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  1. 38件ヒットしました

  2. 「あっ、龍哉さんの彼女さんっすよね?」
    「…え?」

    自販機からアップルティーが落ちたのと、知らない男の子に話しかけられたのは同時だった。

    「違うけど…」
    「でも龍哉さんが他の女子と話してるとこ見たことないっすよ?」

    それは龍が女の子が苦手だからで…

    「しかもアップルティーばっか飲むから、理由聞いたらリンゴだからって…、痛っ!」
    「お前余計なこと喋んな」

    見計らったように本人登場。

    「少しは加減してくださいよ…」

    頭を叩かれた男の子は恨めしそうに龍を見た。
    当の本人は悪びれる様子すらなく、自販機に落ちたままのアップルティーを拾い上げてひとくち飲みやがった。

    「ちょ、あたしの!」
    「あー悪ぃ」

    龍は、飲みかけを渡されて膨れっ面のあたしの耳に口を寄せる。

    「…そんなに否定すんなよ」

    じゃあな、と男の子を連れて帰る彼。
    その後飲んだアップルティーは、いつもより甘い気がした。

    きゅん

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  3. 告白されたって言ったら頭を叩かれた。

    「痛っ!」
    「誰にされたの」

    目の前の幼なじみには謝る気なんてさらさら無いらしい。

    「別に誰でもいいじゃん」
    「良いわけねぇだろ」

    なぜかめちゃくちゃ怒ってる彼を見てると、罪悪感さえ覚えてしまう。

    あたし何も悪いことしてないのに!

    「早く言えよ」
    「絶対やだ」

    ふんっ、誰が言うもんですか!!

    「どうせ2組の長田だろ」
    「んなっ…!」
    「はいアタリ」

    知ってんだったら最初から聞くな!

    「付き合うの?」
    「いや…」
    「だよな」

    だから分かってるんだったら聞くなっての!

    「俺がいるしな」
    「…はい?」

    I don't get your meaning…

    「ただの幼なじみが何言ってるんだか」
    「…そう思ってんのはお前だけだから」
    「え?」

    夕陽が、先に歩き出した彼の耳を赤く染めていた。

    その意味を知るのは、もう少し後の話…。

    きゅん

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  4. あー、イライラする!

    気持ちを落ち着かせるために開いた本。けど全然頭に入ってこない。

    本を閉じて、目をつむる。まぶたの裏に焼き付いて離れないのは、女の子と楽しそうに笑うアイツの姿。

    クラスが離れてからあんまり喋らなくなった。
    アイツは図書室にも来なくなって。

    なんでこんなにイライラするんだろ…

    つむった目はそのままで、大きく息を吐いた。
    その瞬間、肩に手を置かれて。

    「寝てるの?」
    「…寝てない」

    声で分かる。

    「なんでいるの」
    「いちゃダメ?」

    答えなんてわかってるくせに。彼は意地悪に目を細めた。

    「…さっきの女の子は?」
    「なに、妬いてる?」

    可愛いとこあるね、と隣に座った。

    「俺は凜のために来たんだけど」
    「っ、嘘ばっか」
    「本当だって」

    手をとって、甲にキスを落とす。

    「…会いたかったよ」

    こんなキザなことする奴に、ときめいてしまったのはなんでかな…

    きゅん

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  5. 離れちゃったなぁ…

    彼とクラスが離れて1週間。あたしはまだその事を引きずってる。でも彼は、

    『仲いい奴いるし、楽しいよ』

    とか言っちゃってさ。
    さみしいと思ってるのはあたしだけですか、と心の中で文句たれてると

    「中沢ー?早くしろー」

    同じクラスの菊地くんに呼ばれて。
    やば、放課後に委員会あるの忘れてた…!!

    「待ってー今行くうわっ!!!」
    「うおっ!…気を付けろよー」

    急いで廊下に出たらつまずいて。とっさに受けとめてくれた菊地くんに抱き止められる形になってしまった。

    「うわ、ごめん!!」

    謝った瞬間、なぜか横から腕を引かれて。それは

    「っ、これは俺の!!!」

    慌てた様子の彼だった。

    「はいはい。お前の女とったりしねーよ」
    「そりゃどーも。早く離れろ」

    菊地くんに敵意むき出しな彼がなんか可愛くて。

    さっきの文句なんてもう忘れちゃった。

    きゅん

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  6. 先生、気づいてる?

