雑踏のエントロピーのレビュー一覧

平均評価星数 ★★★★★ 5.0
★★★★★
2009/09/22 19:13
投稿者: ヒビカ さん
マーブル模様の人間模様

かき混ぜたスプーン その先端から弧を描く 珈琲の中の白い筋 それはやがて周りに溶け込んで 同化する 人々の思考や人生も またしかり それぞれは すれ違い重なって 輪を描き続ける 例えばアナタが 甘すぎると思ったものが ワタシにとっては ちょうど良い そんな風に 登場人物たちの思考が 交差する 心地良い語りに 読んでいるこちらも それぞれの人物を通した 景色が見えるようだ ☆ぜひ珈琲にミルクを淹れながら携帯片手に読んでみてほしい。

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★★★★★
2009/09/21 23:08
投稿者: 月星大豆 さん
+★★★★★それぞれの思いを熱に変えて

人はそれぞれ、その人を取り巻く時間の中に居る。 しかし俯瞰して見ればそれは、普遍的な速度で一様に流れている。 Aを見詰めるBの世界はAB共通の時間軸に有るが、Bに見られている事を知らないAは、Bと今、時間を共有している事にも気付かない。 しかしまたマクロ的な視点で見れば、同じ地球上、同じ場所で同じ時間に存在しているという、かなり稀有な同一性を有するAとBである事は間違いない。 人は思うと思わざるとに関わらず相引かれ合い、相すれ違い、しかしそれらは皆、純然と同一時間に在る。 それぞれがそれぞれの軌跡を辿り、増大したエントロピーは枝葉を広げた大樹となるが、そこに少なからず関係を持ったという事実こそ真実。 同じ枝で同じ時に花を咲かせる偶然こそが奇跡なのだ。 溶けたアイスを旨いと見るか、甘過ぎると見るかは、それぞれの心の温度が握っているのだろう。

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