side:Miki Morimoto



小鳥の鳴き声とともに、あたしはふと目を開けた。

チョコレート色をしたカーテンの隙間から漏れる陽の光が直接注ぎ込まれる。


……眩しい。

注がれる陽の光から逃れるため、窓とは反対方向へ顔を向ければ、そこには小さな、幼稚園か小学生くらいの女の子が気持ちよさそうにスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。



えっと……この子、誰だっけ?

見覚えがあるこの可愛らしい女の子を見つめていても、答えは出てこない。


あたしは起き上がり、見知ったものがないか周りを見る。

だけど、広がっている景色は、あたしが住む家とは違っていた。



ここはどこだろうか。


チョコレート色のカーテンなんて家にはないし、壁も白じゃない。

それにあたしの家よりも少し広い。

しばらく考え込んでいると、昨日の出来事を断片的だけれど思い出した。


――そう、あたしは昨日、付き合っていた慶介(ケイスケ)に振られ、倒れそうになるくらい具合が悪いところを見ず知らずの人に助けてもらったんだ。


そして今、あたしの隣で心地よさそうに眠っているのは、あたしを看病してくれた潤(ジュン)さんの子供さんで、名前は祈(イノリ)ちゃんだ。



あれ?

でもおかしいな。

潤さんが見当たらない。


たしか昨日は祈ちゃんの隣で寝ていたはずなんだけど……。

いったい、どこに行ったんだろう?


あたしは隣ですやすやと眠っている彼女のお父さんの潤さんが気になって、祈ちゃんを起こさないよう、ゆっくり布団から抜け出した。