俺は両手を縛られたままだ。

勝俣は両腕を汐見に撃たれてもはやなす術もない。

自由に行動できるのは拳銃を持った汐見だけだった。


そう、汐見だけだった。


「汐見……両手を縛られた時は本当に裏切られたかと思ったぜ!ナイスだぜ!後はもう勝俣を警察に……」


そこまで言うと汐見が割り込んできた。


「まだ……終わりじゃないのよ真琴君」


汐見が目を反らす、その先には苦しんでいる勝俣。


汐見はゆっくりと勝俣に拳銃を向けた。


「なにやってんだ汐見!もういいんだ!もうそれ以上自分の手を汚すことはするなあああっ!」


「真琴君、あなたが思っている以上に私は汚れてるの……」


汐見が笑った、でもその笑顔は悲しみで満ち溢れていた。


「No30やめろ!待て……金ならお前に全部やる!だから」


「勝俣……さん。私もあなたと出会わなければ誠実な人だったのにね……」


汐見は意味不明なことを言い出した。