「すみません、橘さん。何テイクもさせちゃって」
「ん~ん。俺は全然。観覧車何回も見れて楽しいですし」
橘はニコッと笑って言った。
「ん~、夜になると風が強くなってきて観覧車も揺れてきますし…撮影は今日はここまでですかね…」
「まぁ…そうなるでしょうね」
隣でトホホ…という効果音が聞こえてきそうなほどに肩を落としている上田さん。
そんな上田さんにさっき買ってきたばかりの緑茶を差し出す。
「まぁ…頑張りましょう」
「ありがとうございます!森下さぁ~ん( ; ; )」
泣き出しそうな顔で緑茶を受け取る上田さんに少し同情してしまう。
すると、橘が私に近づいてきて手を差し出してきた。
「俺にもください、緑茶」
「あ、ごめん、今のが最後だった」
「え…」
「ごめんなさい、すぐ買ってくるわ」
「いや、いいです。別に緑茶がそこまで飲みたかったわけじゃないですし」
ツン、とした態度で言う橘にエルボーアタックをしそうになったがぐっと耐える。
橘が反抗的なのは今日に始まったことじゃない。
これくらいでイライラするのはやめよう。
「え、すみません。僕のでよかったらどうぞ。って言っても森下さんから貰ったものなんですけど」
気まずそうに緑茶を差し出す上田さんを数秒見たあと、橘はにっこり笑顔を作って受け取った。
「ありがとうございます。俺の!マネージャーが用意した緑茶なので、俺が!頂きますね」
