「お母さん!!
あたしに料理を教えてください!!」
それは一家団欒(いっかだんらん)の夕食タイム。
あたしは意を決して椅子からガタリと腰を上げた。
「何をいきなり言い出すんだ?」
お父さんは眉根を寄せてあたしをマジマジと見つめてくる。
お父さんには関係ないよ!!
これは、女同士の話なんだから!!
あたしは料理を教えてくれるよう、お母さんを見つめた。
「いいよ?
ふふ。
手鞠(てまり)も、やっと目覚めたんだね」
お母さんはにっこり笑ってうなずいてくれた。
麻生(あそう)先輩に何か美味しいものをつくってあげたいって思っていること、
きっとお母さんにはバレているだろう。