【海堂翼side】
今日もいつものように、校門でキミ子を待っていた。
だけど玄関からなかなか出てこなくて、やけに遅いなぁ〜なんて思ってると、キミ子がとぼとぼと歩いてくるのが目に写った。
「キミ子」
俺の声に顔を上げたキミ子は、俺に気付いて小走りで駆け寄ってくる。
「遅くなってごめん。日誌書いてて……」
「大丈夫。じゃ、帰るか」
日誌を書いてたなら仕方ない。
けど、それだけでこんなに遅くなるもんか?
別に遅くなったことは全然気にしてないけど、キミ子の元気がないから何かあったんじゃないかと思った。
帰り道を並んで歩いてる途中、俺はキミ子の顔を覗き込んだ。
「なんか今日、元気ない?」
「えっ…!?そ、そんなことないよ!」
俺が突然覗き込んだから、びっくりしたのかキミ子はテンパっている。
でも、明らかに元気がないのは確かだ。
ていうか、さっきまで泣いてた?
「嘘つきめ」
「なっ!なんで!?」
「分かりやすすぎ。顔に書いてある。……どうしたんだよ?」
俺がこう聞くと、いつも弱音を吐いてくれるキミ子なのに、今日はなかなか言い出そうとしない。
そんなに俺に、言いにくいことなのか?