「樋山、おはよう。」

教室に行く途中、藍花と話していると笠原くんがやってきた。

「お、おはよう。」

一昨日のことを思い出して、恥ずかしくなる。

「楓、顔赤いよ。」

藍花は面白そうに私の頬を突いて笑う。

「樋山」

「なに？」

恥ずかしくて、目が合わせられない。

「席、隣座ろうか。」

そう言って、私の腕をとってぐんぐん歩いて行く。

「え、ちょっと。」

「講習の間は席自由だから。」

教室に入ると笠原くんは空いている席を探して、前の方に歩いて行くから私もそれについていく。


「大和聞いたぞ！」

急にやってきた森田くんが笠原くんの肩にがっちりと腕をまわした。

「なんだよ？」

すこしだけ不機嫌そうな返事。

「樋山と付き合ってるんだって？」