季節は春を過ぎた頃。


綺麗な満月の日。


細い路地から男達の声が聞こえていた。



「ギャハハハッ!!」


「まじかぁ?それウケるんだけどぉ!」


「嘘だろ〜?」


「まじだって!!」



……五月蝿い。


今日のターゲットはこいつらか…


そう思ってゆっくりとその路地に向かう。



カツ…カツ…カツ……



最初男達は私には気づかず喋っていたけれど、さすがに路地の中では足音が響く。


路地に入って数歩でこちらに気づいた。



「……なんだお前?俺らに喧嘩でも売りに来たかぁ?」



一人が近づいてくる。



……タバコ臭い。


あと酒と微かなクスリのにおいもする。


……嫌い、だな。



「おいおい…怖くて声も出せねぇかぁ〜?……って、お前女かっ!!」



今さら気づいたのか、と呆れてしまう。


まぁ、暗いしマント着てるからすぐには気づかないか。



「まじかよっ!」


「ラッキーじゃん!!」



と男達は口々に言うが、私から見たらアンラッキーだと思う。


そんなことは言わないけれど。