新緑の色が増す、
それは太陽の眩しい夏へ移り変わる準備をする時期のこと。


「琉架のこと、だーいすき!」

「うん、俺も」

しかしまだ彼の周りには、春の花が舞っているのでした。


「なーにが俺も、よ! 爽やかな笑顔まき散らしちゃって!」

「まぁまぁ」

甘々な雰囲気を醸し出している二人の、
少し離れたところで悪態をつくあたしは、奏月桃(カナヅキモモ)。


「琉架くん、たしかにカッコいいしね」

「でもっあんな見た目で騙してその上言動で騙すなんて!」

女たらしで有名な風宮琉架(カゼミヤルカ)は、幼なじみでもある。

だから、そう。
アイツの最悪な性格もすべて

あたしは知ってんだよこのやろー!!


「ホント、甘いマスクでメロメロにして、俺も好きーなんて囁いちゃってあり得ない!」

「えー、俺も好き、までは言ってないけど?」


友達に悪口をまき散らしていたところに、
その張本人の声が頭上で聞こえた。