あの夢のようなライブから1か月がたった。

年も明け、寒さと戦いながら毎日特訓に明け暮れるあたしたち。

今日も変わらずレコーディング室に引きこもっていたあたしたちは、校内放送による呼び出しを受けて校長室に向かっていた。

「校長室に呼び出されるって・・・もしかして、永遠がなんかやらかしたの?」

「えっ!?俺?」

「ほかに誰がいるっていうんだ?」

永遠君を楽しそうにいじめる彩奈ちゃんと魁人君。

このドSコンビは最強かもしれない・・・。

楽しそうな2人を眺めていたあたしに突然かけられた声。

「なぁ、美鶴。作詞手伝ってくんねぇ?」

「え?あたしが?」

振り向いた先にはイヤホンを片耳につけたまま歩く邏生君。

「あぁ。今回の課題ってさ、その・・・恋愛をテーマにした曲じゃん?俺には向いてないっていうか・・・。こういうのは女子のほうが得意だろ?」

「ん~・・・。まぁ、あたしはもう作詞終わったし・・・手伝うのはいいけど」

「じゃあ頼む。よろしくな。んじゃ入るか」

邏生君は満面の笑みを浮かべると、ちょうど到着した校長室の大きな扉の前に立った。