私の名前で予約?
『新幹線代と宿泊代も払いなさいよ』ってそういうこと?
強制的に払わせるってこと?
私の名前で予約して私がチェックインしたら、当然だが支払いは私だ。
まさかそんな手で来るなんて思いもしなかった。
「なにをしているの? 早く部屋で休みたいわ」
叔母はポーターに手で合図し、七海をフロントに連れて行くように要求する。
七海は案内をお断りすると、叔母が座るソファーの正面に立った。
「どういうつもり?」
「お部屋に入ってしまったら、話せないので」
少しだけ話したいと七海が微笑みながら腰掛けると、叔父も「せっかくだから話そう」と賛成してくれる。
エントランスの豪華な時計をチラッと確認した七海は、大和が来るまで時間を稼がなくてはと頭をフル回転させた。
「明日は真くんに会うんですか?」
「どうかな、テストだって言っていたけれど、終わったのかな」
終わっていますよと私が言うのは変だから言えないけれど、叔母は明日、何食わぬ顔で真に連絡するのだろうか?
「……あれ? 真?」
こんなところにいるはずがない真の姿が窓の外に見えた叔父は、やっぱり真だと呟く。
真は急いで扉に回り、ドアマンに何か話しかけると七海たちのもとへ駆けつけた。
もしかして、次の電車で追いかけてきたの?
「真! すごいな、偶然ここを通ったのか?」
久しぶりだなと呑気に挨拶する父に「あぁ」とそっけなく返事をした真は、母を見ながら眉間に皺を寄せた。
「母さん、これはどういうことだよ」
「どうって? 七海が私たちを東京に招待してくれたのよ」
どうして怒っているの? と母は首を傾げる。
真は身体の横でグッと拳を握った。
「勝手に母さんが予約して、勝手に押しかけて来たんだろ?」
「何を言っているの? そんなことないわよ」
変な言いがかりはやめてちょうだいと、母はコーヒーをゆっくり飲みながら真に微笑む。
「さっきまで七海は母さんたちが来ていることを知らなかった」
17時まで一緒にいたと真が言った瞬間、叔母の顔色は変わった。
「あら、七海は知らされていなかったの? 正しくは七海じゃなくて、七海の彼が招待してくれたのよ」
七海は知らなかったのねと叔母は誤魔化す。
彼とうまくいっていないの? と心配しながらコーヒーカップをテーブルに戻す叔母の後ろで、大和は盛大な溜息をついた。
「申し訳ありませんが、招待した覚えはありません」
焦った叔母は急いで振り返る。
大和は叔父の横まで歩くと、「先日はありがとうございました」と叔父に声をかけた。
「森口くん、インターンおつかれさま」
「ケーキありがとうございました。弁護士になれるようにがんばります!」
真にも声をかけた大和は、ようやく七海のもとへ。
「遅くなって悪かったな」
大和に頭をポンポンとされた七海は、ホッとして涙腺が緩みそうだった。
「レストランで一緒に食事でもしながら話しませんか?」
大和はポーターに合図をし、ベルパーソンを呼んでもらう。
ベルパーソンはすぐにレストランに確認し、案内をしてくれた。
「あの、佐野弁護士。俺も一緒でいいんですか?」
「きみのご両親だろう?」
「そう、ですが……」
「きみには残酷かもしれないけれど、知っておいた方がいいと思う」
これからも七海と付き合うつもりならと大和は真に小声で話す。
七海は、四人の後ろを歩きながらどうなるのだろうかと不安でいっぱいだった。
『新幹線代と宿泊代も払いなさいよ』ってそういうこと?
強制的に払わせるってこと?
私の名前で予約して私がチェックインしたら、当然だが支払いは私だ。
まさかそんな手で来るなんて思いもしなかった。
「なにをしているの? 早く部屋で休みたいわ」
叔母はポーターに手で合図し、七海をフロントに連れて行くように要求する。
七海は案内をお断りすると、叔母が座るソファーの正面に立った。
「どういうつもり?」
「お部屋に入ってしまったら、話せないので」
少しだけ話したいと七海が微笑みながら腰掛けると、叔父も「せっかくだから話そう」と賛成してくれる。
エントランスの豪華な時計をチラッと確認した七海は、大和が来るまで時間を稼がなくてはと頭をフル回転させた。
「明日は真くんに会うんですか?」
「どうかな、テストだって言っていたけれど、終わったのかな」
終わっていますよと私が言うのは変だから言えないけれど、叔母は明日、何食わぬ顔で真に連絡するのだろうか?
「……あれ? 真?」
こんなところにいるはずがない真の姿が窓の外に見えた叔父は、やっぱり真だと呟く。
真は急いで扉に回り、ドアマンに何か話しかけると七海たちのもとへ駆けつけた。
もしかして、次の電車で追いかけてきたの?
「真! すごいな、偶然ここを通ったのか?」
久しぶりだなと呑気に挨拶する父に「あぁ」とそっけなく返事をした真は、母を見ながら眉間に皺を寄せた。
「母さん、これはどういうことだよ」
「どうって? 七海が私たちを東京に招待してくれたのよ」
どうして怒っているの? と母は首を傾げる。
真は身体の横でグッと拳を握った。
「勝手に母さんが予約して、勝手に押しかけて来たんだろ?」
「何を言っているの? そんなことないわよ」
変な言いがかりはやめてちょうだいと、母はコーヒーをゆっくり飲みながら真に微笑む。
「さっきまで七海は母さんたちが来ていることを知らなかった」
17時まで一緒にいたと真が言った瞬間、叔母の顔色は変わった。
「あら、七海は知らされていなかったの? 正しくは七海じゃなくて、七海の彼が招待してくれたのよ」
七海は知らなかったのねと叔母は誤魔化す。
彼とうまくいっていないの? と心配しながらコーヒーカップをテーブルに戻す叔母の後ろで、大和は盛大な溜息をついた。
「申し訳ありませんが、招待した覚えはありません」
焦った叔母は急いで振り返る。
大和は叔父の横まで歩くと、「先日はありがとうございました」と叔父に声をかけた。
「森口くん、インターンおつかれさま」
「ケーキありがとうございました。弁護士になれるようにがんばります!」
真にも声をかけた大和は、ようやく七海のもとへ。
「遅くなって悪かったな」
大和に頭をポンポンとされた七海は、ホッとして涙腺が緩みそうだった。
「レストランで一緒に食事でもしながら話しませんか?」
大和はポーターに合図をし、ベルパーソンを呼んでもらう。
ベルパーソンはすぐにレストランに確認し、案内をしてくれた。
「あの、佐野弁護士。俺も一緒でいいんですか?」
「きみのご両親だろう?」
「そう、ですが……」
「きみには残酷かもしれないけれど、知っておいた方がいいと思う」
これからも七海と付き合うつもりならと大和は真に小声で話す。
七海は、四人の後ろを歩きながらどうなるのだろうかと不安でいっぱいだった。



