これ以上あそこに居続けることは無理だ
った。



半ば自棄になりながら、姫になることを
承諾してしまった私。



だけど、姫でもなんでもいいから、逃げ
出したい。そんな思いでいっぱいだった




まだ、動揺してる自分が居る。



ぐるぐると、気持ち悪さが身体中を駆け
巡って、蝕んで、いっそのこと、このま
ま消えてしまえたなら。



あの記憶全て、消えてしまえたなら。



こんなにいつまでも、下らない過去にと
らわれて苦しむような、愚かな人間じゃ
なくなれるのに。



───怖い。



あの時感じたのは、ただただそんな感情




淡々とした笑みを浮かべながら、私を見
つめる類が怖かった。



「もう、嫌……」