私を見て、幸せそうって思ってくれた人は、誰が最後だったんだろう。




「高遠さんのこと、去年から見てました」


昼休みの校舎裏に連れてこられて約2分後、目の前に立つ男子がやっと口を開いた。


「それで俺、先週の合同授業で高遠さんが彼氏と別れたって話してるの聞いちゃって」


授業中にそんな話、したっけ。

相手さえいれば聞いてほしいって感じだったからなぁ……。覚えてないや。


「それからもずっと高遠さんのこと見てたんですけど、元気なくて。友達にカラオケで失恋ソングを歌ってもらっても、映画館で感動ラブストーリーを観に連れていかれても、やっぱりいつもの高遠さんには戻らなくて……」


そりゃあね。共感もので励まされる=傷をえぐられるだったからね。


追体験っていうか、自分がつらかったことをなぜわざわざリプレイされなきゃいけないんだっていう。


涙ながらに訴えたのにあの子は容赦なかった。ほんとに。


「だから俺、なんとか元気づけられないかなって考えたんですけど。昨日、高遠さん街中で元カレに遭遇したじゃないですか」

「……、ハイ?」

「女の子連れてたのに毅然とした態度で振る舞って、アーケード出たら公園まで全力疾走したじゃないですか」


ちょっと待ってなんで知ってるの。