明日マネージャーやめます!

 夕焼けが綺麗に見える観覧車の中で、ゆっくりと顔を近づけ合う橘と鈴木さん。

 鈴木さんの大きな瞳に、橘が映る。

 橘は鈴木さんの顔に手を添えると唇をゆっくりと近づけた。

 もう少しでキス…というところで後ろをカラスがバタバタと忙しく飛び去っていく。


 「あぁ~!またカ~ット!!」


 緊張の眼差しでモニターを確認していた監督が悔しそうに叫んだ。


 撮影していたスタッフ達も残念そうな声をあげた。

 これで6テイク目。

 度重ねるミステイクに現場の人達も疲れ切っていた。

 ミステイクの原因はまさかの、―――鈴木さんの高所恐怖症が原因だった。


 「ごめんなさい!!また私のせいですか?!」

 鈴木さんが謝りながら観覧車から降りてくる。

 監督はブンブンと首を横に振った。

 「うぅ~ん!今回は演技は完璧だった!だけどカラスがねぇ…」

 監督はため息をついてさっき撮ったシーンをモニターに映す。

 それを見た鈴木さんは残念そうな顔をした。


 「また乗らないといけないんですね…」

 「今回はいけた、と思ったんだけどなぁ~」

 悔しそうにモニターを見ている鈴木さんの後ろからひょっこりと橘がモニターを覗き込んだ。