    「Xに代入して」
    「うん」

    髪のセットに小一時間かかった事とか

    「ここ計算して」
    「うん」

    良い匂いの香水つけてみた事とか

    「こっちに移項して」
    「…うん?」
    「おい、そこはさっきも教えただろ」

    …あなたが好きな事とか。

    「符号変わるやつ?」
    「変わるやつ」
    「分かった!」

    補習なのに楽しみで。いつもはキライな数学も今はありがたい。

    「その後ここを計算して…」

    先生は気だるそうにイスの背もたれに腕をかけて説明する。

    …こっち向かないかな。

    「Xイコールの形にして…って、聞いてる?」

    ぱちっと目が合った。

    「優依」

    先生の口から私の名前が出るとは思わなくて。

    「は、はい?」

    声がうわずった。

    「…前髪切った?」
    「っ、はい!!」

    前髪なんて1ミリも切ってないけど。
    私のことを話してくれただけで嬉しくて、つい返事してしまった。

    きゅん

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  7. 「はよ」

    「おはよー」

    朝一番に会うのは幼なじみ。他愛もない会話をしながら一緒に学校に向かうのが日課だ。

    「そうだ、これ」

    「?」

    突然渡された紙袋。とりあえず受けとる。

    「今日、14日じゃん?」

    言葉の意味を理解するまでに時間がかかった。
    だって

    「私、あげてないよ?」

    今年はインフルエンザにかかってバレンタインには何もあげられなかった。あげてもないのにお返しを貰うなんて…

    首をかしげていると彼はやっぱり、と言って笑った。

    「誕生日おめでとう?」

    「あっ…」

    3月14日。私の誕生日だ。

    「…ありがと。良く覚えてたね?」

    行事と被ってるから誕生日っていう印象薄いのに…

    「当たり前だろ」

    頭をくしゃっと撫でられて、

    「好きなやつの誕生日なんだから」

    満面の笑みで言ったあと、我に返って耳が赤くなった彼の横顔がとても愛しかった。

    きゅん

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  8. 「はぁ…」

    誰もいない教室に私のため息が露骨に響いた。

    「せっかく作ったのに…」

    先輩は朝から一度もチョコを受け取っていないらしい。つまり渡せる可能性はほぼゼロなわけで。
    彼女がいるのか、単にチョコが嫌いなのか。理由は分からないけれど…

    「はぁ…」

    自分でラッピングしたチョコを見つめながら、今日何度目かのため息をついた時

    「それ、誰にあげるの?」
    「っ、先輩!?」

    まさかのご本人登場。

    「い、いやこれは…」
    「もしかして俺に?」
    「……はい」
    「じゃ、早くちょうだい?」
    「!!…で、でも先輩チョコ嫌いなんじゃ…」
    「あぁ、俺さ」

