<東雲、長いよー!>

東雲からの長いメールを読み終えた今、携帯に表示されているのはそんな一言だけだった。


もちろんこれは東雲へのレス──なんだけど。


……これだけじゃ、短いかな?

もらったメールを読むのに数十分。
なのにその返事はほんの十秒、しかも内容は「長い!」っていう苦情だけだなんて。

これではいくらなんでも東雲が気の毒な気がして、私は再度携帯に向かった。


<でも、読んでてドキドキしちゃったよ。よかったね。キヨカさん、絶対脈アリだと思うから頑張れーっ!>

……これでいいよね? これでもまだ、短い?


東雲の言うとおり、私たちの会話はよく脱線するし、かみ合わないことも多くて。

だから『予習』が必要だって言う東雲の意見、分からなくもないけれど。


でもね。
それにしても、やっぱり長すぎるよ!

だって、目をつぶってもまだ、画面いっぱいに文字がぎっしり詰まったメールの残像が消えてくれないんだから。


東雲に伝えたいことはいっぱいあるんだけど、私の目が、手が、「疲れたー!」って悲鳴を上げている気がして。

<この続きは月曜日にゆっくり話そうね!>

そんな言葉でメールを締めくくると、申し訳ない気持ちで送信ボタンを押した。