ようこそゲストさん
気になる。
教室の後ろから聞こえてくる会話が。
「女のタイプ?」
「そうそう、俺隣のクラスの女子に結構聞かれんの。お前の女の好み」
「は?なんで」
「いいからいいから。何かねぇの?」
私は大人しく椅子に座って本を読む…フリをして聞き耳を立てた。
だって好きな人だから。
隣の席になって、よく話しかけてくれて。
特別なんじゃ…って勘違いしてしまうんだ。
「んー、見た目は派手でよく喋って、ノリが良い子」
それは私とは程遠い人物像だった。
「意外とギャル派か」
「まぁ好みは。けど実際好きになんのは大抵、真逆」
「真逆って?」
「…大人しくて、俺が話しかけると顔真っ赤になって
あー。あと休み時間に本を逆さまに読んでるような子」
私は自分の手元を見て、慌てて本を閉じた。
本、逆さまだった…!
チャイムと同時に席に戻ってきた彼に
「盗み聞き?」と笑われた私の顔は、最高に真っ赤だ。