(( 卒業、そして… ))


受験も終わり、合格が決まる前に高校の卒業式がある


体育館で椅子に立ったり座ったりの練習を繰り返したりと



「あ〜ぁ、早く終わらないかな」



隣の席の璃沙は独り言を呟いていた


怠いかも知れないけど、ここは我慢と…


しかもさ、まさかだけど



全校推薦で、大樹が卒業生代表でステージに上がることに


大出世だな…


爽やかなオーラを全開に振り撒いて、女子はそんな大樹に釘付け…



「いつ見ても爽やか〜」


「あんな彼氏いたらいいのに…」



あれだから大樹はモテるんだよね


大学に行ったら、今まで以上にモテるだろうな…


そんなことを考えながら通路側の椅子にただ座っていた


すると、ステージから階段を降りて通路を歩いてきた大樹は、チラッと私を見た


それはちょうど私が顔を上げた時で、なんていいタイミング…


大樹は一瞬微笑み、また無表情に戻り、自分の席へ歩いて行った


そんな私は大樹が自分の席に座るまで目を追っていた