迷宮の魂のレビュー一覧

平均評価星数 ★★★★★ 5.0
★★★★★
2010/06/11 11:12
投稿者: 兎心 さん
普通の推理小説

この言葉が私が贈れる最大の賛辞である事を最初に伝えておく。 所々、地の文のみで一気に展開を進めている所が見受けられた。 それは、本として読んで入れば間違いなく物足りないと感じる部分ではあるが、読み返しがしづらい携帯小説というカテゴリーの中ではストレスなく読み進めた、という点で良い方向に感じとれた。 その意味で筆者が製本化を目指しているのであれば、更なる手直しと膨らみを持たせる必要性は切に感じる。 最後に、このような小説を公開して下さった筆者に感謝すると共に、このレビューを読まれた方に『普通の小説』と言うものがどれだけ凄い物なのか?を確認する意味で読む事をお勧めする。

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★★★★★
2010/05/24 00:12
投稿者: 愛水 さん
ある男の軌跡

どこから運命は狂ってしまったのか? 産まれたときからなのか? それとも、最初の罪を犯したときからなのか? それとも、女性を愛してしまったからなのか? 男が望んでいたのは、ただただ平凡な家庭。 少しも高望みなどしていない。 だけど、なぜか彼の願いは悉く潰えていく。 重厚な文章に導かれて佐多和也という男の半生を追体験することで、その悲しみや苦悩といったものが胸のうちを駆け巡る。 ケータイ小説の枠を超えた重みのある本作を、読んで後悔することはないでしょう。

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★★★★★
2010/05/10 14:34
投稿者: うまの さん
最高に面白かったです!!

「面白かったですか?」という筆者様の問いかけに、こう答えさせて頂きます。 時間を忘れ、現実を忘れて、貪るように読みふけりました。 壮大な人間ドラマ、様々な人々の心が丁寧に描かれており、 罪を犯した者がそうせざるを得なかった心が的確に伝わってきます。 父親を殺した青年、和也の逃亡人生と一言で片付けることはできません。 罪を背負い逃げながら、彼は逃れられない苦しみに追い詰められ続け、 微かな幸せを得ては奪われてを繰り返し、、、。 途中つらくて、それでも読み進めて本当に良かった。 最後は涙が溢れて止まりませんでした。 ケータイ小説という雰囲気はまるで無く、一本の立派な小説を堪能させて頂きました。 有難うございます。

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★★★★★
2010/04/27 12:17
投稿者: 月星大豆 さん
★★★★★★運命は悪戯

選択肢が有った。 逃げる 戦う 防御する 彼は常に逃げる事を選んだ。 人と、とりわけ女性と対峙する事を悉く遠ざけたのだ。 しかし邂逅は避けられず、そしてもたらされる不幸の数々。 恒に背けて来たその関わりの中にこそ、心安らぐ場所が有るという事も彼は知っている。 だが彼と関わるとみな、その背負った十字架に吸い寄せられるかの如く、不幸に見舞われるのだ。 「自分で死ぬ事も出来ない」 彼の呟きは運命に翻弄され続けた者の嘆き。自ら運命を切り開かなかった故の悔恨。 彼の十字架を降ろすべく立ち上がった三山、加藤の両名は、彼『佐多和也』を救う事が出来るのか。 稲葉禎和が放つ渾身のミステリー。 心して受け止めよ。

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★★★★★
2010/04/23 14:18
投稿者: 村上なおこ さん
ミステリーの真髄を読ませる作品

ミステリーとは何か?と問われたら答えは様々だろう けれど一つ確実に言えるのは、人と人の関わりの中に生まれてくる事件を描いたものだということ 当たり前のことかもしれないが、それを消化し、破綻なく描き、読み手をうならせるのは至難の業ではないだろうか? 不自然な設定や理解に苦しむ心理描写、そんな壁にぶつかれば読み手としては興醒めだろう この作品はそれを一切感じさせずに一気読みさせられる、そんな力のある中身に仕上がっている ミステリー初心者にもおすすめしたい 携帯小説とは思えないくらいに文字数、行間の詰まった画面に最初は戸惑うかもしれない けれど読み始めたらすぐにそんなことは気にならなくなる おもしろいから、である 止められないおもしろさが詰まっているからである 是非一度、稲葉ワールドへ!!

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★★★★★
2010/04/19 16:40
投稿者: 卯月心 さん
やや硬質ではあるが……

その表現する文体が硬質であろうが、下地となる物語の筋と設定、細かなディテールがはきとして明確である場合は、それが硬質な表現方法であろうとも読み進める手を止めることは出来ない。 筆者の様々な経験・知識・見識、その上に成り立つストーリーが読み進める上で与えられし1ピースに色彩を投じていく。 当サイトに筆者が参加し始めた頃から追い掛けている人間としては、その進化というべき内容の整理の行き届いた様は、読んでいて心地よささえ感じてしまう。 推敲を経た更なる物語の昇華と、次作への期待が待ち遠しい、そんな気持ちにさせる重厚な作品。 お子様要素皆無という意味でR指定な作品である。 本格的な人間ドラマを刮目して読むべし!

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