夏も終りに近付いていた。


とはいえ、昼間は残暑も厳しく

存在を主張するように、蝉達が最後の命を振り絞り鳴いている。


しかし空が宵闇に覆われる頃には

その鳴き声は一転して、虫の音色に変わり

秋の訪れを感じていた。



私は思い立ったように、ハンドルを握ると

高速道路を飛ばして、海へとやってきた。



海水浴場ではなく、ヨットハーバーのあるこの海岸を選んだのは

なるべく人に会いたくなかったこと…


それから、人気が少なくなったとはいえ

カップル達を目の当たりにしながらでは

落ち着かないと思ったからだった。