「……いつから、行っちゃうの?」
そんな問いかけには本来あたしが答えなきゃならないけれど、そんなこと知ってるわけない。
抱えた頭を左右に振る。
「入学式の一週間前。4月1日に荷物を入れるって。
あと、寮の説明会もその日にあるから、9時に第一体育館……」
パンフレットの間から出てきたプリントを読み上げる拓海。
「うそ……もうすぐじゃん」
カレンダーは、3月の24日を示している。
冷たい風がまた吹いてきて、3月の厚紙をめくった。
……もしかしたらそれが、4月のカレンダーの写真を見た最後だったのかもしれない。