    彼は私の頭に手をおいて、笑顔で答えた。

    「本命からしか貰わない主義なんだ」

    きゅん

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  9. 帰り支度をして、席を立った。

    「かず、聞いてる?」
    「聞いてる聞いてる」

    私は片思い中の人について幼なじみのかずに相談してて。

    「お前本当好きな奴変わらないのな…」
    「そう?」
    「もう一年経つじゃん」
    「でも私、ちっちゃい頃はかずの事好きだったよ?」

    「…今は?」
    「へ?」

    ドアに手をかけた彼は呟くように言った。

    「今は好きじゃねぇの?」

    私に背を向けているから表情は分からない。…けどいつもより少し低い声に緊張する。

    「…好きだよ?」
    「多分それ違う」

    振り返ったかずは私をしっかり見据えて

    「…俺の好きと、ゆうの好きは違うよ」

    悲しそうに笑った。

    きゅん

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  10. 「奈々、あれ取って」
    「はい」

    飲みかけのジュースを渡す。すると

    「お前ら、熟年夫婦かよっ!!」

    友達のツッコミ。笑いがどっと起こって、あたしは思わず下を向くけど…

    「え、何か変だった?」

    当の本人は全く分かってない。

    「普通は『あれ』で伝わらねーから!」
    「あー、そういうこと」

    へらっと笑った彼に、友達は続ける。

    「もう結婚すればー?」
    「ちょ、何いってんの!」
    「まんざらでもないくせに~」

    否定するけど冷やかしは止まらなくて。でも彼は平気な顔でジュースを飲んでる。

    「あんたも何か言ったら…」
    「いや、もう嫁みたいなもんだから」
    「は!?」
    「お、やるぅ~」

    友達の野次も遠く聞こえて。彼から目を離せないでいると

    「…な?」

    自然に差し出された右手。
    …あたしはきっと耳まで真っ赤だ。

    きゅん

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  11. 体のだるさと寒気に耐えきれなくて、保健室に行ったのは昼休みのこと。

    あーあ、5限は大好きな白井先生の授業だったのになぁ…。

    「失礼し…、先生!?何でいるの?」

    養護の先生はいなくて。なぜか白井先生がいた。

    「野暮用。…熱でもあんのか?」
    「分かんない」
    「寝とけ」
    「寝かせて?」

    冗談混じりに言うと、案の定「ふざけんな」って。

    「嘘だよ。ちゃんと寝…」

    寝ますって言おうと思ったらぐらっと視界が揺れた。熱っぽい頭でやばい転ぶ、なんて冷静に考えてたら

    「っ、お前気を付けろよ…」

    先生の腕の中にいた。

    「あ、ありがとうござ…」
    「やっぱり俺が寝かす」
    「へ?」

    そのままベッドに連れられて。

    「せんせ…」
    「早く治せよ」

    額に軽くキス。…そんなことされたら

    「熱上がる…」
    「あ?」
    「なんでもない!すき!」
    「あっそ」

    そっぽを向いた彼に頭を撫でられて眠りについた。

    きゅん

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  12. …先輩に会いたいなぁ、なんて。もう一週間くらい考えてる。

    そりゃ大学生は忙しいだろうけど…

    「はぁ…」
    「おっす。何ため息ついてんだ?」
    「真山!おはよう…」

    同級生の真山が話しかけてきた。

    「実は…って、あんた朝練は?」
    「あっ」

    忘れてたー!と全速力で走ってく彼。その背中を見送っていると

    「花菜」
    「え…」

    大好きな声が聞こえたと思ったら、腕を引かれて路地裏に連れ込まれ

    「花菜、さっきの奴なに」

    大好きな先輩が目の前にいた。

    「せ、先輩!」
    「最近忙しくて。ほったらかしてごめんね」

    私の額にキスをすると、
    「で、アイツは?」
    不機嫌な態度と声。

    「俺だって妬くよ?久しぶりに会った彼女が他の男に触られてんの見たらさ」
    「た、ただの同級生です!」
    「…そ」

    まぁいいけど、と呟いて首筋に唇を落とす。

    「これで花菜が誰のか分かるね」

    私の首には赤い痕が咲いていた。

    きゅん

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  13. 「…最低」
    「お前が夢見すぎなんだよ」

    教室に忘れ物をして取りに行ったら、陸哉が日誌を書いていた。まだ書いてるの?って話しかけようとしたら…見ちゃったんだ。彼の隣の席にあったいわゆる、その、
    …そういう本。

    「本当にありえない!せめて隠しなさいよ!」
    「俺のじゃねぇし」
    「でも読むんでしょ」
    「それが健全な男子高校生だからな」

    ああ言えばこう言う…!!

    「てか、お前が世の中知らなさすぎ」
    「はぁ!?」
    「いいか、男ってのはなぁ」

    気づいたら壁に押し付けられてて。間近で見る彼の整った顔に不覚にも心臓が鳴った。

    「こんな状況で何も考えないほど出来た生き物じゃねぇの」

    そのままゆっくりと唇が重なる。数秒して離れて、彼は熱っぽい目で私を見た。

    「…分かった?」
    「はい…」


    彼を男の子として意識し始めたのは、それから。

    きゅん

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  14. 「そんなんやらんくてええよ」

    課題に向き合ってた私に軽く言う。

    「やんなきゃだめなのー」
    「だって必要ないやん。柚葉さんは俺んとこ嫁ぐんやろ?」
    「…ん?」

    嫁ぐ…?

