新羅と新垣先生をどちらか選べと言われたら、迷うことなく新羅を選ぶ。
だけど、
新垣先生への想いを断ち切ることはあまりにも辛かった。
恋愛経験の少ない私にとって、この難題を乗り越えるには
壁が多すぎる。
誰にも話せない悩み。
いまさら、どうすることもできない。
毎晩、一人で自分の部屋で泣いた。
夏に新垣先生からもらったのど飴の缶の匂いを嗅ぐと
夏の記憶が蘇る。
練習中、せきばかりしていた私に新垣先生はのど飴をくれた。
体育教官室に置いてあった缶のまま、残り少ない飴の音を確かめて、
『すっげー少ないけど、やるよ』
って笑ってくれた。
まだ一つ残るのど飴は
私の気持ちのように
ずっと残ったままだった。