とある王国のとある城―――。
そこには大変美しいお姫様がおりました。
象牙(ぞうげ)の髪に翡翠(ひすい)の眸。
高貴な彼女には、白いバラが良く似合います。
そんな彼女の名は、『ソーン・ベアトリス・ユークイン』。
"白薔薇の姫"と呼ばれる彼女の傍らには、いつも赤毛の男性がおりました。
情熱的な赤髪の彼には、赤い薔薇が良く似合います。
そんな彼の名は、『ロゼット・ヴィートラング』。
"赤薔薇の従者"と呼ばれる彼は、いつも彼女の傍におりました。
きらびやかな暮らしを送る華やかな二人は、つねに憧れの的。
―――しかし案外、中身は違っていたりするのです。
これは、薔薇の主従と呼ばれた二人の恋物語。