    「え、ちゃうの」
    「いや、え?」

    何で急にそんな話!?ってか嫁ぐって!

    「私、家事とかまだまだだし…」
    「そこ!?」

    肩を揺らして笑う彼。
    何がそんなに面白いのよー…

    「まぁ、家事もやらんくてええよ」
    「それはさすがに…」
    「てか、俺がいなきゃ何も出来へんくなって?」
    「……はぁ!?」
    「そんで俺から離れられなくなったらええねん」

    ちゅっ

    わざとらしくリップ音を鳴らしてキスをされる。

    「柚葉さんは、俺の事嫌い?」
    「す、好きだけど…」
    「じゃあええやんな」

    目の前には満面の笑みを浮かべる彼がいて。

    「べったべたに甘やかしたるから」

    …将来は安泰だなって思ったり。

    きゅん

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  15. 「健太っ…!」
    「おー!…あぁ」

    私の青ざめた顔から察したのか、後ろの不審な奴を見つけたのかは分からないけれど健太はすぐに分かってくれた。

    「こっち」

    引き寄せられて腰を抱かれた。そこから歩きつつ、ごく小さな声で最小限の言葉を交わす。

    「誰」
    「…わかんない」

    少し歩いた所で立ち止まって、健太は後ろを振り返った。

    「…撒いた、かな」

    その言葉にほっとして。力が抜けた私を彼が支えてくれた。

    「…はぁぁ、ありがとぉ…」
    「おう。てか、お前またつけられてたの?」
    「うん…」
    「もうさぁ、いい加減俺のになったら」
    「…へ?」
    「そしたら変な虫も付かねぇだろ」

    早く課題やれよ、みたいな。さらっとした告白が彼らしくて、もっと好きになった。

    きゅん

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  16. 「あー!あと少し!!!」
    「…がんばれー」

    何をっていうのは、ダンクシュート。バスケ部でもないくせに、しかも制服のままやろうとする所が彼の身体能力の高さを感じさせる。

    「反応うす~い」
    「いや、昼休みわざわざ呼び出されて急にダンク練習見せられる私の気持ちも考え…」
    「ヒナ。もう一回だけやるからさ、決まったら付き合って」
    「だいたいどんなリアクションしろって……え?」

    ぱっと彼を見たときにはもう宙に浮いてて。
    ゴールの揺れと共にさっきは掴めなかったゴールリングをしっかり掴んで、ボールはその真ん中を抜けていた。

    「ははっ、決まっちゃった」

    ボールを拾い、いたずらに笑う彼は距離を縮めてくる。

    「私は何も承諾してませんけど…?」
    「ん?そうだっけ?」

    そうだわ!!

    「まぁいいや。約束通り付き合って」
    「ちょ、なに言って…んっ」


    強引に奪われた唇は、不器用ながらも優しかった。

    きゅん

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  17. 『色々終わった。屋上来て』

    そう連絡が来たのが10分前。すぐ屋上に向かえば、目にはくま、あくびをする疲労困憊した先輩がいた。

    「先輩!お疲れ様です」
    「んー?…あぁ」

    寝ぼけ半分の返事。…本当に疲れてるんだ。

    「最近、大変そうでしたもんね」
    「まあね」
    「早く帰って寝た方がいい気がしますけど…」
    「だねー」

    …じゃあなんで呼びだしたの!?

    「じゃあなんで呼びだしたの!?って顔してるね」
    「えっ…!」
    「答えは、゛なんとなく゛」
    「ええっ!」
    「ここ数日会ってないし、友里の顔見とこうかなって」

    普通『なんとなく』で人を呼ぶ!?

