「俺達、もう別れよう」


こうなることはずっと前から分かっていた。


もう裕の目にあたしが映っていないことも、裕の心の中にいるのが他の女の子であることも。 


「うん。あたしも別れたいって思ってたから。ちょうどよかったよ、バイバイ」


最後くらい、意地張って強がってもいいよね? 


嫌な女になってもいいよね? 


ホッとした表情を浮かべると裕は、


「元気でな」


そう言ってあたしの頭を軽く撫でた。


そして、躊躇(ちゅうちょ)することなくあたしに背中を向けて歩きだした。