体育祭に、合唱コンクール。
クリスマスにお正月。

友達と遊んだり、家族と祝ったり。そんなふうに過ごしていればいつのまにか街並みがピンクに染められていた。

もうすぐ中学2年生。

中学になったころは、巽と離れていこうと思っていたっていうのに、なんだかんだ小学生の頃と変わんない。
クラスが隣でクラブも近いから悪化しているような気もする……。

前ほど大声でケンカすることはなくなったかも。
巽の無愛想も悪化しているから、顔を合わせても睨み合ったりちょっと文句を言い合ったりするくらいだ。

ムカつくことにはなんら変わりないんだけど。

悠斗くんがそばにいるっていうのも、理由に含まれるかもしれない。
……だって、悠斗くんのそばで大声でケンカするっていうのも恥ずかしいし。


「で、どーすんのバレンタイン」


雑誌を読みながら頭を抱える私に、由美子が今日何度目かの同じ台詞を私に投げつける。


「……どうしよう……」


この返事も今日何度目だろう。


「このままじゃただの友達だーって言ってたし、告白すれば?」

「怖いよー……」

「友達になるよりも先に恋愛対象として見てもらえたほうがいいんじゃない? 仲よくなった今のうちじゃない?」


それは、そのとおり。

巽のおかげだとは一切思っていないけれど、多少の接点にはなっているからか、話は徐々にするようになって、秋にはケータイ番号とアドレスもゲットした。

無理やり理由をつくってたまーに連絡するくらいだし、私からばかり。悠斗くんは毎回返事をちゃんとくれるけれど、彼からの連絡はない。

正直なところ、進展らしい進展はないと、思う。


「あー小学校まではバレンタインでこんなに悩まなかったのにいー」

「実際でも、どうなの? 悠斗くんとは」

「由美子に言ってることが全部だよー。……悔しいけど、“巽の幼なじみ”としか見られてない気がする」


悔しいことに、会話のほとんどは巽のことばかり。
初めて一緒に帰ったあの日から、なんもかわんない。