「はぁ、あんたらまだこんな事してるの?」
    「なっ…!」

    目の前の男がたじろぐ。人質の女が生意気な口を叩くんだから、当然だ。

    「手はもっときつく縛んなきゃ…ほら」

    するっと縄を抜けてポケットから携帯を出す。

    「龍斗に連絡しちゃ…」
    「っ、!」

    男が私を壁に押し付けた反動で携帯が落ちる。

    「大口叩くのはいいけど、神田龍斗は助けに来んのかよ?」
    「…何言ってんの?」
    「あぁ!?」

    男の手に力が入る。

    「龍斗が来ないわけないじゃん」

    その言葉と同時に目の前の男が吹っ飛ぶ。視界の先には…

    「遅いよ、龍斗」
    「…悪い」

    彼はぎゅっと私を抱き締めてキスを落とした。

    「あのくらいだったら私でも倒せそうだったけど」
    「馬鹿言うな。お前の手は人を殴るためにあるんじゃねぇ」
    「…何のためにあるの?」
    「決まってんだろ」

    彼は視線を私に向けた。

    「俺とヤるため」
    「っ、1回死んどけ!」

    きゅん

    15

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  15. 「お前さ、わかってる?」
    「な、何をですか…」

    なぜ私はいわゆる壁ドンされながら先輩に問いつめられているのでしょうか。

    「なんで俺が昼休みにお前を呼び出してるかとか」
    「…はぁ」
    「ふたりきりで会いたがるだとか」
    「…はぁ」

    いやそんなこと知らないし。っていうか!顔が近いよ顔が!!

    「あ、あの前田先輩」
    「あ?」
    「顔が…近いです」

    目は合わせられなくて。伏し目がちに答えると先輩は私の頭ごとすっぽりと抱きすくめてしまった。

    「ほんっと、敵わねぇなお前には…」
    「…褒められた気がしませんけど」
    「褒めてる褒めてる」
    「そろそろ離してください」
    「嫌って、言ったら?」

    先輩は抱き締める力をいっそう強める。

    「痛っ…」
    「優実、どこにも行かないで。俺のになってよ」

    きゅん

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  16. 「蓮弥?あ、寝てる…」

    規則的に動く背中と微かに聞こえる寝息。そーっと近づいて顔を見てみる。

    まつげ長っ…

    …ほんの出来心で。なぜか体が動いて、気づけば彼の柔らかい髪にキスをしていた。

    やっちゃった…

    自分の行為を振り返って熱くなった頬を押さえた刹那、手首を掴まれ引き寄せられる。

    「えっ、蓮弥!?」
    「んー?」

    まだ眠たさが残る声。引き寄せられた先は彼の胸の中で。

    「お、起きてたの…」
    「実湖の声が聞こえて起きた」

    嘘!?ってことは…

    「…気づい、た?」
    「まぁな」

    超恥ずかしいじゃん…

    「まぁ全然足りないんだけど」
    「えっ…?んっ、はぁっ…」

    深く唇を奪われて体の力が抜けてしまう。そんな私を支えながら余裕たっぷりに笑う彼。

    「実湖、可愛すぎ。他の奴にこんな顔見せんなよ?」

    きゅん

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  17. 「先生」
    「んー…伊村?どないしたん?」

    煙草を燻らせる彼は、向かい風に煽られて目に入った煙に目を細めた。

    「体に悪いですよ」
    「俺も止めたいねんけどなぁ」

    フィルター直前になって火を消す。コンクリートに押し付けられた煙草に噛み跡があるのは彼の癖だ。

    「口寂しいっちゅうか…」
    「飴とか舐めると良いらしいですよ?…これ」

    ポケットから苺の飴を差し出す。苺柄の包み紙と三角の形が特徴の、あれだ。

    「おー、ありがとう」

    それを口に入れると舌の上でもてあそぶ。けれど少し経つとがりっと噛み砕いてしまった。

    「先生、禁煙する気無いでしょ…」
    「やっぱ飴じゃ俺を満たしてくれへんわ」
    「じゃあ何がいいんですか」
    「んー、お前?」
    「…え?」

