数年ぶりに憎む相手を目の前にし、私の体は小刻みに震えた。


それが武者震いなのか、もしくは恐怖からくるものか。

どちらなのかは分からなかった。



「十六夜……」


私はとても小さな声で囁く。

だというのに、十六夜にはちゃんと聞こえたようだった。



「名前を覚えてくれたみたいで嬉しいよ」

優し気に微笑む十六夜。


その微笑みだけを見ると、人を殺した事があるとは思えない。

でも、こいつは確かに私の両親を殺したんだ。



今と同じく、優し気に微笑みながら。