「ねぇ、結季ちゃん。喉乾いたから自動販売機に行っていい?」
「うん、私もちょうど喉乾いてたんだよね」
親友の結季(ゆき)ちゃんを誘い、教室を出る。
廊下を歩いていると、1人で歩いている見覚えのある背中を見つけた。
蒼空だ……!
「蒼空ぁーっ!」
私は思いっきり後ろから抱き着いた。
「うわぁ!……おい、心瑠。いつも抱き着くなって言ってんだろ」
「だって~……」
呆れながら私を見るのは、同い年で隣のクラスの幼なじみ、藤堂蒼空(とうどうそら)。
同じマンションでお兄ちゃんみたいな存在。
そして私は横谷心瑠。
おっちょこちょいでドジな高校1年生。
そんな私のクセは『好きな人を見つけると抱き着いちゃうこと』です。
あ、でもあれだよ?
蒼空のことは恋愛とかじゃなくて、幼なじみとして好き。
よく抱き着くから勘違いされたりするんだよね……。
まぁ、あんまり気にしてないけど!