    彼は私の手首を掴むと耳もとに顔を寄せた。

    「お前がキスしてくれんなら禁煙してええかもな」

    きゅん

    16

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  18. 「~♪」

    今日は部活も無いし早く帰ってTVでも見ようかな♪
    靴に手を伸ばすと彼の声が聞こえた。

    「穂乃花」
    「依田先輩。どうしたんですか?部活は?」
    「用事あって抜けて来たんだ。…なんか嬉しいことでもあったの?」

    鼻歌聞かれてた!?恥ずかし…

    「いや、特に…」
    「ふーん。あれ、髪切ったんだ」
    「はい。ちょっと短くしすぎたかな」

    肩に着かないくらいの自分の髪を触る。すると先輩も私の髪を少し持ち上げて

    「俺はこっちのが好きだな」

    と目を細めて笑った。

    「あ、もう行かないと。また明日な」
    「はい、また明日…」

    先輩に手を振り返した後、うるさい心臓と赤い顔に手を当てて鎮まるのを待ったのは言うまでもない。

    ~~

    「依田!お前勝手に抜けんな!」
    「悪い悪い」
    「どうせ穂乃花ちゃんだろ?しつこい男は嫌われるぜ~」
    「うっせ。…お前手ぇ出すなよ」
    「はいはい。んな恐い顔すんなって」

    きゅん

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  19. 「なぁ」
    「何?」

    授業中、小声で話しかけてきた彼に耳を寄せる。

    「好きな奴いんの?」
    「え、私?」
    「お前以外に誰がいんの」
    「うーん…」

    ずっと前からあんたに片想いしてますけど…

    「いるよ」
    「まじかよ、誰?」
    「授業中話しかけてくる奴」
    「は?」
    「わりかし顔は良いけどうるさい隣の席の奴」
    「お前それって俺…」
    「まぁそういう感じだから」

    何か言いたげな彼を差し置いて会話を切る。
    …勢いで言っちゃった…
    冷静になると恥ずかしさが込み上げてきて机に突っ伏した。

    「おい」
    「何」

    顔を上げずに答えるとさらっと髪を触られた。驚いて思わず彼の方を見るとにっこりと笑っていて。
    あぁ、この笑顔が好きなんだ。と実感する。

    「やっと見てくれた」
    「…」
    「ねぇ、さっきの嘘じゃないよね?」
    「…うん」
    「よかった。でもやっぱ俺から言わせて。
    …好き。付き合って?」

    きゅん

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  20. 「おい華乃」
    「ん?なぁに~♪」

    不機嫌な暮斗に対して上機嫌な私。

    「あいつと付き合うのかよ」
    「まだ分かんないよ~」
    「チッ、告白ひとつで浮かれやがって」
    「なによ!自分はモテるからって!!」

    昨日クラスメイトに告白された。しかも人生初!浮かれて何が悪い!

    「はぁ、油断したな…」
    「なんか言った?」
    「いや別に。つーかお前、彼氏とかいらねぇだろ」
    「な、なんで暮斗にそんな事言われなきゃなんないの!」
    「俺がいるじゃん」
    「っはぁ?」

    ゆっくり距離を詰めてきた暮斗に手首を掴まれる。

    「保育園の頃からさ、虫除けしてたっつーのに」
    「…へ?」
    「高校入って油断したわ、マジで」
    「え、ちょ、暮斗?」

    彼の顔が近づく。抵抗する間もなくキスされた。

    「なっ!あんた何してんのよ!!」
    「るっせー、他の男に色目使ってんな」
    「い、色目なんて使って…」
    「お前は俺だけ見てればいいだろーが」

    きゅん

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  21. 「またサボってる」
    「めんどくさいし」
    「そういう問題じゃないと思うけど…」

    何で高校入ったんだろうってくらいサボり魔な彼。

    「今日はもう授業出ないの?」
    「今何限目?」
    「3」
    「出ないかな」
    「本当、何で高校入ったんだか…」

    呆れる私を横目に、彼はふぁ、と欠伸をしてフェンスに寄りかかると呟いた。

    「先輩がいたから」
    「え?」
    「本当に面倒くさかったよ、筆記も面接も」
    「ちょ、え?」
    「だけど先輩がいるって思うと頑張れた。こんな面倒くさがりの俺だけど、」

    ガシャンッ

    後ろでフェンスが音を立てる。目の前には彼の顔があって。

    「どんな手を使ってでも先輩が欲しかった。ねぇ、俺のになって?」

    きゅん

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