「ちっ……奴ら連絡をとりはじめたか」


窓の外にいる見張りの一人が電話をしている。
恐らく勝俣が確認の電話を入れたんだろう。


深夜3時43分。


俺の携帯にはさっきから色々なタクシー会社から何十件もの電話がかかってきている。そりゃそうだ、時間になっても客が来ないんだから。


「よし……ちゃんとタクシーも来てくれてるみたいだな」


時計を見ると既にその時が訪れるまで約十秒となっていた。


不安はある。
もしも俺の推測が的を外れてしまっていたら俺は勝俣の餌食になる。
そうなると曽野宮への顔向けもできない。


「さあ、きやがれ」


時計の針が午前3時44分を指す。

その瞬間、手順に書いてあった通りテレビの電源が勝手についた。


「くっ……さすがに緊張するな。生きるか死ぬかがこんな恐ろしいとはな」


バスタオル越しに微かながら見えるのはどこかの夜道だ。