    「嘘。友里を見て元気貰おうと思って」
    「…っ!」

    …そんな笑顔ずるい。

    「私に出来ることなら何でも言ってください!」
    「…そー?んじゃ、」

    ちゅっ、と軽く触れた唇。そのまま体を倒されて、

    「お前を全部、俺にちょーだい」

    耳元で甘く囁かれた。

    きゅん

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  18. 彼はベッドに横たわり、苦しそうに息をする。体中ガーゼや包帯で覆われた姿はとても痛々しくて。

    「馬鹿じゃないの…」
    「……」
    「大人数相手とか…」
    「……不安にさせたかよ」
    「え?」

    寝ていたはずの彼は体を起こして座っている私を抱き締めた。

    「風花、手当てありがとうな」
    「…私なんか助けないでよ」
    「゛私なんか゛とか言うな」

    ホールドされた腕に力を込められ思わず顔をしかめた。

    「…本当に、一人で8人相手とかありえない」
    「あぁ」
    「死んだらどうすんのよ」
    「そんなんじゃ死なねぇ」
    「分かんないじゃん!!」

    急に声を張り上げた私を驚いた目で見つめたあと彼はおもむろに口を開いた。

    「難しいな」
    「…」
    「お前を守るためとはいえ、戦うとお前を不安にさせちまう。でも戦わないとお前が傷つけられて…俺が狂いそうになる。だからせめて」

    悠真の眼差しは真剣そのもので。

    「俺から離れんな」

    きゅん

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  19. 「はぁ、あんたらまだこんな事してるの?」
    「なっ…!」

    目の前の男がたじろぐ。人質の女が生意気な口を叩くんだから、当然だ。

    「手はもっときつく縛んなきゃ…ほら」

    するっと縄を抜けてポケットから携帯を出す。

    「龍斗に連絡しちゃ…」
    「っ、!」

    男が私を壁に押し付けた反動で携帯が落ちる。

    「大口叩くのはいいけど、神田龍斗は助けに来んのかよ?」
    「…何言ってんの?」
    「あぁ!?」

    男の手に力が入る。

    「龍斗が来ないわけないじゃん」

    その言葉と同時に目の前の男が吹っ飛ぶ。視界の先には…

    「遅いよ、龍斗」
    「…悪い」

    彼はぎゅっと私を抱き締めてキスを落とした。

    「あのくらいだったら私でも倒せそうだったけど」
    「馬鹿言うな。お前の手は人を殴るためにあるんじゃねぇ」
    「…何のためにあるの?」
    「決まってんだろ」

    彼は視線を私に向けた。

    「俺とヤるため」
    「っ、1回死んどけ!」

    きゅん

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  20. 「お前さ、わかってる?」
    「な、何をですか…」

    なぜ私はいわゆる壁ドンされながら先輩に問いつめられているのでしょうか。

    「なんで俺が昼休みにお前を呼び出してるかとか」
    「…はぁ」
    「ふたりきりで会いたがるだとか」
    「…はぁ」

    いやそんなこと知らないし。っていうか!顔が近いよ顔が!!

    「あ、あの前田先輩」
    「あ?」
    「顔が…近いです」

    目は合わせられなくて。伏し目がちに答えると先輩は私の頭ごとすっぽりと抱きすくめてしまった。

    「ほんっと、敵わねぇなお前には…」
    「…褒められた気がしませんけど」
    「褒めてる褒めてる」
    「そろそろ離してください」
    「嫌って、言ったら?」

    先輩は抱き締める力をいっそう強める。

    「痛っ…」
    「優実、どこにも行かないで。俺のになってよ」

    きゅん

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  21. 「蓮弥?あ、寝てる…」

    規則的に動く背中と微かに聞こえる寝息。そーっと近づいて顔を見てみる。

    まつげ長っ…

    …ほんの出来心で。なぜか体が動いて、気づけば彼の柔らかい髪にキスをしていた。

    やっちゃった…

    自分の行為を振り返って熱くなった頬を押さえた刹那、手首を掴まれ引き寄せられる。

    「えっ、蓮弥!?」
    「んー?」

    まだ眠たさが残る声。引き寄せられた先は彼の胸の中で。

    「お、起きてたの…」
    「実湖の声が聞こえて起きた」

    嘘!?ってことは…

    「…気づい、た?」
    「まぁな」

    超恥ずかしいじゃん…

    「まぁ全然足りないんだけど」
    「えっ…?んっ、はぁっ…」

    深く唇を奪われて体の力が抜けてしまう。そんな私を支えながら余裕たっぷりに笑う彼。

    「実湖、可愛すぎ。他の奴にこんな顔見せんなよ?」

    きゅん

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