あれから、どうやって帰ったのか、覚えていない。
気が付くと家の前まで歩いて帰ってきていた。
学校からは歩いても通えたのかと回転しない頭でぼんやりとそんなことを考える。
家の門をくぐると、ちょうど外にいた風間が私の姿をみるなり、驚いたように駆け寄ってきた。


「真琴様!? どうされたのですか!? ご連絡いただければお迎えに伺いましたのに!」
「あ、ごめんなさい……」
「真琴様? どうかなさいましたか?」


私の様子に風間は顔をしかめ、そして心配そうに覗き込んだ。
そうとう酷い顔してるのか。


「伊織さまと一緒ではないんですか?」
「伊織はまだ学校です。あ、あの、私、調子が悪いので今日はもう休みます」
「真琴様?」


心配そうな風間から逃げるように急いで部屋に入っていった。

パタン。

部屋の扉を閉めたとたん、再び涙が溢れてくる。
その場でずるずると座り込んでしまった。


「うぅ……っ……」


思い出したくないのに、さっきの映像が頭から離れない。
涙をふきたくて目をつむるとはっきりと思い出してしまう。

伊織は春香が好きだったのだ。

昔からずっと。

春香だけを見てきた。