「天才と天才が出会ったらどうなるか?」
とある美大に通う、先輩の彼女と後輩の彼。
彼女も彼も、「天才」と評されてきました。…その言葉に誰よりも後ろめたさを感じ、苦しみながら、それでも評されてきたのです。
評価を得たい。誰かに褒められたい。賞をとりたい。そういうために絵を描いているわけじゃないと思いながらも、飢えている自分がいることも分かってる。人間が抱く葛藤や矛盾が、真っ直ぐに繊細に描かれています。
頁を捲る手が止まりませんでした。彼と彼女が抱いてきた傷を、想いを、やさしく力強く掬い取って羽ばたかせる作者さまの描写力は圧巻です。
自らの力で生きる色を描いて行くんだと、自分自身の生き方にも寄り添って頂いたような気持ちになりました。何度も読み返したい宝物の作品です。素敵な作品を本当にありがとうございました!