教室へ行くと、吉田くんたちが黒板をキレイに消していてくれた。
必死に消してくれてる姿に、胸が苦しくなる。
もう二度と、そんなことさせない。
「あっ。キミ子おはよー!」
皐月ちゃんが笑って言ってくれた。
「……っ」
私は何も言わずに、目をそらす。
ごめんね、皐月ちゃん。
「……キミ子?」
環ちゃんが、首をかしげていた。
……ごめんなさい。
ごめんなさい。
私のことを嫌いになって。
「おい、ハム子!」
グイっと誰かに、後ろから引っ張られた。
「なんもされてねーか?大丈夫だったか?」
「あっ……!」
緒方くん。
私のことを心配してくれてるんだ。
でも、ごめんね。
大好きな人のために、強くならなきゃ。
グッと自分の手に力をいれる。
そしてその優しい手を、そっと振りほどいた。